無念の逆転負けを喫した長谷部浩平四段は開幕2連敗
藤井聡太王位への挑戦権を争う、お~いお茶杯第62期王位戦(主催:新聞三社連合)白組の▲長谷部浩平四段(0勝1敗)-△佐々木大地五段(1勝0敗)戦が3月16日に東京・将棋会館で行われました。結果は232手で佐々木五段が勝利。羽生善治九段と並んでリーグ開幕から2連勝としています。
相雁木の戦型になった本局。中盤の攻防で優位に立ったのは長谷部四段でした。自玉は金銀3枚と飛車に守られて鉄壁。攻めては角で相手の金をぼろっと取ることに成功します。後はどのように佐々木玉を寄せるかという局面かに思われました。
ところがここから佐々木五段が驚異的な粘りを発揮します。守りの金銀を犠牲にして、玉を上へ上へと逃がします。そしてついに138手目、命からがら逃げ延びた玉が敵陣に侵入を果たしました。
なんとか入玉することに成功した佐々木五段ですが、そのための犠牲は甚大。相入玉となった際に、持将棋成立のため必要な点数に遠く及びません。となれば勝つためには相手玉を寄せ切るしかありません。一方の長谷部四段はすでに佐々木玉に入玉されているため、寄せることは困難。自玉も入玉させることを目指し、点数勝ちに目標を切り替えました。
佐々木五段が長谷部玉を寄せ切れるか、それとも長谷部四段が逃げ切るか。激しい攻防の末、目的を達成したのは佐々木五段でした。相手玉を攻めながら、手順に飛車を入手することに成功。馬と竜の協力で、相手玉を五段目以降に進めさせません。
そして、銀捨て、金捨ての連続強手が決め手となりました。この2手によって相手玉を敵陣に押し戻すことに成功。以下は上から押し潰すような寄せで長谷部玉を仕留め、232手で激闘に終止符を打ったのでした。
長谷部四段のわずかな受けのほころびを的確に突いて、逆転勝利を収めた佐々木五段の最終盤の追込みは迫力満点でした。
優勢の時間が長かった長谷部四段としては悔やまれる逆転負け。自玉をより安全に上部へ逃がす手段があったようです。
この勝利で佐々木五段は開幕から2連勝。4期連続で王位リーグで戦っている佐々木五段ですが、いずれも予選を通過しての参加で残留はいまだにありません。好スタートを切った今期は、初の残留、さらには挑戦権獲得に向けて視界良好です。