ロングテールという言葉をご存じですか。Webを活用して商品の販売するようなお仕事に携わっている方や、自分のホームページやブログでアフィリエイトビジネスをされている方は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

しかし、詳しい意味や具体的に何ができるかまでは知らないという方も少なくないかもしれません。ロングテールの意味を理解し適切に活用することで、取り扱っている商品を販売する戦略の幅が広がり、売り上げを伸ばすことも可能になります。

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    ロングテールの意味を知り活用しましょう

ロングテールについての概要

ロングテールとは、ニッチな商品でもさまざまな種類を多数扱ったり、集客数を増やしたりすることで、人気商品に頼らず全体的な売り上げを伸ばせるという意味の言葉です。

Webを活用した販売方法のため、SEOをうまく用いることが消費者を誘導するカギとなります。

ロングテールの提唱者

ロングテールという言葉は、アメリカのWired誌で編集長だった方が掲載した記事のタイトルです。ロングテールという事象自体はもともと存在していましたが、この記事がきっかけで言葉・理論として認知されるようになりました。

ロングテールの語源

ロングテールは統計学に由来する言葉です。例えば相当数の商品を扱っており販売数のデータをまとめようとしたとき、商品を横軸、販売数を縦軸にとり、販売数の多い順に左側から並べたグラフを描くと右肩下がりのグラフになります。

相当数の商品ですから、販売数は下がりながら右側にどんどん伸びていきます。

このような販売数の多いヒット商品が頭で、販売数の少ないニッチな商品が長いしっぽに見えるグラフ分布のことをロングテールと呼んだのが語源です。

ロングテールのメリット・デメリット

商品の売り上げを安定化させるには、実際に取り扱う商品に販売方法をマッチさせる必要があります。ロングテールを効果的に活用できるように、メリットとデメリットのそれぞれについて解説します。

ロングテールのメリット・デメリットを知って実際に実務で役立てましょう。

【メリット】

コストがかかりづらい

商品を紹介するホームページを作成してしまえば、消費者側から欲している商品を検索してくれます。さらに24時間いつでも紹介内容を見てもらえます。広告や宣伝にかかる費用、販売員を雇う人件費を抑えられます。

流行やブームに左右されない

ロングテールは流行やブームなど人気のある商品に頼らない販売戦略です。どれだけニッチな商品でも全世界の誰かに需要があれば、十分に売り上げを伸ばせます。

不良在庫という概念がない

実店舗では限られたスペースに商品を並べる必要があるため、売れる人気商品を並べるのが正攻法です。しかし、Web上には陳列棚などのスペースは必要ありません。そのため、無限に商品を並べられます。

したがって、人気商品だけでなくニッチな商品も陳列でき、さらに種類を増やすほどロングテールが有効に機能します。

【デメリット】

テール商品の在庫は少数しかおけない

ニッチな商品であるため、売れる頻度は少ないものとなります。人気商品と同等数の在庫を抱えてしまうと、販売しきれなかったときのリスクが大きいのです。需要と供給のバランスを見定め、販売しきれる在庫を抱える必要があります。

ホームページのメンテナンスの必要がある

紹介するページをしっかりと作りこまなかった場合、消費者側の検索で見つけてもらえません。SEO施策や消費者の動向に寄り添い、うまく誘導するように作りこむことが重要です。そのため、定期的にホームページを見直してメンテナンスする必要があります。

短期的な成功を期待できない可能性

ロングテールはニッチな商品を扱う販売戦略なため、すぐに売り上げを伸ばすことは容易ではありません。時間はかかりますがホームページの整備や取り扱う商品の種類を充実させることに注力し、確実に売り上げを伸ばすことが成功への近道となります。

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ロングテールの成功事例

ロングテールが認知されてから、数多くの企業で活用されています。その中でもいち早く販売戦略に取り入れ、先駆者として今日まで大きな成功を収めている企業の事例をご紹介します。

