いつまでも健康でいたい!有意義な人生をおくりたい!
「そう願うならば、毎日のストレッチは欠かせません。カラダに柔軟性を宿し、それをキープすることで、あなたの人生は、より良く変わります」
スマートマッチョなトレーニングコーチ青山剛氏が、ストレッチの知られざる効力を語る─。
■突然、全身が痛くなった
──青山さんは毎日80種類以上のストレッチをやり続けているそうですね。いつからですか? 始めた理由は?
青山 中学2年の時、正確に言えば1988年の9月からです。 当時、陸上競技部に所属していたのですが、ある日突然、全身が痛くなって動けなくなってしまったんです。松葉杖をついて登校しなければならないほどでした。なぜ、こんなことになってしまったのか原因がわかりません。その時、ふと思ったのがストレッチをやらなくなっていたことでした。
スイミングスクールに通っていた小学生の時から中学1年までは、毎日のようにストレッチをやっていたのですが、中学2年で陸上部に入ってからは、走る前に少し体操をするだけでストレッチをほとんどしていなかったんです。それが全身痛の原因ではないかと思い、あの時から今日まで毎日やっています。
──それで全身の痛みは解消されたのですか。
青山 痛みは消えていき、間もなくして練習もできるようになりました。
いま思えば、無茶をやっていたんだと思います。準備運動もそこそこに競泳をやっていたせいで心肺機能の強さに任せて、ガンガン走っていましたから。それに、成長痛も重なっていたのでしょう。
でも、あの時からストレッチを始めたことで私の人生は有意義なものになりました。
■地味だからこそ大切
──というのは。
青山 1日約45分、ストレッチを毎日やってきたおかげで、ケガらしいケガをしたことが一度もないんです。走り続けても、泳ぎ続けても大丈夫でした。
トライアスロンの自転車で落車したことは何度もあります。自転車は壊れて、バイクジャージは破れてグチャグチャになるのですが、擦り傷程度でカラダは元気なんです。
周りの人が落車で骨折していても私は、いつも大丈夫でした。運も良かったのかもしれませんが、ストレッチでカラダを常に柔軟にしてきたことが無関係ではないと思っています。
常にカラダを柔軟にしておけば心の柔軟性も増し、落ち着いた判断や行動ができるんです。
それに、病気も5年前に虫垂炎を一度しただけで、、風邪もほとんどひきません。軽い体調不良がたまにあっても回復スピードが、ほかの人より数倍早く、何日も引きずることはありません。しかも腰痛や肩こりに悩まされたこともなければ、太ったこともない。
ストレッチを毎日続けて33年、『ケガなし! 病気なし! 肥満なし!』です(笑)
──それで多くの方に、ストレッチを勧め指導もされている…。
青山 ストレッチは、やり応えを感じにくいじゃないですか。
全力で走り抜いた後の『ゼーゼー、ハァハァ』もなければ、筋繊維が太くなるわけでもありません。始めてすぐに、目に見えて何かが変わったりもしないんです。だから、ないがしろにされやすい。
でも、違うんですよ。ストレッチで常にカラダをケアしておくことは、地味にとても大切なんです。
私は思います。長い人生を健康で豊かに過ごしたいなら、すぐに効果が得られるものばかりを追いかけてはダメなのだ、と。簡単に得られた効果というのは、簡単になくなっていきます。
ストレッチは、そういう類のものではありません。5年後、10年後、さらにはもっと先も健康であり続けるためのもの。カラダの不調は年齢を重ねる中で、突然に襲ってきます。未然に、それを防ぎましょう。それにより、あなたの人生は、より有意義なものになります。 ぜひ、今日から始めてみてください。まずは、自分のカラダの柔軟度を確認しましょう。最後に、そのやり方を紹介しておきます。
柔軟バロメーター
*肩甲骨周りとカラダの裏側の柔軟性をチェックできるストレッチ
まっすぐに立ち、両手を後ろで組む。ヒジは伸ばし肩甲骨を寄せる。
ヒザを曲げないように上体を前に倒す。腕と床の角度が90度になれば標準。
カラダが硬いと、腕と床の角度が広がらない。
ここまで上体を前に倒せれば、かなり柔軟。
角度は180度になり、鼻がヒザにつけばアスリート級!
ストレットを毎日続ける中で、カラダが徐々にしなやかになります。定期的に「柔軟バロメーター」にトライし柔軟度をチェックしてみましょう。
文/近藤隆夫、監修/青山剛