可愛らしいメイドさんたちがお給仕してくれるメイドカフェ。みなさん、行ったことありますか? あの優しい笑顔の裏には、“ご主人さま”には見せられない厳しい裏側があるのかもしれません。

ツイッターで話題の人にお話を聞く本企画。今回は、メイドカフェでのキャスト経験をSNSで発信する、「せかい」さん(@sekai_stella)にお話を伺います。せかいさんは、関西発のアイドルグループ『ステラシュガレット』のメンバーで立ち上げ人兼プロデューサーを務めています。

  • アイドルグループ『ステラシュガレット』。一番左がせかいさん

せかいさんは先日、メイドカフェ時代のある出来事をツイート。

メイドカフェ時代の話
2年前に働いてたメイドカフェ超厳しくて、語尾全部に「にゃん」を付けなくちゃ裏で先輩メイドに説教されるんだど、怒られてる時「はいにゃん…」って言ったらもっと怒られたな(@sekai_stellaより引用)

この投稿が、約3万のリツイート、約19万のいいねを集め、いわゆる“バズ”の状態に。「メイドさんも案外体育会系なのね」「これを火にガソリンを注ぐと言う」「ちょっと理不尽」「なんでだにゃん!」と多くの反響を集め話題になっていました。

ちなみにせかいさん、ツイッターだけでなく、ショートムービーアプリのTikTokでも同じくメイドカフェ時代の思い出を投稿し、注目されています。

@horobirosekai

メイドカフェ店員5日目の新人。うさぎのアクセサリー付けて怒られる人。#あるある #メイドカフェ

♬ オリジナル楽曲 - この世界は終了しました。

―― こちらの出来事は、2年ほど前のお話ということなのですが、お店には他にも厳しい決まりやルールなどがあったのでしょうか……?

「たくさんありました。本当の名前、年齢、出身地などの基本的な項目は自分で設定し、先輩メイドからの許可を貰わなければいけませんでした」。

―― 先輩の許可が必要なんですね

「また、研修時に与えられた“課題”を達成しないと、正式なキャストにはなれませんでした。この課題がとても厳しくて、私のときは『お店の世界観を守れているか』『オタ芸を覚えているか』『萌えを追求できているか』などがありました……。先輩メイドの主観もあるので、このチェックをクリアするのが本当に難かしかったです」。

―― たしかに「萌えを追求できているか」は、主観的で難しい課題です

「他にも、お店の近くを男性と歩いていたら、たとえ家族であっても即解雇という約束でしたし、ビラを配布する数や販売実績が重視され厳しかったですね」。

―― あのふわふわした夢の世界の裏側に、厳しい数字での管理があったとは。知りたくなかった事実です……

経験を元に楽曲も制作

せかいさんはSNSでの投稿のみならず、メイド時代の経験を元にした楽曲『超絶! メイド生活』(2021年)を発表。「お帰りくださいませご主人さま」「そんなに甘くはなかった」「どいつもこいつももうウンザリ」など当時の気持ちを歌詞に込めています。

ご主人様・お嬢様へ
初めてメイドカフェでお給仕して、最後の1ヶ月間くらい「まじで今日辞めよう!」と思いながら作った曲です(@sekai_stellaより引用)

―― 今回、せかいさんの経験談がSNSで話題になりました。お気持ちは?

「当時メイドカフェに勤めていたときは、『夢を与える仕事なので厳しくて当たり前』と1人で泣きながら帰宅する日々でした。学生時代、私自身あまり目立つ方ではなく、どちらかというと周囲に馴染めなかったので、メイドカフェに存在する厳しいしごきや階級制度は、学校でのヒエラルキーに似ているなと感じていました。

夢を与える仕事は『裏での努力』は絶対必要ですが、そうではなく『相手を蹴落としたい』となってしまうと、どこかでボロが出てしまうと思うんです。

今後も私が、この世界に携わっていけるとしたら、仲間とお互いを高めあえる制度や、雰囲気を大事にしていきたいなと思います。現在セルフプロデュースでアイドルをしていますが、当時の経験を活かせているなと改めて実感しています。

この時の経験を活かして私がアイドル活動をしていることを、あのとき応援してくださっていたご主人さま、お嬢さまたちに広まったかな? と少し嬉しい気持ちです」。