ビジネスなどでも勘違いの起きやすい「終日」という言葉について、ビジネスやお店、日常生活などケース別の意味や使い方、英語表現を解説していきます。

よくある誤用や注意点、類語、語源に読み方もまとめました。

  • 終日の意味とは

    終日の意味や、具体的に何時から何時を指すのかを解説します

終日とは? 意味や読み方を解説

終日はシーンによって意味の変わる言葉なので注意が必要です。

終日の辞書的な意味は?

終日の基本的な意味は、「一日中、丸一日、朝から晩まで」です。

ただし、以下の使用例を見てもわかるように、具体的に何時から何時を指すかはあいまいな言葉です。

<使用例>

  • ここのカフェのあの席は予約席で、終日利用できないと書いていました
  • 〇〇駅前の定食屋は、ランチタイムのみならず終日お客さんでにぎわっています
  • 担当の〇〇さんが終日不在でこれ以上仕事が進まないため、定時で帰ります
  • 明日は終日、雪の予報です

終日の読み方は「しゅうじつ」「ひねもす」「ひもすがら」

終日は、「しゅうじつ」「ひねもす」「ひもすがら」と読みます。読み方は違いますが、どれも同じ意味を持ちます。

なお、「ひねもす」は古語から現在までの読み方、「ひもすがら」は古語としての読み方になるため、一般的には「しゅうじつ」が使われることが多いでしょう。

  • 終日の基本的な意味

    終日の基本的な意味を理解しましょう

終日の注意点とよくある誤用

終日はあいまいな言葉なので、使用する際は注意が必要です。

終日は、実際には定義が状況によって変わる言葉

「日」という漢字が「太陽」を表す関係で、「日が昇ってから沈むまで」と表現できます。しかし、前述のように具体的に何時から何時までという定義はなく、日常会話やビジネスシーンなど、使用する場面や人によって、示す時間が異なるでしょう。

そのため、相手との間に認識のずれがないかなどを意識する必要があります。

「終日中」は誤用

「終日中」といった使用法は誤用です。「終日」という言葉そのものに一日中という意味があるため、「中」を付けると、意味が重複してしまいます。

「終日中」と使わないよう気を付けましょう。

  • 終日の誤用に注意

    終日の誤用を防ぎましょう

【ケース別】終日を実際に使用する際の意味

終日を実際に使用する際に、どのような意味合いになるのでしょうか。ここからは、ケースごとに終日の意味を紹介します。それぞれ定義があいまいなので、心配なときは相手への確認が必要です。

ビジネスにおける終日は「始業時間から終業時間まで」または「その人の勤務中」

オフィスワークでは24時間を指すのではなく、「始業時間から終業時間」といった時間帯で使われるのが一般的です。

そのため、例えば9時始業で17時半終業の会社と10時始業で18時終業の会社では、終日を指す時間帯が変わるので注意しましょう。

または「その人が出勤してから退勤するまでの間」を指すこともあります。

お店やレストランにおける終日は「営業時間内」または「24時間」

「店舗の営業時間」を指すのが一般的です。ショップやレストランなど業種や店舗によっても異なりますが、10時開店で21時閉店の店舗と、11時開店19時閉店とでは、それぞれ「終日」を意味する時間帯が違ってきます。

また、24時間営業を表す場合もあります。

日常生活における終日は「自分が起きている間」「一日中」など

日常生活では、自分が起きている間を表すのが一般的です。例えば「昨日は終日テスト勉強をしていた」という場合は、24時間、不眠で勉強していたという場合は少なく、「起きてから寝るまでの間はずっとテスト勉強をしていた」と考えるのが通説です。

また、「昨日は家に終日いました」「明日は終日雨でしょう」などの場合は、一日中といった意味になるでしょう。

  • シーンごとの終日の意味、定義

    終日の定義はシーンにより変わります

終日と全日の違い

終日と似ている全日という言葉の意味には、「すべての日、毎日」と「一日中、丸一日」があります。

前者の意味は、終日にはありません。「11月は、土日祝日含め全日営業します」といった場合は、11月1日から11月30日まで、30日間、休日なく毎日営業する、という意味になります。

<使用例>

  • 〇〇オーケストラの出演者がけがをしたというニュースがあったが、公演日に変更はなく全日公演するとのことだ
  • 当ゴルフ練習場に定休日はなく、全日営業しています
  • 終日と全日の違い

    終日と全日の意味の違いを知りましょう

ビジネスでよく使う、終日を含んだフレーズの使い方と例文

ビジネスで使用する際の意味について理解できても、どのように使えばいいのか分からないという方もいらっしゃるでしょう。ここからはよく使うフレーズと例文を紹介しますので、参考にしてみてください。

終日対応可能・終日可能

勤務時間内であれば対応できるという場合に、終日対応可能、終日可能という表現を使用できます。ただし相手から終日対応可能と言われても、勤務時間外に依頼や連絡をすることは控えましょう。

逆に定時までのつもりで「終日対応可能」と言った際に、相手が「24時まで」などと思ってしまう場合もあるので、双方の間で思い違いがないよう、重要な約束の場合は具体的な時間を示した方が無難です。

<使用例>

  • 電話やメールにて終日対応可能です。ご不明な点がございましたらお気軽にお申し付けください
  • シフト変更は終日可能です

終日仕事

終日仕事は、朝から晩までを指すことが多いです。息つく間もなくという意味で使われる場合もあります。

<使用例>

  • 提出期限が明日のため終日仕事に追われた
  • 終日仕事して納期に間に合わせるつもりである
  • 祝日だがシステム設定変更のため終日仕事して対応した

終日不在

今日は会社にいないことを指す場合は、終日不在と表現します。もし電話などで終日不在と言われたら、基本的には明日の始業時間以降でないとコンタクトが取れないという意味です。

