ソニーは、独自の立体音響技術を活用した「360 Reality Audio」に対応し、部屋が音に包み込まれるような音楽体験が楽しめるワイヤレススピーカー2製品を4月16日に発売する。価格はオープンプライス。店頭予想価格は、ハイレゾ再生にも対応する上位機種「SRS-RA5000」が66,000円前後、コンパクトなサイズの「SRS-RA3000」が36,000円前後。
同社は1月にオンライン開催された「CES 2021」に合わせて、360 Reality Audio(サンロクマル・リアリティオーディオ、以下360RA)に対応するワイヤレススピーカーを今春以降に発売するとアナウンスしており、その詳細が明らかになったかたちだ。
iOS/Android向けの360RAアプリによって、誰でも360RAの立体音響ならではの「アーティストが目の前にいるような臨場感」をスマホで体験できるようになり、新たに既存のストリーミングウォークマン「NW-A100シリーズ」、「NW-ZX500シリーズ」が360RAの再生に対応。さらに、ソニー製の360RA認定ヘッドホンを組み合わせることで、個々の耳の形やヘッドホンの特性に最適化して「(360RAの)体験をアップグレードできる」としている。詳細は別記事で紹介する。
ワイヤレススピーカー SRS-RA5000/SRS-RA3000
360 Reality Audioは、オブジェクトベースの空間音響技術で実現される音楽体験。コンテンツの制作時に、ボーカル、コーラス、楽器などの音源に位置情報を付け、360度に広がる(仮想の)全球に音源を配置して動かすことで、臨場感のある音場を再現。対応製品で再生することで「音に包まれ、アーティストが目の前にいるかのような体験が楽しめる」という。
既存のチャンネルベースのサラウンドオーディオと異なり、オブジェクトベースの音響技術を採用して、複数スピーカーの位置に制限されずに立体音響を再現できるのが特徴。これまでAmazonのスマートスピーカー最上位機「Echo Studio」(2019年発売)が、Amazon Musicで配信している360RA音源の再生に対応していたが、新たにソニーからも360RA対応スピーカーが2製品登場する。
新製品の「SRS-RA5000」、「SRS-RA3000」は、どちらも全方位スピーカーシステムを採用し、音を広げる仕組みを搭載している。従来のソニー製ワイヤレススピーカーは、音を水平に広げる「部屋のどこにいても均一な音質を体感できる」Room-Filling Soundを実現していたが、RA5000/RA3000はスピーカーユニットの配置が既存のスピーカー(XBシリーズ)などと異なり、音の指向性を広げているのが特徴。水平だけでなく高さ方向にも音を広げてスイートスポットを拡大することで、「1台のスピーカーで部屋が音楽に包まれ、リラックスした空間」を作り出す、Ambient Room-filling Soundを提供する。
SRS-RA5000は、約46mm径の上向きスピーカー3基と、同じサイズの横向きスピーカー3基、約70mm径のサブウーファー1基の6.1chシステムを内蔵。スピーカーユニットには、高磁性ネオジウム磁石と、独自の「MRC(発泡マイカ)」素材を採用し、軽くて剛性も高く、適度な内部損失を備えた特性を実現する。S-Master HXを搭載し、ハイレゾに対応。DSEE HXによる圧縮音源の高域補完も可能だ。カラーはブラックのみ。
SRS-RA3000は、約80mm径のフルレンジスピーカー1基と部屋全体に音を拡散するオムニディフューザーを上向きで内蔵。同じく上向きのビームツイーター2基と、重低音を増強して側面から放出するパッシブラジエーター2基を内蔵する。DSEEも搭載するが、ハイレゾには対応しない。本体は防湿仕様。カラーはブラックとライトグレーの2色を用意する。
ソニー独自のアルゴリズムで、ステレオ2chのサウンドを臨場感と広がりのあるサウンドにする「Immersive Audio Enhancement(IAE)」をサポート。デフォルトでは同機能はオンになっており、本体の「♪」ボタンをタッチしてオン/オフを切り替えられる。
サウンドキャリブレーション機能も備えており、個々の視聴環境にあわせて最適なバランスで音楽を楽しめるように、スピーカー本体が周囲の環境を測定して音を自動補正するという。RA5000は購入後はじめて電源を入れたときに自動で環境測定・補正を行い、手動で環境測定をし直すことも可能。RA3000は、音楽を再生中に自動で環境測定・補正を行うようになっているため、部屋から部屋に持ち運んでも設定し直す手間がいらないとする。
ほかにも、自動音量機能を備え、曲ごとに音量を自動で調整する。これにより、音量が異なる曲を連続で再生しても急激な音量の変化を回避できるという。
Wi-Fi機能を備え、Spotifyの音楽をダイレクトに再生できる「Spotify Connect」や、Chromecast対応アプリから音楽をスピーカーにキャストして再生するChromecast built-inをサポート。また、Google AssistantやAmazon Alexaに対応し、好みの音声アシスタントを使って音楽を流すこともできる。
薄型テレビのBRAVIAと組み合わせて、テレビの音声をBluetooth経由でRA5000/RA3000からワイヤレス再生することもできる。対応するBRAVIAは、2020年モデルのA9S/Z9H/A8H/X9500H/X8550H/X8500Hシリーズ。BluetoothコーデックはSBCとAACをサポートする。RA5000のみNFCに対応しており、対応機器とワンタッチでペアリングできる。
どちらも付属のAC電源アダプターからの給電で動作する。本体サイズ/重さは、SRS-RA5000が235×225×329mm(幅×奥行き×高さ)/約4.9kg。SRS-RA3000が146×266×247mm(同)/約2.5kg。