まもなく4月、入園や入学を控えている家庭もあるでしょう。朝の支度を子どもたちにスムーズにしてもらいたいというパパやママは多いはず。
そんな母のひとりであるインスタグラマーのゆきさん(@u.mamato)の思いから、タイルを使った素敵なお支度ボード「タイルdeおしたく」(税込1,650円/送料別)が生まれました。今回は、そんなお支度ボードの開発の裏話を、ゆきさんと開発した廣部硬器(ひろべこうき)の磯部さんに聞きました。
ゆきさん
福井県在住。三人娘と夫との5人暮らし。介護職に従事しながら、約5年前からInstagramで漫画の投稿を始める。フォロワー数は9.7万人。磯部さん
警察や消防の紋章などを長年手がけてきた福井県の企業・廣部硬器で広報や商品開発を担当。祖父が廣部硬器の一代目。現在は父が二代目を継いでいる未来の三代目。
思いが通じ合って始まったお支度ボード作り
今回、お二人にお話を聞くことになったきっかけは、ゆきさんがInstagramに投稿したこちらのお話でした。
――ゆきさんは、いつ頃からお支度ボードを作りたいと思っていたのですか?
ゆきさん:現在小学2年生の次女が小学校に入学する前、お支度ボードを作りたいと考えはじめました。どうせ作るのであれば、家族みんなで愛せるもの、大事にしたいと思えるものがいいし、子どもが必要な時期が過ぎても、使い続けられる一品がいいなと思ったんです。
そんな時に、以前地元のハンドメイドイベントで出会ったタイルのことを思い出しました。自宅のスイッチに貼ることができるタイルを買ったのですが、タイルの手触りがすごく心地よくて。そのタイルで、お支度ボードが作れないかなと考えたんです。字が読めない子どもでも、タイルなら絵を描いて使えるところもいいなと思いました。
■お支度ボードを作りたいと思ったきっかけ(ゆきさんのInstagramより)
――それからゆきさんは、ワークショップに参加していたタイルのメーカーである廣部硬器さんに直接アプローチしたんですよね。
ゆきさん:会社の前を通ったことはあったんですけど、警察の紋章が飾られていて、ちょっと入りにくい雰囲気だったんですよね。検索してみると、Instagramのアカウントが見つかったので、ダイレクトメッセージを送ったのが最初です。当初は、自分だけが使うためのお支度ボードをオーダーメイドしたいと思っていました。
――それから、どういう風に商品化する流れになったんですか?
磯部さん:廣部硬器は65年続いている会社で、警察や消防の紋章を主に作っているという点で、どうしても硬いイメージがつきがちでした。これまでの仕事を大切にしつつ、イメージを変えたいと考え、5~6年前からさまざまな試みをしてきました。「ひろべこうき」と、ひらがなでネーミングしたオンラインショップもそのひとつです。
私自身も「焼き物ってきれいだな」と日頃から感じていて、朝日を浴びるとなおきれいに見えたりして、いろいろな表情を見せてくれるんです。自分が「いいな」と思えるから、その良さをもっと活かした商品を作って、焼き物の良さを広く知ってもらいたいという思いを抱いていました。
――なるほど。ゆきさんから連絡がくる前から、焼き物を普及したいという思いがあったんですね。
磯部さん:うちの会社は、焼き物屋さんなのに茶碗を作らないんです。だから、茶碗以外の商品で焼き物の魅力が発揮できないかと、先ほどゆきさんが話していたスイッチ用タイルの商品化などに取り組んできました。
そんな中、ゆきさんから突然連絡がきて、最初は驚きました(笑) でも話を聞いていくうちに、私がやりたいと考えていたことと重なるなと感じて、ぜひお支度ボードを商品化したいと考えるようになったんです。
■ゆきさんと磯部さんの出会い(ゆきさんのInstagramより)
――ゆきさんは、商品化すると聞いてどんなお気持ちでしたか?