<使用例>

  • (電話にて)担当者の○○ですが、あいにく本日は終日不在にしております
  • 明日は外回りのため、終日不在です。急ぎの要件がある場合は、携帯電話にご連絡ください

終日運休

電車やバスなど、乗り物を利用する際に目にすることが多いです。

<使用例>

  • 総武線は台風の影響により終日運休となっております
  • 山手線は悪天候のため終日運休となっているためご注意ください

終日営業

基本的に終日は営業時間内を指しますが、「終日営業」となると24時間営業という意味合いが強くなります。

<使用例>

  • ここは終日営業なので、急な打ち合わせが入った際によく利用する
  • 会社は繁華街にあるため、近くには終日営業のお店が多い
  • 終日の例文

    よく見聞きする例文を覚えておきましょう

終日の語源

平安時代に中国より「終日(しゅうじつ)」という漢字と音読みでの読み方が伝わったのが由来といわれています。

元々、日本古来より一日中を指す言葉として「ひねもす」「ひもすがら」と訓読みで使われていたため、漢字の終日にその読み方が追加されたと考えられています。

終日の類語・言い換え表現

ここからは終日の類義語について紹介します。ニュアンスが多少異なってくるため、注意が必要です。状況に応じて使い分けられるようにしましょう。

一日中

一日中は朝から晩まで、丸一日という意味です。自分のことを説明する際は「終日」より「一日中」の方が適しています。

<使用例>

  • 今日は一日中面接の予定が入っていて忙しかった
  • 一日中名古屋で打ち合わせだった
  • レンタルスペースで一日中缶詰になり作業した
  • 有名なラーメン屋に行きたい一心で一日中仕事をした

日夜・昼夜

日夜や昼夜は、昼も夜もいつもといった意味があります。何かの作業に明け暮れたり、頑張ったりする場面で使われることが多いです。

<使用例>

  • 大規模なイベントが控えているため、日夜作業に追われています
  • 職業柄、日夜スケジュール管理が絶えません
  • 古典文学を研究する会に所属し、日夜研さんに励んでいる
  • 昼夜を問わず、ひっきりなしに電話が鳴っている

いつでも

いつでもは、どんな時でも、常にという意味の言葉です。漢字では「何時でも」と書きます。

<使用例>

  • いつでもいいので、気が向いたらお返事を下さい
  • あの人はいつでも笑顔だ

四六時中

四六時中とは、一日中ずっと、いつも、始終(しじゅう)、常に、という意味があります。簡単に言い換えると「いつも」という言葉が合います。

<使用例>

  • 四六時中締め切りに追われる仕事柄のため、睡眠時間が取れません
  • 四六時中、法律を学んでいます
  • アルバイトに四六時中明け暮れています
  • 四六時中敬語を使う業務のおかげで、敬語に慣れてきました

尽日

尽日とは一日中、終日という意味があります。現代ではあまり使われることはなく、古語・古文として使われます。

<使用例>

  • 尽日家族と過ごしました
  • 尽日燃えていた
  • 終日の類義語

    終日の類義語を知りましょう

終日の英語表現

「終日」という言葉を英語で表現した場合、どのように訳されるのでしょうか。ビジネスシーンにおいて英語を使う場面は増えているため、英語での表現も把握しておきましょう。

いくつか紹介するため、機会に応じた使い分けをしてみましょう。

all day

「all day」には一日中といった意味があります。

<使用例>

  • There is a quick way to the florist here, but unfortunately it is closed to traffic all day long.
    (花屋への近道がこちらですが、あいにく終日通行止めです)
  • Smoking is allowed all day in this space.
    (このスペースだと終日喫煙可能です)
  • With regard to the fact that this symbol is not displayed, would you like to stop the database all day?
    (この記号が表示されない件に関しまして、終日データベースを停止しての作業になりますがよろしいでしょうか)

the whole day

「the whole day」は丸一日といった意味です。

<使用例>

  • If you look at the calendar, this day is vacant the whole day, so construction is possible.
    (カレンダーを見るとこの日は終日空いておりますので、工事は可能です)
  • It is a date stamping service of the mug of the flower pattern of this place. We accept the whole day.
    (こちらの花柄のマグカップへの日付刻印サービスです。終日受け付けております)

all through the day

「all through the day」は一日中といった意味です。

<使用例>

  • We are planning to suspend the schedule throughout the day.
    (終日の計画運休を予定しています)
  • The last day is free all through the day, so you can always respond!
    (最終日は一日中空いているので、いつでも対応できます)

at all times/at any time

先ほどまでの「丸一日、一日中」といった意味とは少し異なります。at all timesには「常時、必ず」といった意味があります。

<使用例>

  • This space is always non-smoking all the times.
    (このスペースはいつも禁煙です)

at any timesには「どんな時にも」といった意味があります。

<使用例>

  • Birthday plates are available at any times.
    (誕生日プレートはいつでも対応可能です)
  • 終日の英語表現

    終日の英語表現を理解しましょう

終日が何時から何時までを指すかは、状況によって異なる

終日には具体的な時間の定義がないため、使用するシチュエーションによって表す時間が異なります。そのため、使い方を間違わないように、相手との間に認識のずれがないかなどを意識する必要があります。

ビジネスシーンや日常生活における終日の意味を正しく理解し、それぞれの場面に応じた使い分けができるようにしましょう。