「召集」と「招集」は、その読み方や人を集めるという意味は同じでも、集める相手との関係性に違いがあります。間違って使うと失礼にあたることもあるので、特にビジネスシーンにおいては気を付けたいものです。

本記事では、「召集」と「招集」の使い分け方やそれぞれの正しい意味をまとめました。詳しい使い方や言い換え表現、英語表現についても、豊富な例文とともに紹介します。

  • ビルの下から見上げた風景

    「召集」と「招集」の違いは何?

召集と招集の違い、使い分け方とは

「召集」と「招集」は、どちらも「しょうしゅう」と読み、人を集めるという意味では同じです。しかし「召集」は目上の人が目下の人を呼び集めること、「招集」は立場の上下に関係なく人を招いて集めること、という違いがあります。

詳しくは後述しますが、「召集」を使うシーンはかなり限定的であり、間違って使用すると失礼にあたります。ビジネスシーンを含め、一般的には「招集」を使うことがほとんどだと覚えておくといいでしょう。

召集の意味

「召集」には、上の者が下の者に命令して、呼び集めることという意味があります。

召集の「召」という漢字は、天皇など目上の人の行為に用いられる尊敬語

そもそも「召(め)す」という漢字は「食う」「着る」などの他、「招く」「人を呼び寄せる」「呼び出して任ずる」などの尊敬語です。

そこから「召集」は「自分よりも立場が低い人を呼び集める」という意味がありますが、現在使用されるケースは、天皇の国事行為として、国会を開会するために議員に集まることを命ずること、そして「召集令状」などの形で、旧日本軍が国民兵を軍隊に呼び集めることの二つがほとんどです。

招集の意味

「招集」は人を招き集めることという意味があり、「立場に関係なく多くの人を集めたり、つながりのある人を集めたりする」場合に用いられます。

「招集」は相手と対等な立場の場合や、立場を言及しない場合に使用され、株主総会、地方議会などの議会を成立させるために人員を集めることや会議など、広く使用されています。

召集の使い方と例文

ここからは、「召集」の正しい使い方を、例文を交えて解説していきます。

召集は命令であり、国会や旧日本軍にまつわる場合に使う

「召集」は前述したように、自分より立場が下の相手に命令を下す場合に用いられます。そのため、使用する場面や相手には注意が必要な言葉といえます。

なお放送業界や新聞業界では、「召集」は国会や旧日本軍にまつわる場合のみに使用することがほとんどです。

下記で例文を紹介するので、具体的なシーンを想像して、考えてみましょう。

召集する

「召」という字は、「上の人が下の人を呼び寄せる」ことを意味し、「集」は「複数のものが一つのところに来ること」を表しています。

【使用例】

  • 国会を開くために、議員を召集する。

召集がかかる

「召集がかかる」は、目上の相手から集まるよう指示されたときに使います。

【使用例】

  • 戦火が激しくなり、ついに彼のところにも軍への召集がかかった。

招集の使い方と例文

ここからは、「招集」の正しい使い方を、例文を交えて解説していきます。

招集は人を集めることで、株主総会や会議、地方議会など幅広く使える

「招集」は立場に関係なく、人を呼び集める場合に用いられます。例えば、会社や自治会の会議、株主総会など、日常生活におけるおおよそのものは、「招集」と表現されることが多いです。運動会では「招集係」という言葉もよく耳にしますね。

なお先ほど国会には「召集」を使うと説明しましたが、地方議会は「招集」を使うのが一般的です。また放送業界や新聞業界では、地方議会の他にも外国の議会、自衛隊、外国の軍隊については「招集」を使うことがほとんどです。

こちらも、例文で具体例を見ていきましょう。

招集する

「招集」は「用意をととのえて、人に来てもらう」といった意味合いが強い言葉です。「召集」とは異なり、日常的に使用できます。

【使用例】

  • 大事な会議を行うため、社員を召集する。
  • 選手全員をグラウンドに招集する。
  • 海外で活躍している選手を含め、サッカー日本代表として30名が招集された。

