シチズン時計は2021年春夏の時計新製品を発表。都内会場にてメディア向けに展示会を開催した。ここでは、そこで展示されていた主な製品をレポートする。掲載した写真はすべてクリックで拡大表示。価格は税込、発売月はすべて予定。

新ムーブメントを搭載した『The CITIZEN』

  • 腕時計の本質を追求する「The CITIZEN」の新作、新ムーブメントを搭載した機械式時計

腕時計の本質を目指した「The CITIZEN(ザ・シチズン)」から、自社開発の新ムーブメントを搭載したモデルが3色のラインナップで登場。うち1種は限定モデル。詳しくは別記事『シチズン、ラ・ジュー・ペレとの新ムーブメント採用の最高峰「The CITIZEN」』をご覧いただきたいが、見どころは以下の3点。

  • 個性的で表情豊かなダイヤル
  • シチズンの開発力とラ・ジュー・ペレ社(スイス)のノウハウを投入した新しい機械式ムーブメント「Cal.0200」
  • 切れそうなほどシャープで力強い印象のSSケースとバンド

ブラックダイヤルの「NC0200-90E」は、電鋳手法による荒々しい砂地模様。ブルーダイヤルの「NC0200-81L」はサンレイパターンに深みを感じさせる光沢の塗膜研磨で、限定55本の希少モデル「NC0200-06A」は電鋳のホワイトダイヤルとなっている。

  • 電鋳によるブラックダイヤル「NC0200-90E」

  • サンレイパターンに塗膜研磨を施したダイヤル「NC0200-81L」

  • ワニ革のストラップが付く限定モデル「NC0200-06A」

  • 雪面のように美しい電鋳のホワイトダイヤル

新開発の「Cal.0200」は、高級時計に使用されるフリースプラング式のテンプを持つ自社製メカニカルムーブメント。28,800振動のハイビートに加え、時計の姿勢差による精度の追い込みがしやすく、平均日差は-3~+5秒と高精度。駆動は自動巻(手巻付き)で、パワーリザーブは最大60時間。

さらに、美しい仕上げも見どころ。シースルーケースバックからのぞく回転錘は開孔されており、その美しさを「もっと見てほしい」と、見る者の視線を誘っているかのようだ。この審美性は、シチズンの技術に加え、2012年からシチズンのグループ傘下に加わったラ・ジュー・ペレ社のノウハウも投入されている。

  • サティナージュやダイヤカットなど美しい仕上げが施された「Cal.0200」

ケースは3モデルともSS(ステンレススチール)製。ラグがなく、ケースからバンド部へと直接流れる大胆かつシャープなラインと、シンプルで象徴的なリング状のベゼルがミニマルな印象を強めている。

一方、SSブレスは削り出しを思わせる「切れそうなエッジ」を持つ直方体のコマで構成。ケース同様の力強いヘアラインを基調に、コントラストを織りなすミラー面が組み込まれており、手首でキラリと閃光を放つ。なお、限定モデルにはワニ革のストラップがセットされる。

共通スペックは、ケース径が40mm、ケース厚が10.9mm。風防はクラリティ・コーティング(無反射コーティング)のサファイアガラスで、5気圧防水。

価格はSSバンドの2モデルが605,000円、限定モデルが802,500円。限定モデルは裏ぶたにシリアルナンバー入り。発売はすべて8月で、特定店のみの扱いとなる。

強化耐磁対応! モダンスポーツ・メカニカルウオッチ「Series 8」

  • リニューアルされた「Series 8」

2008年に登場したシチズンのメカニカルウオッチブランド「シリーズエイト」が、「Series 8」として新生。旧テーマ「引き算の美意識」を引き継ぎつつも、2021年に相応しいデザインと、強化された耐磁性やカレンダー、薄型ケースといった機能性を備えた。

シチズンの広報によれば、「8」には「∞(無限)」の意味も込められおり、シチズンのもの作りの可能性を語っているという。詳しくは別記事『シチズン「Series 8」、モダン・スポーティなデザインと機能でリニューアル』に譲るとして、大きな特徴は以下の2点。

  • 3種のラインで計8モデルをリリース
  • 強化耐磁性能「JIS第2種耐磁」対応の薄型ムーブメントを搭載

3種のラインと書いたが、見た目としては2種のケースデザイン+1バリエーションで計8モデルをラインナップ――と見たほうがわかりやすいかもしれない。発売はすべて8月。

そのうち「870Mechanical」は、2体構造のベゼルを採用した、ブランドを代表するライン。ヘアラインとミラー面で仕上げたSSケースは、まさに「引き算の美意識」を体現。細長いインデックスと太い針を備え、時刻視認性も高い。ブラックダイヤルとホワイトダイヤルのモデルはSSブレス、ブルーダイヤルのモデルは同色のウレタンバンドがセットされる。ケース径は40mm、ケース厚は10.9mm。

  • ベゼルは2つのパーツを嵌合させた構造になっている

  • 「NA1004-87E」(220,000円)

  • 「NA1000-88A」(220,000円)

  • 「NA1005-17L」(209,000円)

「830Mechanical」は、トレンドのひとつでもあるクラシカルな8角形ケースに3層構造のダイヤルを組み合わせたライン。

ダイヤルは下から「金属文字板」「白蝶貝」「格子状の金属板」となっており、その上にインデックスが配置されている。8角形のケースはSeries 8の名にも通じている。ケースとブレスがシルバーのモデルと、グレーのモデルがある。ケース径は40mm、ケース厚は11.7mm。

  • ダイヤルが和の文様を思わせる「830Mechanical」

  • 「NA1010-84X」(198,000円)

  • 「NA1015-81Z」(209,000円)

  • 「NB6010-81E」(132,000円)

「831Mechanical」は、830Mechanicalのバリエーション。8角形のケースにシンプルな文字盤を組み合わせたスタンダードラインだ。ブラックダイヤルとホワイトダイヤルのモデルはケースとブレスがシルバー、ブルーダイヤルはローズゴールドIPのケースにウレタン+カーフ革のストラップ(ブルー)がセットされる。ケース径は40mm、ケース厚はなんと10mm!

