2016年の初演以来、各地で完売続出した話題の韓国発ミュージカル『INTERVIEW』が、初の日本人キャストにより『INTERVIEW~お願い、誰か僕を助けて~』として、3月24日~4月4日まで東京・品川クラブeXにて上演されている。
本作は、生きるため、愛のため、殺人を犯してしまった少年の10年後を描いた心理ミステリー・ミュージカル。まさかの展開が待っている独創的なストーリーと、全20曲の美しい音楽で綴る物語を、ダブルキャストで上演する。公演を前に、ベストセラー作家であるユジン・キム役の丘山晴己、秘密を抱える推理小説作家志願生マット・シンクレア役の小野塚勇人(劇団EXILE)、謎の事故で亡くなった18歳の少女ジョアン・シニア役の山口乃々華に意気込みを聞いた。
――とても人気のミュージカルですが、出演が決まった時の心境は?
丘山晴己:すごいことだなと思いました。3人だけの出演は僕も初めてですし、しかもストレートではなくミュージカルということで、盛りだくさんですよね。チャレンジに満ちた作品になることは間違いないなと、思いました。その後は本気でチャレンジすることで、その役を生きていきたいと思うようになりました。
小野塚勇人:今までミュージカルのオーディションを受けていたこともあり、ミュージカルにチャレンジしてみたいという気持ちが強くなりました。なので今回お話をいただき、ぜひチャレンジしたいと思いましたが、台本を見た時に率直に難しいなと思いました。役もそうですが、お話も重い話であり、自分が舞台に立っている画もまだ想像できない。ミュージカル自体も初めてなので、挑戦という意味で頑張っていきたいと思いました。
山口乃々華:去年の夏頃、映画の中でミュージカル要素がある作品をやらせていただいていて、本格的にミュージカルをやれたらいいなと思っていたので、今回のお話はすごくうれしかったです。ミュージカルを頑張っていきたいと思っていたところだったので、力試しをされているような気持ちになりました。独特の世界観に魅了されたので、素晴らしい作品になると思っています。
――今までの日本公演は韓国人キャストが演じていましたが、今回初めて日本人キャストによる上演です。そのことについては、どのようなお気持ちですか?
丘山:僕は普段、元の舞台のことを調べたりしないのですが、今回はちょっと韓国の俳優さんたちのことを調べました。やばいですよ、みなさん(笑)。そうそうたるメンバーで、オフブロードウェイにも出たという作品なので、だいぶハードルが高い。レベルがすごく高いと改めて感じました。韓国は芸術を国が推奨したりしている部分もあるので、力が入っているところがある。そこを日本人キャストとして日本人だからできる表現、日本語で表現できるものを含め、自分たちにしかできない作品を作っていきたいと思いました。
小野塚:ミュージカル自体が初めてなので、正直よくわかっていなかったのですが、僕でも知っているアーティストの方が参加していたり、ブロードウェイに行ったということ、そして、台本を見ただけでも作品としてのクオリティーが高く、物語そのものがミュージカルではなくても響くものがあると思いました。今回の作品を僕たちならではの表現で、自分たちがやるオリジナルを大事にしていきたい。歌での表現が初めてなので、ミュージカルっぽい表現がいいのか、話をしている延長線上に歌があればいいのか、演出家の方やみなさんと協力しながら作っていきたいと思っています。
山口:このような素晴らしい作品をまさか演じさせてもらうことになるなんて、という想いですが、韓国の独特の重たくて暗くて、寂しいあの雰囲気を、私たちならではの雰囲気で表現できればと思っています。
――物語そのものがミュージカルじゃなくても響くものがあるとのことですが、本作のそのもの魅力をどう感じていますか?
丘山:サスペンスと言っていいのか、謎めいた感じですよね。お客さんとともに謎解きをしていくストーリーだと思いますが、そういう意味でマットの多重人格の面白さを全面的に見ていただくストーリーでもあるのかなとも思っています。虐待や解離性同一性障害などのメンタルを描く作品はミュージカルではなかなかないような気がして、すごく魅力を感じています。
小野塚:難しいので自分にとっても挑戦ですが、どういうメッセージ性をもってこの作品と向き合えばいいのかはずっと考えているところです、それがジョアンとの愛のテーマなのか、親との愛なのか、愛を求めてのマットの反抗だと僕は捉えてはいるのですが、それをうまく歌やミュージカルというエンターテインメントに乗せて表現することが最大の魅力だと思います、本当に暗いのですが、暗いだけではない、しっかりと楽しめる要素があります。
山口:初めて読ませてもらった時に何がなんだか全然わからなくて、何回も読み返しました。メモに取らないとわからないくらい、複雑に絡み合っているんです。でも、解き明かされていくにつれて、今までのことがわかり冷や汗をかいていく展開は面白いです。お客さんも前のめりになっていくと思うので、今まで観てきたものを全部確認したくなる、そういうところが魅力だと思います。