昇級の自力は横山泰明七段。昇級のためには勝つしかないという分かりやすい構図

第79期順位戦B級2組(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の最終局、11回戦が3月10日に東西の将棋会館で一斉に行われています。前節の10回戦で藤井聡太二冠と佐々木勇気七段が昇級を決め、残る昇級枠は1つ。それを7人で争います。


第79期順位戦B級2組の上位成績者を抜粋。今期から昇級が3枠に増えたことで大混戦に

昇級の可能性があるのは、6勝3敗の横山泰明七段(3)、澤田真吾七段(4)、村山慈明七段(6)、中田宏樹八段(8)、大石直嗣七段(11)、中村太地七段(16)、5勝4敗の谷川浩司九段(1)です。(カッコ内数字は順位)

昇級のための条件はいたってシンプル。大石七段と谷川九段の直接対決があるため、7人とも負けた時点で可能性は消失します。横山七段は勝てば無条件の自力。他の棋士は自身が勝利した上で上位の棋士の負けが必要となります。

横山七段は前局で勝利していれば昇級でしたが、北浜健介八段に敗れてしまいました。実は前期最終局でも北浜八段に敗れ、3位で惜しくも昇級を逃していたのです。しかし同じく2敗だった中田八段、大石七段も相次いで敗れ、自力で最終局を迎えることができました。対戦相手は窪田義行七段です。

キャンセル待ち1番手は澤田七段。今期は開幕から3連敗で早くも昇級争いから脱落かと思いきや、そこから不戦勝を含む6連勝で一気に浮上してきました。まさかの大逆転昇級を実現できるでしょうか。飯塚祐紀七段と対戦中です。

村山七段は佐々木勇七段と、中村太七段は藤井聡二冠と対戦。それぞれ昇級を決めている相手との戦いです。すでに昇級者の来期順位は全て決まっている、いわば消化試合とはいえ、対局で手を抜く棋士は一人もいないのが将棋界。激戦が繰り広げられるでしょう。

中田宏八段、大石七段は前局敗れたのが響き、昇級争いから大きく後退してしまいました。最終局で勝利した上で、上位大崩れという一縷の望みに懸けます。

すでに昇級を決めている両者にも触れましょう。藤井聡二冠と佐々木勇七段は1回戦で対戦し、藤井聡二冠が勝利しています。その後はともに連勝で、1局残して昇級となりました。両者は前期に続いての連続昇級です。

通算で8割4分という圧倒的な成績を残している藤井聡二冠ですが、順位戦では38勝1敗、勝率9割7分4厘というさらにとてつもない勝率となります。連勝は現在20。最終局で今期有終の美を飾り、記録を伸ばしていくのでしょうか。

毎年安定して好成績を残す横山七段。自力で迎えた最終局で勝利なるか
毎年安定して好成績を残す横山七段。自力で迎えた最終局で勝利なるか