増田康宏六段を雁木の将棋で破る

第34期竜王戦3組ランキング戦(主催:読売新聞社)の準決勝、▲増田康宏六段-△都成竜馬六段戦が3月25日に東京・将棋会館で行われました。結果は94手で都成六段が勝利。決勝へと駒を進めると共に、2組への昇級を決めました。また、都成六段はランキング戦連続昇級の規定により七段昇段となります。


第34期竜王戦3組ランキング戦のトーナメント表

本局、増田六段は矢倉、都成六段は雁木を選択。相居飛車らしい縦からの攻め合いの将棋となりました。

迫力のある1手差の終盤戦で、抜け出したのは都成六段でした。増田六段が角を切り飛ばした手に対し、都成六段はなんと角を取らずに△4七銀と打って敵玉に詰めろをかけました。自玉周りには敵の攻め駒の飛車・角・桂・歩があり、あまりにも怖い局面ですが、ギリギリ耐えているという読みです。これが好判断で、都成六段の勝利を決定づけました。

増田六段はやむなく自玉の詰めろを解除する受けの手を指しましたが、そこで都成六段は角を入手。そして詰めろをかけられた局面で、詰めろ逃れの詰めろとなる△3七角成が決め手になりました。

攻めては△5九馬からの詰みを見ていて、受けては5五への玉の退路を開く一石二鳥の一手。この手が生まれたのも、ギリギリのタイミングで放った△4七銀の効果です。

勝機がないと判断した増田六段はこの手から数手後に投了。都成六段の勝利となりました。

この結果、都成六段は3組決勝へと進出。決勝トーナメント進出を懸けて、高見泰地七段-三枚堂達也七段戦の勝者と決勝戦で対戦します。

また、竜王戦ランキング戦で2期連続昇級の規定により、都成六段は七段へと昇段になりました。五段から六段に昇段したのも同規定によるものです。

竜王戦の連続昇級と言えば、藤井聡太二冠が2組決勝に進出したことで、5期連続昇級を決めたことが話題になっています。実は都成七段も藤井二冠と同じ、第30期から竜王戦に参加。この期は昇級を逃したものの、その後第31期から第34期まで4期連続昇級を果たしました。

第31期では5組優勝の藤井七段と6組優勝の都成五段(ともに段位は当時)の対戦がありました。今期も決勝トーナメントで対戦が実現することはあるのでしょうか。藤井二冠はすでに決勝トーナメント進出を決めているため、まずは都成七段の3組決勝戦に注目しましょう。

イケメン棋士として高い人気がある都成七段(写真は2018年撮影)
イケメン棋士として高い人気がある都成七段(写真は2018年撮影)