テンション・リダクション効果というものをご存知でしょうか。この記事では、テンション・リダクション効果の概要やビジネスでの活用方法、注意点について解説します。
テンション・リダクション効果の概要
テンション・リダクション効果とは、心理的な緊張がなくなって注意力が散漫になることで、警戒心が弱くなるという効果です。
悩んだ末に商品の購入を決めたところで別の関連商品を紹介すると、それまでの緊張感がなくなり、警戒心なく購入してしまうということがあります。
この意図しない反応を、マーケティングや販促に活用することで売り上げアップなどの効果が見込めます。
テンションの意味
テンションとは、精神的な緊張や不安を意味します。ここでは、何か高級なものを購入しようとするときには、買う価値を考えたり、リサーチなどを行ったり、購入まで心理的に緊張している状態のことをいいます。
リダクションの意味
リダクションとは、減少や消滅という意味です。ここでは、前述した緊張状態が購入を決めたことによって消滅し、警戒心や注意力がなくなってしまう状態のことをいいます。
マーケティングにおけるテンション・リダクション効果の活用法
テンション・リダクション効果は、対人接客だけでなく、ECサイトなどのWEBマーケティングでも活用することが可能です。
ここからは、マーケティングにおけるテンション・リダクション効果の活用方法について、例を挙げて解説します。
商品の購入後に付属品やオプション機能を勧める方法
一度購入の意思を決めたお客様に対して、別の関連商品を勧めるという「クロスセル」という方法があります。
例えば、靴屋で靴を選んで購入を決めたお客様に対して、「こちらの防水スプレーもいかがでしょうか」と提案をすることで、本来の目的以外のものも購入してもらいやすくなるということです。
ECサイトのカート画面のメッセージで購買欲求をリマインドする方法
ECサイトのカート画面に、最近チェックした商品やおすすめの商品を表示させることで、購入を促すことがあります。これは、リテンション・リダクション効果を活かした「ついで買い」を増やす方法です。
日常生活におけるテンション・リダクション効果の注意点
テンション・リダクション効果は、マーケティングや購買行動だけにあらわれるものではありません。
ここからは、大きな仕事や大切な行事が終わった後など、日常生活でテンション・リダクション効果があらわれた際の注意すべき点について解説していきます。
思いがけず体調を崩してしまう
それまで緊張感があったため体調を維持することができていたのが、緊張感がなくなることで気がゆるみ風邪などをひいてしまう、という経験をした方もいるでしょう。
例えば、会社で重要なプレゼンがあり緊張感をもって準備を進めた反動で、プレゼンが終わると緊張感が抜けて思いがけず体調を崩してしまう、などが挙げられます。
暴飲暴食をしてしまう
テンション・リダクション効果の例として、暴飲暴食をしてしまうということもあります。気が緩むことで、本来の欲求に素直になってしまうという副作用のようなものです。
マーケティングで役立つ心理効果
テンション・リダクション効果以外にもマーケティングで役立つ効果があります。ここからは、マーケティングで役立つ2つの効果について解説します。
ウィンザー効果
ウィンザー効果とは、直接本人から伝わるよりも、第三者から伝わる方がより効果が高くなることです。
ウィンザー効果を利用した口コミやレビューを集めたサイトなどは、ユーザーがサービスや商品を利用する前に、参考にして購買することが可能になるため、より信頼性が上がるといえます。
実際にマーケティングをする際にも、商品やサービスのレビューや、お客様の声をDMやセールスレター、自社サイトなどに活用していくと良いでしょう。
もっとくわしく : ウィンザー効果とは - 恋愛やビジネスで使える口コミ活用術
フレーミング効果
表現方法や切り口を変えることで相手に与える印象を変えることをフレーミング効果といいます。
例えば、コップのふちまで入っている水が半分なくなると「もう半分しかない」と思いますが、空のコップに水を半分入れると「水が半分も入っている」と思うように、捉え方は変わるのです。
マーケティングにおいても、ある商品の満足度が80%だった場合に、80%の方が満足しているというポジティブな面を伝えるか、20%の方が満足していないというネガティブな側面を伝えるかで印象が変わってきます。
フレーミング効果をうまく活用し、ポジティブな反応を得るようにしていきましょう。
もっと詳しく : それ、本当に「お得」? - 消費者心理を刺激するフレーミング効果とは
マーケティングでテンション・リダクション効果を活用しよう
テンション・リダクション効果の概要にはじまり、活用方法や注意点、マーケティングに生かせる関連する心理効果についても解説しました。
テンション・リダクション効果について理解を深め、正しく活用すれば売り上げを伸ばすことが可能でしょう。一方で、日常生活での思わぬ副作用としての体調不良なども引き起こすため、この概念を理解した上でセルフコントロールできるように、心がけましょう。