矢野経済研究所は3月24日、ワーケーション市場規模の予測を発表した。同社は、2020年度の国内ワーケーション市場規模は699億円となる見込みであり、2025年度には3622億円へ拡大すると予測した。
同調査は同社が2020年10月から2021年2月にかけて、ワーケーションを推進する地方自治体、ワーケーション関連サービス参入企業、ワーケーションを実施する企業を対象に実施したもの。同調査ではワーケーションを、休暇を過ごす環境に滞在しながら仕事をする働き方全般と定義する。
以前のワーケーションは、テレワークに場所の裁量が認められる人やノマドワーカーなどで形成する、ごく一部の市場だったという。しかし、2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大を契機に、多くの企業でテレワークが普及し、ニーズが拡大したと。同社は2020年度の国内ワーケーション市場規模を699億円と予測する。
ワーケーションを受け入れる地方自治体・団体やワーケーション関連サービスを提供する事業者、ワーケーションを実施する企業は急速に増えているといい、多様な取り組みが窺え、サービスを享受する働き手も拡大している。しかし、雇用者である企業側の制度が対応できておらず、市場基盤が整っていない面も見られると同社は指摘する。
コロナ禍を契機にテレワークを採用した多くの企業では、コロナ禍の収束後も在宅勤務とオフィス勤務のハイブリッド型の働き方を続けていくと、同社は推測する。在宅勤務かオフィス勤務かを続けているうちに、自ずと「オフィスで働くことを選んでいる」フェーズ、つまり働く場所を選ぶ自由に至るという。
このフェーズにおいて、企業がオフィスか自宅かの二択ではなく、第3、第4の選択肢を認めるかどうかが、ワーケーション市場にとっての岐路となるとのこと。ある程度まで企業理解が進むことを前提とした場合、2020年度から2025年度までの年平均成長率(CAGR)は約40%で推移し、2025年度の国内ワーケーション市場規模は3622億円になると同社は見ている。