招集をかける

相手を呼び出すのではなく、敬意を払って招き集める場合には「招集」を用いることが適切です。

【使用例】

  • 臨時招集をかける。
  • 株主総会を開催するため、関係者に招集をかけた。
  • ホワイトボードの掲示を眺める人

    召集と招集の例文を知ろう

召集と招集の類語・言い換え表現

「召集」と「招集」には、さまざまな類語や言い換え表現があります。それぞれの言葉の違いを知ったうえで使用することで、表現の幅も広がるでしょう。

徴集

徴集(ちょうしゅう)は、国家や公共団体が人を強制的に呼び集めたり、金銭物品を取り立てたりすることを意味します。「徴」という字は、急(せ)かして集める、督促する、という意味合いがあります。

また、同じ読みの「徴収」は、人から金銭を集める場合に使用するので間違えないよう注意しましょう。

【使用例】

  • 重要な会議のため、社員全員に徴集をかける。
  • 不正があってはいけないので、答案用紙と筆記用具以外を徴集した。

呼集

呼集(こしゅう)は、「呼ぶ」という字が用いられているため、「分散している人々を呼び集めること」という意味があります。「召集」とほぼ同義語であり、集まることへの義務という意味合いが強い言葉です。

【使用例】

  • 隊員を呼集する。
  • 非常呼集に備える。

招致

招致(しょうち)は、「招き寄せること」や「招いて来てもらうこと」という意味があります。似た言葉に「誘致」がありますが、招致は一時的に招くのに対し、誘致は定着してもらうために招く、という点で異なります。

【使用例】

  • 夏季五輪を招致する。
  • 積極的に移民を招致する。

集合

集合(しゅうごう)は、一カ所に集まること、または集めることという意味があります。

【使用例】

  • 明日は、午前8時に学校に集合する予定だ。
  • 全校生徒が体育館に集合した。

動員

動員(どういん)とは、ある目的のために、多くの人やものを集めることという意味です。

【使用例】

  • 事件が起きたので、警察官を動員するようです。
  • この映画は、全国で◯◯人の観客を動員した。
  • ホワイトボードに書かれたメモ

    召集と招集の類語と言い換え表現を学ぼう

召集と招集の英語表現

ここからは、「召集」と「招集」の英語表現について例文を交えて解説します。それぞれ意味やニュアンスが少しずつ異なるため、しっかりと理解することが必要です。

召集の英語表現

「召集」の主な英訳としては、call up、summon、convocationなどが挙げられます。日本と同様、英国においても「召集」の意味合いは主として、軍隊や会議などで用いられる英単語です。

call up

「call up」は、電話をかける、思い出す、(兵役に)召集する、徴兵する、などの意味があります。

【使用例】

  • Several reserve units were called up.
    (いくつかの予備隊が召集された)

summon

「summon」は、召喚、呼び出し、召集、(裁判所への)出頭命令、召喚状という意味をもつ単語です。

【使用例】

  • Serve a summons on a person.
    (人に召喚状を発する)

動詞(他動詞)としては、(人を)法廷へ召喚する、呼び出すといった意味をもち、受身形でしばしば用いられます。

convocation

「convocation」は、召集、(英国国教の)大主教区会議、(米国聖公会の)教区会議、(大学の)評議会という意味があります。

【使用例】

  • The convocation of the Diet.
    (議会招集)

招集の英語表現

「招集」の主な英訳としては、call、convene、convokeなどが挙げられます。

call

「call」は広義的な意味を有する単語であり、大声で呼ぶ、呼びかける、呼び寄せる、招くという意味があります。

【使用例】

  • an extraordinary call.
    (非常召集)
  • call a meeting.
    (会を招集する)

convene

「convene」(動詞・他動詞)は、「招集する」と訳されます。また、自動詞として用いられることもあり、「会合する」「会を開く」といった意味としても用いられます。

【使用例】

  • convene a press conference.
    (記者会見を召集する)

  • The Diet will convene at 3 p.m. tomorrow.
    (国会は明日午後3時に開会するだろう)

convoke

「convoke」(動詞・他動詞)は、「招集する」と訳されます。この単語は形式的表現となっており、用いられるケースは少ない英単語です。

【使用例】

  • To convoke the Diet
    (議会を招集する)
  • パソコンを見ながらメモを取る人

    召集と招集の英語表現を理解しよう

召集は主に国会や軍隊などに使用し、招集は会議など広く使える言葉

「召集」と「招集」の違いや、類語、英語表現について解説しました。「召集」と「招集」は似た意味合いがあっても、使う相手や場面を間違えると、不快感を与えてしまう可能性があります。

この記事を参考に、両者の正しい意味や使い方を理解し、特にビジネスシーンにおいては注意して使用しましょう。