日本テレビの桝太一アナウンサーが、あす27日に放送される同局系バラエティ特番『世界一受けたい授業 大阪桐蔭 涙の卒業公演&世界のトップが教える!歴代神授業 3時間スペシャル』(19:00~21:54)に登場。収録前に、授業の見どころや生放送の舞台裏などを語った。
桝アナは、2011年4月から情報番組『ZIP!』で10年間総合司会を務め、この4月より報道番組『真相報道バンキシャ!』のキャスターに就任する。今回放送される授業は、桝アナが報道番組キャスターに就任することにちなみ、「報道番組」をテーマに行うもの。桝アナは藤井貴彦アナらが出演する報道番組『news every.』の本番前・本番中の様子に密着し、その模様を放送する。
──まず、桝アナの「news every.」密着VTRでの見どころを教えてください。
生放送中のアナウンサーの動きがよくわかります。番組中、VTRが流れていたり、CMが流れていたり、アナウンサーが映らない瞬間は結構ありますが、その時アナウンサーがどのような動きをしているかを見ていただけると思います。実は、すごくスマートフォンをいじっています。特にコロナ禍での番組はみんな(出演しているスタジオが)バラバラなので。同じスタジオにいなくても一つの番組として、あたかも隣にいるようにお互い喋ることができる舞台裏というのは、今回の授業でもぜひ見てほしい点です。
──桝アナが現在総合司会を務める「ZIP!」でも、生放送中にスマートフォンは活用されていますか?
『ZIP!』でも、(別々のスタジオにいる)私と徳島えりかアナはほぼ1年間顔を合わせていません。それでも一緒に番組を進行できるコミュニケーションが取れるのは、やっぱりスマートフォンがあるからですね。例えば地震速報が入った時には、私が地震速報を読んでいる最中に徳島アナから地名の読み方が送られてきたりします。また、今は報道よりもTwitterの方が早い時もありますから、離れているスタジオの方で(スタッフが)Twitterをチェックして「今ここで火事が起きているようです」「ここの鉄道が止まっているようです」などと教えてくれることもあります。ただ、勘違いしてはいけないのは、ツイートはあくまで仮の情報として頭に入れておくということ。ファクトを確認してからではないと放送では伝えられません。そういった情報を頭に入れておくことのメリットは「心構えができる」ことなんです。「このあとこんな交通情報がくるかもしれない」と思っておけば、その場合放送でこのように伝えよう、伝えるには何秒程度必要、などと頭の中を整理しておくことができますから、生放送中にはそういったやりとりがありがたいんです。
──生放送に向けた準備についてはどのように捉えていますか?
私は特に準備しがちなタイプです。ただ、自身の経験上、準備したことが活きると思わなくていとも思っています。準備というのは本番を想定して行うものですが、本番では当然想定外のことが起こるので、(準備が)ほぼ役に立たないことが前提になるんですよね。ただ、準備というものは、本番で役に立つという意味合い以上に、それを通して得られる自信がお守り代わりになるのだと思っています。準備した自分に対して心の余裕が生まれるという感覚は、(『ZIP!』での)10年間で特に学んできたことです。
──生放送における緊張との向き合い方はどのように考えていますか?
緊張しなくなったらむしろおしまい、緊張していることはいいことだと考えています。緊張するというのは当たり前のことなので、本番では80%の力が出れば最高だと思っています。まずそのような気持ちでいることによって気が楽になりますよね。また、だからこそ、100%以上の準備が必要になるのだと思います。例えば130%準備していけば、発揮できたのが例えその80%だったとしても、104%にできるので。だから準備するんだよという話をよく後輩にしています。
──後輩アナウンサーにアドバイスする機会なども多いと思いますが、仮に失敗した時には、どのような乗り越え方をアドバイスしていますか?
これは私も先輩に言われてきたことですが、「同じ転ぶにしても、前に転ぶのはいい、後ろにだけは転ぶな」ということですね。何かを仕掛けた上で失敗することはいい失敗と思います。なので、もし後輩が失敗したことがあれば、「どんな意図があった?」と聞いています。そこですぐに答えが返ってくるなら、その失敗は全然構わないです。『どうすればベストだったかを改めて考えてみよう』と言っています。逆に答えがすぐ返ってこないなら、それは漫然とやったことによるものなので、よくない失敗だと思います。
──桝アナ自身が考える、言葉や情報の扱い方において意識していることを教えてください。
私は理系出身の人間なので、なるべくその目線から見たメッセージを入れたいなと日頃意識しています。それは、例えば『ウイルスと細菌は違う』ことなど、使う言葉や数字の扱い方を極力正確にするということです。2011年、『ZIP!』がスタートした頃である東日本大震災直後もそうでしたが(情報に対する)勘違いは、時に人を傷つけたり、不要な差別を生んだりするので、情報の違いや、成立していない言葉遣いはちょっとずつでも直していこうという思いで取り組んでいます。