Netflix

Netflixは動画配信サービスの企業です。取り扱っている商品は動画データなため、在庫を抱えるという心配がありません。

またニッチな作品も含め膨大な量の商品を取り扱っており、結果として集客にも成功しています。この2つの要素がロングテール戦略にベストマッチしたのです。

Amazon

Amazonはインターネットショッピングの企業です。膨大な種類の取り扱いにはニッチな商品も多いです。個々の商品に販売ページを設定することで、検索性が向上します。したがって、集客・売り上げを伸ばしています。

さらに地価の安い場所に巨大な倉庫を作ることで、保管にかかるコスト削減と大量の在庫を抱えることを可能にしています。

イケア・ジャパン

イケア・ジャパン株式会社は家具販売の企業です。Webを活用したロングテールではなく、実店舗を持った販売形態となります。

実店舗でロングテールを可能にしているのは、地価の安い郊外に倉庫と一体化した大型店舗を構えることです。そうすることにより、保管にかかるコストを抑え、商品を陳列する十分なスペースの確保ができます。

さまざまな種類の家具が一通り揃っているので、利便性が良く消費者を集めやすいことも成功の要素です。

Apple

Appleは音楽配信サービス「iTunes Store」でロングテールを活用しています。取り扱っているのは音楽データなため、在庫を抱える心配がありません。

多種多様な楽曲を全世界でダウンロード販売している集客性の高さが成功の要素と言えます。

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    ロングテールのメリット・デメリットを理解しましょう

ロングテールを応用した考え方

リスティング広告の入札に応用するロングテールの考え方があります。リスティング広告とは、ユーザーが漠然とした目的を達成するためにWeb検索したとき、キーワードに関連して上位表示される広告のことです。

ユーザーの目的の明確度合いによって、検索するキーワードは多数分岐します。その中で主要なキーワードの検索数を、多数のニッチなキーワードの検索数が上回ることがあります。多数のニッチなキーワードのことをロングテールキーワードと呼びます。

このロングテールキーワードが検索され、表示された広告がクリックされることで、キーワード個々の需要がわかります。需要の有無によってキーワード個々の価格を設定し、広告に必要なキーワードを購入することをキーワードの入札と呼びます。

広告の掲載にかかる費用対効果を留意したうえで、キーワードを入札する必要があります。

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ロングテールを実行するためのSEOの活用方法

ロングテールはWebを活用した販売戦略ですので、SEO施策が必要不可欠です。SEOとは検索エンジン最適化の意味です。こちらの対策を実施することでロングテールキーワードを検索した際、販売ページが上位表示されます。

専門家が提供するコンテンツを増やす

SEOで上位表示されるには、商品についての専門性が重要な要素になりますが、販売ページを作成する方が皆そういった知識を持っているとは限りません。

したがって専門的なコンテンツが必要となる場合、コンテンツの提供を専門家に依頼することを推奨します。専門家が提供するコンテンツを増やすことで、検索エンジンとユーザー双方の信頼を得られます。

検索エンジンの推奨するページの作成

販売ページを作成する際に特に注意したいポイントが、検索エンジンにインデックスされることです。インデックスとは検索エンジンのデータベースに分類・記録されることで、クローラーというロボットが情報を収集します。

インデックスされるためには、検索キーワードに対して関連性が高く、品質の良いコンテンツを作りこむ必要があります。

定期的にページを増やすことの仕組み化

ページは商品を販売する目的以外に、他のページに消費者を呼び込む入り口にもなります。つまりページを増せば、売り上げを伸ばすチャンスが増えます。このページを増やすことを継続的に行えるように、商品開発やページ作成・更新を仕組み化することが重要です。

察知しやすくするためのサービスを利用する

Googleの検索エンジンにインデックスされやすくするために、Google Search Consoleにホームページを登録しておくことも推奨します。こちらを活用することでクローラーが情報収集に来る前に、能動的に検索エンジンに登録することが可能になります。

ロングテールへの理解を深めよう

ロングテールはWebを活用した商品の販売方法・戦略のことです。ニッチな商品でも販売形態を見直し、販売ページにしっかりとSEOを施すことで、集客数を増やし売り上げを伸ばすことが可能になります。

メリット・デメリットの特性を理解し、販売したい商品に合った戦略を組み立てましょう。