誰しも1度は夢見るホームシアター。映画館のような迫力ある映像、臨場感あるサウンドを、家庭でも楽しみたい――。筆者もそんな憧れを抱く1人です。そこで今回、手軽にホームシアターが体験できそうな小型プロジェクター「XGIMI MoGo Pro+」を試してみました。プラススタイルなどが2021年1月から販売しており、価格は80,080円です。
MoGo Pro+の外観をチェック。片手で持ち運べるサイズ感
XGIMI MoGo Pro+(ジミー モゴプロプラス)の箱を開けると、コンパクトな製品が出てきました。重さは片手で持ち運べる程度の約0.9kg。このサイズで、300ANSIルーメンという明るさと、フルHD(1080p)の映像投写を実現しています。
XGIMIは中国のプロジェクター市場でトップシェアを誇るというIT企業で、さまざまな企業とパートナーシップを組んで製品を開発しています。この製品も、サウンド面ではオーディオブランド harman/kardon(ハーマン・カードン)のスピーカーを採用しています。
Googleが提供する「Android TV」を搭載しているのも大きな強み。4,000以上のアプリに対応しており、YouTubeやAmazon Prime Video、Hulu、dTV、ABEMA、DAZNといった動画配信サービスのほか、ゲームアプリなどが利用できます。
最短1秒で焦点を合わせる「オートフォーカス」と、投映する角度を選ばない「垂直・水平の自動台形補正」は、プロジェクターの使いやすさに直結する部分。たとえ斜めから投映しても、自動的に見やすい長方形の映像に補正してくれるのがポイントです。
底面には1/4インチのネジ穴を備えており、カメラの三脚を取り付けられます。また一体型スタンドにより、最大30度まで投映角度の調整が可能です。
推奨される投写サイズは30~100型まで。たとえば、スクリーンなどとの投写距離が2mなら76型の画面を投映できます。製品に同梱されるリモコンでGoogleアシスタントを呼び出せば、音声で操作することもできます。連続使用時間の目安は、動画再生時が2~4時間、音楽再生時は最長で8時間。
自動でスムーズに台形補正。音質・ネットワーク機能も良し
さっそく色々試してみました。まずはオートフォーカス機能、垂直・水平の自動台形補正機能のチェックから。投映したのは白いスクリーンではなく、部屋の打ちっぱなしの壁でしたが、なるほどスムーズに自動調整してくれます。かかった時間は5秒ほど。実用に問題のないレベルです。
ここでスクリーンを用意。今回は100円の模造紙を両面テープで壁に貼り付けました。Amazonなどの大手通販サイトでは、プロジェクター用のスクリーンは数千円~1万円ほどのお手ごろ価格で、自立式のものやカーテンレールに取り付けられるものなど、さまざまな種類が販売されています。部屋の環境に合わせて選ぶと良いでしょう。
次は音質について。harman/kardonのスピーカーが、どれほどの実力なのか気になります。ここではUSBメモリ内の動画ファイルを再生するときの挙動の確認もかねて、ひとり旅のMP4動画と、楽器演奏のAVI動画を再生してみました。
端子にUSBメモリを直挿しすると、『USBデバイスを接続したことを検出しました』のウィンドウがポップアップで開きました。さて、気になる音質は......?
