「不撓不屈」という四字熟語の意味をご存知ですか? 日常会話で頻繫に使う言葉ではありませんが、座右の銘として企業の社長挨拶やオリンピック代表に選ばれた選手が挨拶するときなどに使うことがあるので、意味を理解しておきたい言葉の一つです。
本記事では、「不撓不屈」の意味や由来、正しい使い方・例文を紹介します。また、類語・言い換え表現や対義語、英語表現などについても解説します。
「不撓不屈」の意味とは
「不撓不屈」(ふとうふくつ)とは、強い意志を持ちどんな困難や苦悩にもくじけないという意味の言葉です。強い決意をあらわすときに用いられる言葉となるため、スポーツ選手が意気込みを語るときや座右の銘などに使われます。
「不撓不屈」の由来
不撓不屈は、中国の正史「二十五史」のひとつ"漢書"が由来です。漢書の「叙伝第七十下」の中に登場する、楽昌侯となった王商という人物の、しっかりとしたどんなことがあっても揺るがない人柄をあらわすのに、不撓不屈は使われています。
ビジネスシーンにおける「不撓不屈」の使い方・例文
不撓不屈は「何が何でも目標を達成する」という強い決意をあらわすだけでなく、「目標達成のために行動しつづける」という意味も伴っています。自分の失敗をごまかすために使ってしまうと逆効果となるので注意が必要です。不撓不屈を使った例文を知り、シーンに合わせて正しく使えるようになりましょう。
不撓不屈の精神
「不撓不屈の精神」は、どのような困難な状況でもくじけず物事を成し遂げようとする意志などをあらわすときに使います。
<例文>
- どのような問題にも負けない不撓不屈の精神により彼はプロジェクトを成功に導いた。
- この度一大プロジェクトの責任者を任されることになりました。プレッシャーも感じておりますが不撓不屈の精神で頑張る所存です。
- 彼は不撓不屈の精神でチームを成功に導いた。
不撓不屈の人物
不撓不屈は人柄をあらわす際にも使われ、「不撓不屈の人物」などと言います。
<例文>
- 部長はどんな難問が来ても決してあきらめない不撓不屈の方だ。
- 彼は不撓不屈の人間です。部署を良い方向に導いてくれるでしょう。
- 一大事業を成し遂げた方は不撓不屈な人物が多くみられる。
不撓不屈の努力
「不撓不屈の努力」は、不撓不屈という言葉を使い、努力する強い意志をあらわしています。
<例文>
- 彼らは不撓不屈の努力により大きなプロジェクトを成功させた。
- 不撓不屈の努力を続ければ必ず成し遂げられると信じております。
- 何度失敗を繰り返しても不撓不屈の努力を続けたおかげで努力が実を結んだ。
不撓不屈の態度
「不撓不屈の態度」は、物事に対する姿勢と意気込みをあらわす際に用いられます。
<例文>
- どのような困難にぶつかろうとも必ずプロジェクトを成功させるという不撓不屈の態度で頑張る所存です。
- 不撓不屈の態度を崩すことなくこのプロジェクトに挑む所存でおります。
- 彼は何度失敗しても不撓不屈の態度を崩すことは無かった。
「不撓不屈」の類語・言い換え表現
不撓不屈に似た意味で、強い意志を持って物事に臨むとき、決意をあらわすのに使用可能な類語や言い換え表現があります。それぞれの意味やニュアンスを正しく理解しておきましょう。
堅忍不抜
「堅忍不抜」(けんにんふばつ)とは、何があってもじっと耐えて忍という意味の言葉です。日常生活ではあまり使われませんが、不撓不屈と同じように座右の銘やスローガンなどに用いられます。
<例文>
- 堅忍不抜というスローガン通り、チームは粘っている。
- あの方は堅忍不抜の意志を貫いた。
- 堅忍不抜の4年間を過ごした。
百折不撓
「百折不撓」(ひゃくせつふとう)とは、何度挫折しても挫けることなく立ちあがり初心を貫くという意味の言葉です。不撓不屈と同じように座右の銘として用いたり、心にとどめておいて自分の励ましの言葉として使ったりする方もいます。
<例文>
- 百折不撓の志を持ちどんな困難も乗り越えていこう。
- 百折不撓の精神を貫けば夢はきっと叶うはず。
- 大きな失敗で自信を無くしたが、百折不撓の精神で立ち上がった。
不退転
「不退転」(ふたいてん)とは、信念を持ち何事にも屈しないという意味の言葉です。信念を決意表明するときによく使い、「不退転の決意」や「不退転の覚悟」といった使い方ができます。本来は仏教用語です。
<例文>
- 不退転の覚悟で裁判する。
- 不退転の決意を持ち彼はメダルを手にした。
- このプロジェクトを成功させるには不退転の覚悟が必要だ。
鉄の意志
「鉄の意志」(てつのいし)とは、一度決めたら最後までやり通すという意味の言葉です。決意の固さを金属の鉄に例えた言葉で、日常でもよく使われます。
<例文>
- 鉄の意志を貫いて彼女はダイエットに成功した。
- 鉄の意志を持って受験に臨む。
- 鉄の意志で仕事を期日までに終わらせた。
「不撓不屈」の対義語
次に、不撓不屈にとは反対の意味合いを持つ対義語を紹介します。
意志薄弱
「意志薄弱」(いしはくじゃく)とは、意志が弱く決断力に欠けること、人に流されやすいこと、といった意味を持つ言葉。意志の弱い自分に対して自虐的に使う人が多いです。
<例文>
- 私の短所は意志薄弱なところだ
- 意志薄弱な私は「明日からダイエットする」が口癖だ
優柔不断
「優柔不断」(ゆうじゅうふだん)とは、悩んだり迷ったりでなかなか決断できないことを意味する言葉です。「私の彼氏が優柔不断でさ~」のように日常会話でよく使われます。
<例文>
- メニューを決めるのに15分もかかるなんて優柔不断だ
- 母の優柔不断さには時々イライラしてしまう
「不撓不屈」の英語表現
不撓不屈を英語で表現するときは「頑固」や「根気強い」といった意味を持つ英単語を用いてあらわします。英語での例文を紹介するので、どういった意味を強く伝えたいかで使い分けましょう。
indefatigable
「indefatigable」は、「根気がよい」「疲れない」といった意味があります。
<例文>
- an indomitable person(不撓不屈の方)
- an indomitable attitude(不撓不屈の態度)
indomitable
「indomitable」は、「不屈の」「負けん気の」といった意味の英単語です。
<例文>
- Indomitable Spirit(不撓不屈の精神)
- indomitable effort(不撓不屈の努力)
unyielding
「unyielding」は、「頑固」「硬い」といった意味をもちます。
<例文>
- have an unyielding will(不撓不屈の意志を持つ)
- His motto is unyielding(座右の銘は不撓不屈だ)
不撓不屈の意味や使い方を理解しよう
「不撓不屈」という言葉には、強い意志を持ちどんな困難や苦悩にもくじけないという意味があります。そのためビジネスシーンにおいては、新任や着任の挨拶、また決意表明などでよく活用されます。
そのほか、強い意志をあらわす言葉には、「堅忍不抜」や「鉄の意志」などがあります。それぞれの正しい意味を理解し、場面に応じて使い分けましょう。