連勝部門1位なのに連勝賞をとれない場合もある!?
第34期竜王戦2組ランキング戦(主催:読売新聞社)の準決勝、藤井聡太二冠-松尾歩八段戦が3月23日に東京・将棋会館で行われます。この対局が藤井二冠の今年度最終局です。対局の内容・結果はもちろんのこと、年度成績も気になるところです。
竜王戦ランキング戦の6組から3組まで、4期連続で優勝している藤井二冠。2組ではここまで阿久津主税八段、広瀬章人八段を破っています。明日松尾八段にも勝利すれば、5期連続で決勝トーナメント進出です。
対する松尾八段は深浦康市九段、千田翔太七段を破って準決勝進出。前期2組では準決勝で佐々木勇気七段に敗れて決勝トーナメント進出を逃しているだけに、今期こその思いは強いでしょう。
3月も残すところあとわずかとなり、藤井二冠の2020年度の対局はこれが最後です。タイトル戦では棋聖と王位を獲得。一般棋戦では銀河戦と朝日杯将棋オープン戦で優勝し、今年度も大活躍の1年でした。
記録4部門で今年度もすべてのジャンルで上位に顔を見せている藤井二冠。勝率1位は確定させています。勝数部門は永瀬拓矢王座と並んで1位タイ。将棋連盟のホームページで公開されている28日までの対局予定には、永瀬王座の名前はありません。29~31日の3日で2局対局がつくことはまずないので、明日の対局で藤井二冠が勝利すれば1位確定でしょう。
対局数部門は永瀬王座が圧倒的な1位です。連勝部門も藤井二冠が16連勝で1位のため、決まりのように見えますが、実はそうではありません。連勝賞は連勝がストップした年度の記録としてカウントされるのです。
過去にはこのような珍例がありました。2007年度、金井恒太六段(当時四段)は11連勝を継続させたまま年度を終えました。そして2008年度の初戦、なんと金井六段は体調不良による不戦敗。連勝が止まってしまったのです。しかし、この年度は11を上回る連勝が出なかったため、金井六段はその年度に挙げた勝星が1つもない連勝で連勝賞受賞となったのです!
この珍記録には続き(?)があります。2008年度、金井六段の11連勝に実は並んでいた棋士がいました。豊島将之竜王(当時四段)です。ところが豊島竜王の連勝も年度をまたいで継続し、翌年度に持ち越されました。豊島竜王は2009年度さらに1勝を加算し、12連勝でこの記録はストップ。あとは他の棋士の成績次第となりましたが、阿久津八段(当時七段)が13連勝を記録してしまったのです。豊島竜王は結局連勝賞を受賞できませんでした。
明日の対局で藤井二冠の連勝は17に伸びるのか、それとも止まってしまうことで連勝賞受賞となるのか。そこにも注目です。