ユーザビリティという概念は、Web/IT業界において普遍的に求められてきましたが、最近は特に、Webマーケティングにおいて重要視されています。本記事では、ユーザビリティの定義や意味、実際にユーザビリティを改善・向上させる方法を解説します。
ユーザビリティの概要
ユーザビリティという用語には、Webサイトやソフトウェアの「使いやすさ」や「使い勝手の良さ」という意味を持ちます。
Web関連業界で使用される際には、具体的な意味で言うところの「ユーザーの満足度」や「効率」といった使われ方が多いようです。
ユーザビリティの定義
国際規格のISO9241-11での定義が使われる場面が多い傾向があります。この定義は、ユーザビリティを「特定の利用状況で、特定のユーザーによって、ある製品が指示された目標達成の為に使用される際、有効さ、効率、ユーザーの満足度の度合い」と定めています。
Webサイトにおけるユーザビリティ研究の第一人者は、ユーザビリティの指標として「学習しやすさ・効率性・記憶しやすさ・エラー・主観的満足度」の5つの項目を挙げています。
この定義において、ユーザーがどの位使いやすいと感じるのかというのが、ユーザビリティとされています。
Webサイトにおけるユーザビリティを向上させるメリット
ここでは、ユーザビリティを向上させることでそれぞれのWebサイトにどのようなメリットが生じるのかを解説していきます。
ユーザーの利用ストレスの排除
会社や企業などのWebサイトを閲覧する際にユーザーが陥りやすいのが、現在地を見失う「サイト内での迷子」です。このことは、ユーザーがサイトから離脱するきっかけにもなってしまいます。
ナビゲーションやインジケーターの適切かつ丁寧な配置と、現在地をユーザーが把握しやすくすることがサイト構築に必要です。
ここで大切なことは、ユーザーの立場に立って考えることです。この目線から、今一度サイト内の構造を見直すというのはいかがでしょうか。
表示速度の向上
Webの表示速度が遅いと、コンバージョン率が下がるというデータも報告されています。このような数値化されたデータから、表示速度の向上は、ユーザビリティを向上させる上でかなり重要と言えます。
表示速度が向上することで、ユーザーにとっても操作が快適となり、離脱率が低くなるというメリットがあります。
ユーザビリティを改善するときの注意点
ユーザビリティを改善する際、実際にどのようなことに注意して再構築すればよいのかお困りの方もいます。ここでは、Webサイトの話を中心に、注意点を解説します。
アクセシビリティと混同しない
アクセシビリティとは、近づきやすさやアクセスのしやすさといった配慮を言います。高齢者や若年層など、誰もが使用できる状況に対して使用されるため、そういった意味ではユニバーサルデザイン、バリアフリーという言葉もあてはまる可能性があります。
それに対しユーザビリティは、限定的な状況下における使いやすさ、快適性をあらわすので、アクセシビリティとは異なります。使用する際は注意が必要です。
多くのユーザーを満足させようとしない
ユーザビリティを改善する際、多くのユーザーを満足させようとすると、指定された目標が達成しにくくなるといったデメリットがあります。
なぜなら、ユーザビリティが目指すものは、特定のユーザーが指定された目標に到達するためという位置づけであるからです。ユーザビリティが目指す目的を明確にしておく必要があります。
顧客の意見ではなく行動を観察する
ユーザーがサイトを操作する様子を、直接観察できる「ユーザビリティーテスト」というのがあります。
これは、ユーザビリティにおける課題を見つけるための調査方法のひとつとして有効です。なぜなら操作の際に、ユーザーが感じていることを発言し、その行動や心理状態を記録して分析できるからです。
画面の表層的なわかりやすさだけを重視しない
画面の表層的なわかりやすさだけを重視しても、ユーザビリティの改善に繋がりません。まずはどの層をターゲットにするのかの絞り込みと、実際使ってみてからの使いやすさを検証する必要があります。
見た目のレイアウトや、わかりやすさだけではないので、注意が必要です。
ユーザビリティ向上のコツ
ユーザビリティ向上のために、実際にできるコツをいくつか紹介します。具体的な方法を知り、実務に活用してみましょう。
アクセス解析ツールの導入
アクセス解析ツールを導入することで、具体的にサイトを訪問するユーザーを可視化できます。
例えば、パーソナルな情報やパソコンなのかスマホなのかなど、どのデバイスからアクセスしているのかの情報収集が可能です。また、ユーザーの動線も可視化できます。
サイトを訪問した明確な理由までは把握できないにしても、仮説を立て検証することができるでしょう。
ヒートマップツールの導入
ヒートマップツールは、ユーザーがサイト内で多くクリックしたところを赤く表示させるツールです。ヒートマップツールを導入すると、ユーザーがページ内でどのような行動をしているのか分析できます。
クリックされる場所の可視化ができるおかげで、サイト内で「ここをもう少し目立たせた方が良い」ということなどが分かり、ユーザビリティ向上に活かせるでしょう。
ユーザーテストやアンケート調査の実行
先述したユーザビリティーテストが「ユーザーテスト」にあたります。このユーザーテストや対面が難しい場合は、アンケート調査を実行することで、ユーザビリティの課題解決になる糸口が見つかるでしょう。
Webサイトのユーザー満足度の向上にはユーザビリティ改善が重要
Webサイトのユーザー満足度を向上させるためには、ユーザビリティ改善が重要になります。ここで取り上げた改善方法などを参考にしながら、ユーザビリティ改善に努め、優れたサイトになるよう改良していきましょう。
単に使いやすい、使い勝手の良さのみ追求せずに、ターゲットとするユーザーを限定することが肝心です。