香取慎吾が主演を務め、話題を呼んでいるテレビ東京系のドラマ『アノニマス ~警視庁“指殺人”対策室~』(毎週月曜22:00~)。架空の警視庁SNS専門対策室「警視庁指殺人対策室」を舞台にしたオリジナルのクライムサスペンスで、捜査一課の第一線から外された一匹狼の万丞渉(香取慎吾)をはじめとした出世コースから外れたクセモノメンバーが、キーボードによる殺人=指殺人に苦しむ人々の事件を解決に導いていく。
香取は民放5年ぶり&テレ東33年ぶりのドラマ出演となり、第1話は世帯視聴率7.3%、個人視聴率3.6%を記録。前身となる枠のドラマBiz創設以来、22時スタートの作品初回として最高記録を更新した(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。今回は、同作について濱谷晃一プロデューサーにインタビュー。作品で伝えたかったことや、最終回へむけての注目ポイントなどについて話を聞いた。
■SNSの闇だけでなく希望も
——初回放送でトレンド1位になったり、その後も放送ごとに関連ワードがトレンド入りしたりしている『アノニマス』ですが、作品としてはSNSの怖さを描いたりもしていて、SNSの光と影両方を持ってる作品なのかな? という気もしています。
香取さんがリリースの時から一貫しておっしゃってたのは、「元々はSNSをすごく怖がってたけど、実際に飛び込んでみたら、非常にポジティブな言葉をいっぱいもらって、自分の活動のエネルギーになっていた」ということなんです。このドラマの中でも、SNSの闇だけでなく希望も描きたいということは一貫していて、警鐘は鳴らすけど、その先の希望を描きたい。
僕自身も、今回『アノニマス』をやってみて、香取さんファンの方の使うSNSの多幸感がすごいなと実感しました(笑)。あたたかい気持ちの波がすごいんです。香取さんが言ってたのはこういうことかも、と身に染みて感じています。
——もし続編があったら、またSNSの描き方が変わる可能性もありますか?
続編があったら、万丞にたくさんフォロワーがいるかもしれないですね(笑)。
——作品としては、昨今の話題のキーワードがバンバン出てくるところも印象的です。
令和にやるドラマでSNSを題材にしているので、いかに時代と寄り添っているかということを大切にしています。人を中傷する声が多いことについて、ドラマを見て「自分も気になってた」「おかしいと思ってた」と感じてもらえればとは思っていました。本当はみんないつもモヤモヤしてるんだけど、考えたり議論するきっかけになれば。
——第2話で、低価格案件を受けるネットのライターが出てきた時の身につまされる感じも…。
脚本の小峯(裕之)さんが書いてくれたんですが、サスペンスドラマの謎解き目線だけでいったら、ライターの主張を聞く必要はないんです。でも、なぜ人を貶めるような検索ワード記事が量産されるのかということを長々聞かされて、呆然とする万丞たち……というシーンも、今回のテーマでは意味があるところで。僕も、あのシーンがすごく好きなんです。俳優の松澤匠さんも鬼気迫る演技をされていて、いいシーンになったなと思います。
——他にもこれまでで印象に残ってる、伝えたかったということが詰まっているシーンはありますか?
どの話も思い入れがありますが、第3話で、ホームレスの男性を殺してしまった17歳の少年を、万丞が諭す話すシーンです。朝一から長回し、長台詞だったたんですけど、香取さんが本当に素晴らしい演技で。”ホームレス”という記号で話す少年に対して、こんな人生を歩んで、こんな明日を楽しみにしていた井田諭さんという一人の人間の命を奪ったんだ……ということが、今回のアノニマス=匿名というテーマとダイレクトに結びついて、非常に意味のあるシーンになったと思います。現場でお芝居を見てぐっときたし、完パケをみても素晴らしかったです。
——いよいよ本日15日の放送で最終回となりますが、ぜひ見所を教えてください。
6話までは1話完結の物語でしたが、いよいよ第7~8話は最終章として、”アノニマス”という敵が誰なのか、どう対峙するのかという話に縦軸が結実する回になっています。匿名の正義をテーマに今まで以上にひりひりした展開が待っています。そして、エンタメ性が強くなり、万丞も活躍しますので、今まで見てきた方、楽しんでくれた方はもちろん、見逃してきた方にも見ていただけたら嬉しいです。意外な人が裏切り者だったり、意外な人がひどい目に遭ったり、今まで出てきた人物の裏の顔も見えて面白い内容になっています!
■濱谷晃一プロデューサー
テレビ東京ドラマ室プロデューサー。バラエティ班として『ピラメキーノ』『シロウト名鑑』などを担当した後に、現職。担当したドラマは『バイプレイヤーズ』『おじさまと猫』『フルーツ宅配便』『コタキ兄弟と四苦八苦』など多岐にわたる。