「億り人」とは、株式やFXなどへの投資によって1億円以上の資産を築いた人物のことを2008年公開の映画『おくりびと』のタイトルをもじって指すそうです。 仮想通貨の世界では保有するコインの価格が購入時の数十倍から数百倍へと高騰するケースもあります。若年層にも数多くの億り人が誕生しています。
正確な知識を得て、リスクを正しく理解して投資する方もいる一方、ほんの好奇心で始めただけでも、ビギナーズラックのようなかたちで億り人になってしまったケースもあるかもしれません。せっかく手にしたものであれば、人生にとって最も良い形で生かしたいものです。どのようなことに気をつければ良いのでしょうか。
突然高額を手にした時に気をつけたいこと
宝くじで1億円手にしたのであれば非課税ですので、当選金額をそのまま資産にできますが、投資の結果の利益であれば所得税が課せられます。また、突然高額なお金を手にしたために、生活が広がってしまったら、どんどん目減りしていくでしょう。
利益が1億円あったとしても、手元に残るのはその半額の可能性がある
サラリーマンであれば、年末調整をすれば確定申告の必要のないケースがほとんどでしょう。しかしその年に1億円の収入があれば、雑所得として確定申告が必要となります。収入の合計から、様々な控除を差し引いたものが課税と対象となります。課税される所得金額が4,000万円を超えるときの税率は課税所得×45%-控除額です。その分を残しておく必要があります。
所得税だけではありません。翌年の住民税も跳ね上がります。また、もし自営業で、国民健康保険の加入者であったら、翌年の保険料は相当高額になる可能性があります。自治体によっても違いがありますが。下記の表は東京都世田谷区のケースです。限度額はあるものの、相当な金額です。
なんとなく日常の消費に消えていくことだけは避けたい
最も避けたいのは、何に使ったかわからないで消えてしまう事態です。1億円あれば、そうそう使ってもすぐになくなるはずがないと思っていませんか? 毎月10万程度の贅沢と年間80万円程度の海外旅行を家族ですれば、25年で5,000万円消費してしまいます。5,000万円があるからと貯金もしなければ、あるはずのお金は、いつの間にか減っていくでしょう。
また、1億円の最終手取りが5,000万円として、5,000万円のマンションを購入すれば、それでおしまいです。確かに資産は残りますが、キャッシュで買えたがためのローン負担がない分、生活が贅沢になったのでは、日常の消費に消えたのと同じです。ローン負担相当額を貯蓄し続けてこそ、手にした1億円が生きていきます。
有料老人ホームの入居一時金は1LDKで入居時自立タイプであれば、5,000万円以上必要なところもあります。老後の生活資金と考えるのであれば、入居一時金だけで消えてしまいます。毎月の管理費や生活費は、年金では不足するかもしれませんので、別途蓄えなければなりません。
すでに年金生活で相応の貯蓄もある夫婦であれば、バルコニー付きの船室で世界一周の船旅に消費しても良いかもしれませんが、若い方はこれから何があるかわかりません。日常に消えてしまわないようによくよく考えて対処しましょう。
もし1億円を、給与をコツコツと貯めて作るとしたら、その使い道は?
1億円手にしたら、一旦自分がコツコツと1億円貯めていくことをイメージしてみてください。ほとんどの日本人は、1億円といかないまでも、少なからず貯蓄を心がけ、貯めたお金の使い道について目論見があるはずです。
これから先の人生に対する設計図があれば、新しい使い道に飛びつく前に、1億円はまずその設計図に当てはめてみましょう。若い方であれば、マイホームの取得、子供の教育資金、起業資金、老後の生活資金や老人ホームの入居資金など、いろいろ考えられます。
余れば、その資金を再度何に使うかを検討すればよいだけです。そのまま預貯金やさほどリスクの高くない投資に回して、使い道が決まるまで寝かせておくことも意味があります。自営していれば、万一の時に相当の余力資金が必要なことは、コロナ禍を通じて認識されたと思います。
1億円は大金ですが、普通のサラリーマンでも自力で1億円を貯めるのは不可能ではないと思っています。人生100年時代と言われていることを考えれば、よほど年金が多くなければ、老後の資金は1億円必要なケースもあるでしょう。
あまり生活を広げずに、今まで通り、コツコツ貯蓄していくことを心掛けてみましょう。現在の生活があまりに苦しいのであれば、無理に今まで通りに貯蓄する必要はありませんが、資金の一部を使ってステップアップして収入を増やすことも考えてみましょう。もちろん、自分が取れるリスクの範囲で再投資も良いでしょう。
1億円を最大限生かすには、人生を設計が大切!
人生設計に最も大切なものは、「夢」です。自分がありたい姿をイメージし、それを実現するために、今後何をすべきかを計画建てしていきます。おそらくしっかりした人生設計がある人であれば、手にした1億円もその人生設計に沿って有効に生かしていけるはずです。
「少し早く夢が実現する」「夢の実現に対するリスクが少なくなった」「人生計画上は、あきらめていた1ステップ上にも挑戦可能になった」「老後の資金として確保すれば、今は思い切った挑戦が可能になった」……などなど、自分の夢に沿って活用すればよいだけです。