ひとり旅の動画では、岸に寄せる波の音に臨場感を感じました。楽器の演奏も、透明感があって伸びやかな音。どちらも部屋を包み込むような鳴り方です。低音はやや弱めでしょうか、全体的にバランスの良い音づくりを目指しているのが分かります。これで映画も見てみたい、そんな気にさせてくれました。ちなみに、音楽ファイルとして用意していたMP3とAACも問題なく再生できました。
Googleのスマートスピーカーとの連携も、試してみたかったことのひとつです。Android TV搭載により同梱のリモコンで音声操作できるMoGo Pro+ですが、GoogleNestシリーズなどと連携すれば、ハンズフリーで音声操作が可能になります。早速、筆者のWi-Fi環境にMoGo Pro+を追加。手持ちのGoogle Nest Miniに呼びかけてYouTubeを再生してみました。
これを発展させて、他のスマート家電×Google Homeのルーティン機能を活用することで「ねぇGoogle、プロジェクターをつけて」を合図に、部屋のスマートLEDシーリングライトが消え、スマート全自動コーヒーメーカーがコーヒーを淹れ始め、プロジェクターが動き出す、なんて環境を構築しても楽しそう。そうなれば、あとは椅子にふんぞり返って映画を鑑賞するだけです。
いよいよ映画を鑑賞! ただしNetflix導入はひと手間かかる
いよいよ映画を鑑賞してみます。まずはAmazon Prime Videoから。MoGo Pro+にインストールしたアプリを開くと、初回はサインインするための方法が表示されます。スマホでQRコードを読み込むだけでサインインは完了。すぐに映画を上映できる状態になります。
Netflixを使いたい場合は、通常のNetflixアプリをそのまま利用することはできないため、ひと手間かかります。簡単に言うと、Google Playストアから「XTV Manager」アプリをインストールし、同アプリ経由でNetflixアプリをインストールすると見られるようになります。詳細な手順はMoGo Pro+の出品者であるビーラボのWebサイト(Glimpse)を確認してください。
なお、Netflixにログインするにはメールアドレスとパスワードの入力が必要ですが、リモコンでポチポチ入力するのが煩わしい場合は、手持ちのスマホにGoogleが提供している「Android TV Remote Control」アプリをインストールしましょう。いつものフリック入力で、Android TV搭載機器でスピーディーに文字入力できるようになります。
すでに時刻は夜。この時間を待っていました。300ANSIルーメンの明るいプロジェクターとはいえ、やはりMoGo Pro+が本領を発揮するのは、部屋を真っ暗にできる夜だと思ったからです。
カーテンを閉め、照明を落とし、名作映画鑑賞会を開幕しました。壁に貼り付けた模造紙は横幅が109cmあり、ギリギリまで投映すると50型の大迫力画面になりました。
フルHD解像度による投映でしたが、予想以上に美しい映像に魅了されました。サウンドにも立体感があり、映画上映に向いていると感じました。
それにしても名作映画(『ニュー・シネマ・パラダイス』)は何度見ても良いもの。イタリアの旧市街、そこに暮らす映写技師の老人と子ども、そんな世界に没頭しました。映写機を街の広場に向け、映画館に入れなかった群衆にも映画を楽しんでもらおうとする老人。建物の壁に映画が投映される場面には、なにかシンパシーを感じました。するとどうでしょう、フィルムが燃え出し、映画館が全焼してしまうではないですか。当時このMoGo Pro+があれば、映写技師の老人も大やけどを負わずにすんだかも知れません。
なお、この作品はNetflixのダウンロード機能にも対応しており、MoGo Pro+のストレージ内に保存することができました。これなら、たとえ通信環境の良くないシチリア島の片田舎に持っていっても、名作映画をプロジェクター単体で存分に投映できることでしょう。
画音質・拡張性いずれも手堅い作り。ステイホームにオススメ
実際にMoGo Pro+を使ってみると、自社で培ったプロジェクター技術を根幹としながら、harman/kardonと連携して音響を強化し、Android TV搭載により拡張性を確保した、手堅い製品であると感じました。
光源寿命30,000時間のLED光源を採用しており、長く使い続けられそうなのも安心材料。あえて不満点をあげるとすれば、充電に関しては専用ACアダプターのほかに、USB PD(Power Delivery)にも対応して欲しかった、ということくらいでしょうか。
手軽にホームシアターを体験してみたい、コロナ禍で増えた在宅時間を充実させたいという人は、MoGo Pro+を使ってみてはいかがでしょうか。プラススタイルなどの購入後もサポートを受けられる販売店で購入するのがオススメです。