先週に続いて、エクスプローラー関連の話題を取り上げよう。米国時間2021年3月24日にリリースされたWindows 10 Insider Preview ビルド21343は、アイコンデザインを刷新した。Fluent Designに沿って、斜めのデザインで立体感を出していたアイコンを正面から見るようなデザインに。変更の範囲は、フォルダー、ドライブ、ごみ箱など多岐にわたる。
Microsoftはプロジェクト「Sun Valley(サンバレー)」に取り組み、Windows 10のUX(ユーザー体験)を改善するために投資をしてきた。Sun ValleyはWindows 10のUI刷新や機能強化を目的とし、エクスプローラー、スタートメニュー、アクションセンターに代表されるシェル周りのデザインや構成要素の変更に加えて、Fluent Designを適用したUWPアプリの提供を予定している。
Windows 10 Insider Preview ビルド21343のデザインアイコン変更は、Sun Valleyで実現する予定の一部を取り込んだと理解すれば、今後のWindows 10で生じそうな変化を把握できるだろう。ただし、エクスプローラーの内部的な部分が影響しているのか、灰色を基調としたフォルダーアイコンはリンクをたどると既存の黄色に切り替わるなど、統一されていない箇所もいくつか見受けられる。
エクスプローラーの内部という観点では、ファイルやフォルダーをリネームする動作に変更が加わった。ビルド21343のリリースを知らせる公式ブログによれば、リネーム時は「Ctrl」+「←(→)」キーを押すと単語間でカーソルを移動し、「Ctrl」+「Delete」キーや「Ctrl」+「BackSpace」キー押下時は単語を正しく削除されるという。
下図は、Windows 10 バージョン20H2とWindows 10 Insider Preview ビルド21343で動作を比較したものだ。バージョン20H2で「Ctrl」+「BackSpace」キーを押すと制御コード(シフトイン)が挿入されるが、ビルド21343は単語単位の削除を確認できた。
「Ctrl」+「←(→)」キーによる単語移動や「Ctrl」+「Delete」キーによる削除は、Windows 10 バージョン20H2でも動作するため相違点が分からなかった。操作性として、Bashのように「Ctrl」+「A」キーで行頭、「Ctrl」+「E」キーで行末にカーソルを移動させるといったキーバインドの追加を期待するのは酷だろうか。
筆者は以前からエクスプローラーのキーバインドには不満もあるのだが、複数フォルダー(ファイル)をリネームするときに、「Tab」キーを押すと次のフォルダー(ファイル)を選択状態にしてリネームモードに入る仕様は気に入っている。ただ、WSL 2(Windows Subsystem for Linux 2)上のLinuxや、別環境に構築したLinuxに端末からログオンする場面が多い筆者としては、エクスプローラーとBashのキーバインドはできるだけ同じほうがいい。Windows 10では「AutoHotkey」などのツールを使えばEmacsライクなキー操作が可能になるようだが、UXとしてはOSの差異を吸収する仕組みを標準搭載するWindows 10を期待したい。