JR九州とNSD、HOYAのMD部門「ReadSpeaker」は11日、筑肥線の一部列車のワンマン化に合わせ、スマートデバイスを用いた運転士向け支援アプリの拡張機能として、「列車内自動放送アプリ」を開発し、3月13日から使用開始すると発表した。

  • 運転席にタブレットを設置した様子

JR九州では、2018年から安全性とサービスの向上、異常時の運転再開迅速化、検査効率の向上などを目的に、鉄道事業の各部門においてスマートデバイス(iPad・iPhone)の導入を進めてきた。その中で、運転士のヒューマンエラー防止のため、iPad上で動作する「運転士支援アプリ」を独自開発し、運用している。

一方で、JR九州のワンマン列車では、車両内に設置された専用機器を運転士が手動で操作することにより、列車内自動放送を行っているが、機器の操作性に加え、多言語対応や放送内容の柔軟な変更対応などのサービス向上やコストが課題となっていた。

これらの課題を解決し、今後も持続可能な移動サービスを提供すること、「運転士支援アプリ」の品質向上と機能拡充を図ることを目的に、NSDへの開発アウトソースに合わせて、同じくiPadで動作し、専用の放送装置を必要としない「列車内自動放送アプリ」を開発した。

  • アプリ画面イメージ

  • 自動放送機能のイメージ

「列車内自動放送アプリ」は、HOYAの音声作成ソフト「ReadSpeaker」による音声合成を活用するとともに、2020年3月にJR九州システムソリューションズと資本業務提携し、先端技術を活用してDX分野で共創を行う独立系SIerであるNSDと共同で開発。これにより、列車内自動放送を専用機器から置き換え、操作性の簡素化、音声編集の低コスト化を実現するとともに、フレキシブルな放送内容変更、幅広い地域での多言語放送によるサービスの向上を実現する。

3月13日以降、筑肥線・唐津線(姪浜~西唐津間)の一部列車(車掌乗務列車も含む)にて、303系3編成(計18両)と305系6編成(計36両)を対象に導入。今後は他路線への適用拡大を図るとのこと。