OPPOは12日、グローバルで発表したフラッグシップスマートフォン「OPPO Find X3 Pro」(以下、Find X3 Pro)の詳細を説明するラウンドテーブルをオンラインで実施。Product ManagerのRison Chen氏らが質問に回答しました。ここではカメラ関連を中心に紹介します。
Find X3 Proは、滑らかで一体感のある背面デザインを特徴とした5G対応のハイエンドスマートフォン。各社のハイエンドスマートフォンとして今や一般的なのは、背面カメラが出っ張ることですが、Find X3 Proは段差が突くような急激に出っ張るのではなく、内部から盛り上がるように膨らんでいます。このカメラ部は、背面と一体感のあるデザインです。
これについてChen氏は、「伝えたいのは未来感とイノベーション感」と話します。滑らかな背面のデザインは宇宙船からインスピレーションを受けたとしており、未来感とイノベーション感という2つを表現できたのでは――と自信をのぞかせます。さらにChen氏は「一体感」というキーワードも挙げ、それを実現するためにデザインしたと語りました。
グローバルの発表会でも時間を割いて説明されたのがカメラです。超広角と広角で同じ50MPのセンサー(ソニー製のIMX766)を搭載し、10bitという豊富な色再現を可能にしました。カメラはレンズから入った光をセンサーでデジタル化してRAWデータ化します。それを最終的に画像処理してJPEGへと変換するのですが、JPEGは基本的に8bitまでしか再現できません。
最近、スマートフォンカメラでよく使われる新フォーマットのHEIF(High Efficiency Image File Format、ヒーフ)形式は、10bitの色深度に対応しています。そのため、Find X3 Proの真価を確認するには保存形式でHEIFを選ぶ必要があります。OPPOが検証した結果、10bit画像のデータサイズはJPEGよりも小さく済んでいるそうです。
もうひとつの特徴がマイクロカメラの搭載です。通常は近接撮影に使うマクロカメラですが、Find X3 Proではさらに、「顕微鏡」として利用することもできます。30倍の光学倍率と2倍のデジタルズームを組み合わせ、最大60倍まで拡大。顕微鏡モジュールを細かく、小さくすることで、このスペックでも通常のスマートフォンカメラのサイズに収めたとしています。
マクロカメラのセンサーは500万画素ですが、周辺がボケてしまうため、記録画素数を300万画素にして(中心部を使うことで)、全体がくっきりとした画像を記録します。レンズ周辺にはリングライトも搭載し、顕微鏡撮影時に明るく撮影できそうです。
スマートフォンを顕微鏡として使うことは、日常生活では頻繁にあることではないでしょう。とりあえず手近なものを撮るだけでも楽しいでしょうが、Chen氏は、この顕微鏡モードが「未来に向かって、さらなる技術力とイノベーションをどんどん発掘するために作ったもの」だと話し、特に具体的な用途を想定しているわけではないようです。
それでもChen氏はユースケースの一例として、「高級品、例えばダイヤモンドを買ったときに細かいところから詳細を見て真贋を判別する」といった利用法を紹介。ほかにも、子どもに対して手軽に顕微鏡の世界を紹介できるのは、教育分野において威力を発揮しそうです。身近にある草花や石、昆虫を拡大観察すれば、「大自然が描く奇跡的な模様を見られる」とChen氏はアピールします。
ちなみに今回の発表会では、望遠側のカメラはあまり取り上げられませんでした。前モデルの「Find X2 Pro」ではペリスコープレンズを採用した10倍ハイブリッドズームを備えていましたが、「ユーザー調査をしたところ、5倍以下(のズーム倍率)しか使われない。だいたい2倍や3倍ぐらいだった」とChen氏。そのため、今回は5倍ハイブリッドズームに抑えて、ほかの機能に投資したとしています。
10bit(10億7,374万色)という「色」を重視したFind X3 Proですが、Chen氏は「撮影時の感情や感動を再想起させることをコンセプトにした」と話します。「人生の中の大切なひとときを全部つなぎ合わせて残したいというコンセプト」(Chen氏)であり、「ユーザーが感動した瞬間を記録したい」という考えから「色」を重視したカメラを開発したと意図を解説しました。
現状、市場にあるすべてのディスプレイ機器が10bit色を再現できるわけではありませんが、Chen氏は「未来には対応デバイスが多くなる」として、後々に対応ディスプレイで見たときに当時の感動がよみがえることを目指したと。Chen氏は、10bitで撮影した画像は「雰囲気が向上する」と指摘。「もしお持ちなら、OPPOの以前の機種と比べれば分かります」とアピールしました。
スマートフォンカメラには本体サイズの制限があり、一定以上のサイズにはできません。これは、センサーサイズは光学系といった性能に関わるパーツも制約を受けるということです。Find X3 Proでは、超広角カメラに自由曲面レンズを採用するといった工夫もありますが、単純な画質では専用カメラには及びません。
そこで方向性として、Computational Photography(簡単にいうと画像処理)のさらなる進化を目指します。これを強化して画質のクオリティを高めるほか、「3月に旅行したけど、その場所できれいなのは9月だった。そういうときに9月の美しさをComputational Photographyで再現する」ことが方向性のひとつ、と話します。
少し戻って、「色」で重要なのが表示するディスプレイです。Find X3 Proの6.7インチAMOLED(有機EL)ディスプレイは、10bit表示にも対応。色覚異常(CVD)の人たちのための補正機能も重要な機能です。Chen氏は、「世界の人口の約8%が何らかの色覚異常」と説明。日常生活で問題なくても、特定の色の知覚が弱いという場合もあります。Find X3 Proでは、最初にテストを行ってどの色に対して知覚が弱いかどうかをチェックし、自動的に画面表示を調整してくれます。
「今までのスマートフォンは、ボタンの色で機能を区別していたが、(CVDの)8%の人たちにとっては難しいこともある」とChen氏。そうした人でもスマートフォンを効率よく操作するために、この機能を搭載したとしています。
基本的に今回のラウンドテーブルは、グローバル版のFind X3 Proについての説明でしたが、最後にKDDI(au)版で非対応とされているFeliCaの搭載についても聞いてみました。Chen氏は、「日本のユーザーには申し訳ない」としつつ、大前提として「グローバル全体のユーザーに対して体験の一致性を保つため」とFeliCa非対応の理由を説明しますが、OPPOの日本向け端末ではFeliCaを搭載しているモデルもあります(OPPOの日本法人だったオッポジャパンは、2020年10月にオウガ・ジャパンへと名称変更)。
加えてChen氏は、「顕微鏡機能の一部とバッティングした」と話し、ハードウェア的に搭載が難しかったという見解を示しています。Chen氏は「日本でもコード決済(編注:QRコードなど)が浸透し、拡大していく傾向」とも述べ、コード決済で代用してもらいたい考えもあるのでしょう。とはいえ、日本においてはFeliCaによるおサイフケータイは代替のきかない機能でもあるので、非搭載は残念なところです。