ゆきさん:本当に驚きましたね。私はもちろん自分のことしか考えずに、こういったものを作りたいと言った。それを受けて、磯部さんが「育児中の人以外でも広く使えそうだし、ぜひ商品化したい」と言ってくださり、私の思いを大きく拾ってくれたんです。目から鱗でしたね。
――それから、すぐに商品化に取り掛かったのでしょうか?
ゆきさん:当初は次女の入学までに作りたいと思っていたのですが、次女はタスク管理が上手だったので、必要に迫られなかったんです。そうこうするうちに時が過ぎて、ついにマイペースな三女が入学を控える時期になりました。
三女は、上の子たちと比べて身の回りのことがなかなか自分でできなくて。お姉ちゃんである次女がすごく面倒見がいいんですが、三女の準備を全てやってしまうこともあって、切迫感がないんですよね(笑) 「このままではだめだ」「するべきことを可視化しなくては」と、3年越しのお支度ボードの制作が一気に進みました。
――具体的に苦労したのはどういった点ですか?
磯部さん:タイルって結構重いので、マグネットでつけられるようにするのが難しかったですね。マグネットが強すぎても弱すぎてもだめなので、いろいろなマグネットで試行錯誤しました。また、タイルはB級品を使っているのですが、反りが強すぎるものは使えないので、材料集めにも苦労はありましたね。
■そして完成したのが「タイルdeおしたく」(ゆきさんのInstagramより)
生活感に愛が出るお支度ボード
――オンラインショップで販売しているということですが、実際に販売が始まってから、反響はありましたか?
ゆきさん:Instagramに投稿すると、私と同じようにこうした子どもの手助けがほしいと考えていたお母さんたちから、共感のコメントやメッセージをたくさんもらいました。私自身も「自分だけじゃなかったんだ」と思えたし、みんなが自分の子どもに対していろいろ考えているのだなと知ることができて、嬉しく感じましたね。
――実際に注文は入ってきましたか?
磯部さん:ゆきさんがInstagramに投稿してくれてから、注文がたくさん入ってきましたね。直接メッセージをくれた人もいて、すごく嬉しかったです。
実際にこんな使い方をしているという実践例もいただきました。「息子に託したら自分で絵を描き出してうれしそうにしていて、親としても大満足」というコメントもいただきました。私たちは「親が描いて子どもが使ってくれるのかな」と思ってお届けしていたのですが、それぞれに多様な使い方をしてくれているのが新鮮でしたね。
ゆきさん:私の周りでも、英語教室でアルファベットクイズに使うという人もいました。私自身も高齢者施設で勤めているので、そこでも使えたらいいなという思いもありますね。連絡事項をホワイトボードに直接書いてしまえばそれまでですけれど、ちょっとタイルに描いて貼るだけで、生活感に愛が出る気がします。
――娘さんの入学時期が近づいてきましたが、ゆきさんのお宅ではどのように「タイルdeおしたく」を活用していますか?
ゆきさん:本当は三女に使ってもらいたかったんですけど……次女が三女の準備をするために使っているのが現状ですね(笑) 三女が小学校に入学したら、自分で準備してくれる日を期待して、今はこうした使い方もありかなと思っています。
――たしかに、子どもの成長に合わせて使えるのがいいところですね。
磯部さん:つい先日、小さなお子さんのいる方が購入してくださったのですが、「今は子どもが小さいので、私が使います。子どもが成長したら子どもに使わせて、必要なくなったらまた私が使います」と言ってくださって、嬉しかったです。
ゆきさん:子どもの成長に合わせて、お支度ボードも役割を変えていく。それってすごく素敵だなと感じます。ぜひ、それぞれのご家族の形に合わせて、「タイルdeおしたく」を活用してもらいたいですね。
子どもを思う母としてのゆきさんの思いと、焼き物の良さを広めたいという磯部さんの思いが通じ合って生まれたお支度ボード。開発したお二人と購入した人たちの温かな思いに触れることができました。「タイルdeおしたく」は「ひろべこうき」のオンラインショップで購入できます。気になった方はぜひチェックしてみてくださいね。