  • 8角形のクラシカルなケースと飽きの来ないシンプルなダイヤル「831Mechanical」

  • 「NB6010-81A」(132,000円)

  • 「NB6012-18L」のストラップは、ウレタン+カーフ革

  • 唯一のローズゴールドIPモデル「NB6012-18L」(132,000円)

各モデルともムーブメントは自動巻(手巻付き)で、870Mechanicalと830Mechanicalには「Cal.0950」を搭載。平均日差-5~+10秒の精度に加え、ひげぜんまいと周辺のパーツに磁気を帯びにくい素材を使っていることで、JIS第2種耐磁性能を取得。PCやスマホなどの近くに置いても帯磁による精度低下が起こらない。まさしく現代生活に求められる機械式ムーブメントだ。振動数は28,800振動/時。パワーリザーブは最大50時間。

831Mechanicalには「Cal.9051」を搭載。平均日差が-10~+20秒であることと、パワーリザーブが最大42時間である点が異なる。もちろん、JIS第2種耐磁仕様だ。

JIS第2種耐磁ムーブメントとスーパーチタニウム外装の「シチズン プロマスター」

陸・海・空に展開するプロフェッショナルスポーツウオッチブランド「シチズン プロマスター」のマリンシリーズにも、JIS第2種耐磁仕様のムーブメントを使用したメカニカルダイバーズウオッチ(3モデル)が登場。

  • 押し出しの強い3モデルをラインナップ

上記Series 8の831Mechanicalにも搭載された新ムーブメント「Cal.9051」を採用。日常生活での帯磁による精度低下を防ぐ一方、ダイビング時には磁気コンパスを積んだ船上でも安心して使用できる。耐磁性だけでなく、精度やパワーリザーブなどムーブメントとしての基本性能も同様だ。

ISO規格対応の200m潜水用防水に対応。ケース外周に台形の凹凸を付けることで力強い外観とベゼルのグリップ力を向上させている。ケースと別体のベゼルには、シチズン独自の表面硬化技術「デュラテクト」処理したスーパーチタニウムを使用。資料には重量が明記されていないものの、実際に持ってみた感想は「見た目からは違和感を覚えるほどの圧倒的な軽さ」だった。

  • ブラックダイヤルの「NB6004-08E」(132,000円)

  • ケースはスーパーチタニウム(デュラテクト チタンカーバイド・DLC・MRK)

  • ブルーダイヤルの「NB6005-05L」(143,000円)

  • ケースはスーパーチタニウム(デュラテクト DLC・MRK+DLC)

  • グリーンダイヤルの「NB6006-02X」(143,000円)

  • ケースはスーパーチタニウム(デュラテクト ゴールド・DLC・MRK+DLC)

  • 見た目と大きく異なる、軽快な着け心地に驚くこと請け合いだ

ケース径は46mm、ケース厚は15.33mm。風防は無反射コーティングの球面サファイアガラス。3モデルで展開し、バンドはすべてウレタン製。ウェットスーツ着用時に役立つ延長バンドが付属する。5月発売予定。より詳しい情報については別記事『シチズン「プロマスター」、JIS第2種耐磁で200m防水の機械式ダイバーズ』をご参照いただきたい。

「プロフェッショナルダイバー」(1982年)をオマージュした「エコ・ドライブ ダイバー200m」

同じく「シチズン プロマスター」から、往年の「プロフェッショナルダイバー」(1982年)を現在の技術とマーケティングをもとに再構築した「エコ・ドライブ ダイバー200m」が登場。プロフェッショナルダイバーは当時、1,300m防水という世界一の耐圧性能を誇った伝説のモデル。ラグのないケースや4か所のベゼルガード、凹凸の派手な回転ベゼルなど、デザイン的にも非常にユニークで個性的な時計だった。

これらのデザイン要素を引き継ぎながら、現代風にアップデートしたのがエコ・ドライブ ダイバー200mだ。名前の通り、光発電エコ・ドライブで駆動、ISO200m潜水用防水に対応する。ブラックダイヤル、ブルーダイヤル、グリーンダイヤルの3モデルで展開。ケースはスーパーチタニウム製、各ダイヤル色と同系色のウレタンバンドがセットされる。

  • 「エコ・ドライブ ダイバー200m」も3色のカラーで展開

  • ブラックダイヤルの「BN0220-16E」

  • ブルーダイヤルの「BN0227-09L」

  • グリーンダイヤルの「BN0228-06W」

ケースはスーパーチタニウム製。チタニウム独特のグレー地をあえて研磨せずに、サンドブラスト処理してオリジナルモデルの風合いを再現。その一方でダイヤルは今風のカモフラージュデザインとするなど、過去の思いと現在のセンスをともに取り入れながら新しいモデルを生み出したといえる。

ケース外径46.5mmはオリジナルモデルと同じだが、着け心地を考えケース厚は14.3mmと、オリジナルより薄い。風防はクリスタルガラス。価格は各モデルとも60,500円で、7月発売。詳しくは別記事『シチズン「プロマスター」、1982年ダイバーズへのオマージュ』を参照いただきたい。