ミュージカル『ウェイトレス』が9日に東京・日生劇場で初日を迎え、高畑充希、宮野真守、宮澤エマ、LiLiCo、浦嶋りんこが取材に応じた。
同作は、アメリカ映画『ウェイトレス~おいしい人生のつくりかた』(07年)をベースに製作されたブロードウェイミュージカルで、今回が日本初演となる。アメリカ南部の田舎町でとびきりのパイを提供するウェイトレスのジェナ(高畑)は、ダメな夫・アール(渡辺大輔)に苦しみながらも妊娠していることに気づき、妊娠は嬉しくないが産むことを決める。産婦人科の若い医師・ポマター(宮野)と惹かれ合い、「全国パイづくりコンテスト」で優勝して賞金を獲得できたら夫と別れようと決心するが……という、悩める現代女性を全力で応援するコメディ・ミュージカルだ。
同作を何回も観たという高畑は「最初はニューヨークで拝見して、あまりに面白くて感激してしまって。曲も素晴らしいし、もう1回観たいと思ってロンドンに行って、もう1回観たらもう1回観たくなって、またニューヨークに行って観た」とワールドワイドに楽しんだ様子。「日本に帰ったときに『こんな素晴らしいミュージカルがあって、チャンスがあったらやりたいなあ』と言ってたら、叶った」と念願の出演となった。
同じくブロードウェイで観たという宮澤は「大号泣って、こういうことかなと。嗚咽混じりで泣きながら観て、パイも売ってたからパイをむさぼりながら泣きながら、浄化されて劇場を出て行くみたいな、宗教的な体験をした」と振り返る。「日本にいつか来るのであれば何らかの形で関わりたいなと思っていたんですけど、『ピピン』に出た際に演出家のダイアンさんが『ウェイトレス』も演出されていて、『あなた、ドーン(役)にぴったりだと思う』と言われ、社交辞令かと思ってたら、本当にオファーをいただいたので、縁ってこういうことなのかな」と意外な経緯を明かした。
またミュージカルでは初共演となる高畑について、宮野は「年に1回くらいは会ってたんですけどね、バラエティで」と、星野源の冠音楽番組『おげんさんといっしょ』(NHK総合)のことをほのめかし、高畑も「そうですね。かなりアブノーマルなシチュエーションでいつも顔を合わせていただいていたので、まさか」と同意。今回は不倫関係に陥る役柄で、高畑は「ポップとはいえかなりいろんなことが繰り広げられるミュージカルなので、最初は大丈夫かなと思ったけど、相談しながら稽古できてすごく心強い存在です」と信頼を寄せる。
改めて「お芝居できてすごく嬉しいです。やっとお芝居できたから」(宮野)、「お芝居したことなかったから」(高畑)という2人だが、宮野は「すごい引き込まれますね。舞台で一方的に拝見したときも引き込まれて目が離せなかったけど、実際に相手役となった時に、充希ちゃんと対面すると、自然と物語の登場人物になれる。それが楽しくてしょうがない」と息ぴったりの関係を見せた。
取材では「今の気持ちをパイに喩えると?」という難問も飛び出し、「外見は甘いクリームで、中身はボリューミーでフルーツがいっぱい入ってるパイにして作品をお届けしたい」(浦嶋)、 「なんで奥さんがミュージカルデビューしてるのに名古屋で別の舞台やってるんだろうパイ」(LiLiCo)、「"1口食べたら絶対ずっと健康パイ"が食べたい。私たち、何回PCR検査受けたのかってくらい万全の体制でやってるので」(宮澤)と個性的な回答が続く。さらに「パイ生地だけパイ!」と叫んだ宮野は、「色んなことがあったけど、今はまだパイ生地だけパイ! お客さんが入ってやっと僕らの『ウェイトレス』が始まるので、パイ生地だけパイ!」と連呼。最終的には高畑が「皆が楽しかったらそれでいいよパイ」とまとめ、キャスト陣も「座長ありがとうございます!」と感謝していた。
東京公演は日生劇場にて3月9日〜30日、福岡公演は博多座にて4月4日〜11日、大阪公演は梅田芸術劇場メインホールにて4月15日〜19日、名古屋公演は御園座にて4月29日〜5月2日。
舞台写真提供/東宝演劇部