子どもを「褒める」のは難しい。「褒めたら満足して手を抜くかも」「褒めて本当に成長につながるの?」など、子どもの褒め方に悩む保護者は多いそうです。

実はこの「褒め方」、子どもだけでなく大人も同じだというツイートを、きなこ 英語で一歩踏み出す(@Kinaco_Inu)さんが投稿して注目を集めていました。

  • 適切な褒め方とは? ※画像はイメージ

きなこさんは社会人向けにTOEICのコーチングを行う英語コーチです。そのコーチング経験を踏まえた考えがこちら。

スタンフォード大学の研究。子供に「頑張ったね」と努力を褒めると、何にでも挑戦する姿勢が強くなる。ところが「頭がいいね」と能力を褒めると、失敗を恐れ、新しいことを避けるように。きっと大人の私たちも同じだ。過程にに目を向けて、自分の成長を認められたら。私たちはきっともっと前へと進める。
(@Kinaco_Inu)より引用

この指摘には、「結果ではなくプロセスを褒めるのは 子どもも大人も一緒ですね!」「努力する姿をまずは褒めることが大切なのですね」「加点式と、プロセス、この二つを大事にしたいです」など、賛同する声が寄せられていました。

また、「後輩ちゃんを褒める時、ついそのこの能力だけを褒めてしまってたな。過程を褒めてあげたい」「結果が出なきゃ意味ないという人は確かに多いのだが、過程を褒める事で結果が改善するのを考えると、評価は結果だけど賞賛は常に最大限するのがいいね」など、社会人でも大切だ、とコメントする読者も。

なかには、「褒められたことがないので、失敗を恐れるままに生きてきた。今は諦めて褒める褒めないとか概念に惑わされないで生きてます。悲しくなるから」「私は頭がいいと言われ育った 失敗を恐れて新しいこと避けて生きてます」「うちの親は厳しく、しょっちゅう勉強しろと言われたので勉強が嫌いになりました……頑張ったねと沢山褒めてほしかったですね笑」など、自分にはなかった! と自身の悲しい過去を紹介するコメントもありました。

さらに、「頭がいいねで褒められると、大人になってもその呪いがかかるので可哀想な人が多い件。分かります」「『天才』『上手』『センスがいい』こういう言葉を安易に使うことの危険性
結果よりも努力の過程、工夫した部分を褒めてフィードバックするための、視点や褒め言葉のレパートリーを増やすことが教育者には求められると思います。成功という結果に囚われすぎずに、過程を重視する視点の大切さ」など、警鐘を鳴らす声もあがっていました。

成長を促す褒め方

多くの意見を引き出した今回のツイート、きなこさんに詳細を聞きました。

――そもそも本ツイートの元になる、「スタンフォード大学の研究」の出典は何でしょうか。

きなこさん: 『マインドセット「やればできる!!」の研究』(草思社)で解説された内容です。

――大人相手の英語コーチで、どのように活用されていますか?

きなこさん: コーチングを求める多くの方は、「私は地道にコツコツと勉強する才能がそもそもない。だから、全然スコアが伸びません」と自分の能力と即座の結果に焦点を当てています。

ところが、きなこさんの見るところ、点数に結びつかないけれど、1ケ月前と比べて着実に進歩している。そこで次のように声がけすると言います。

「○○さん、この間までは何が分からないか、ご自身で説明できなかったのに、今では『受動態と能動態の使い分け方が分からない』って説明ができるようになりましたね。分からないところを言葉にできるのは、毎日努力している証で、素晴らしい成長です」。

きなこさん:そのうえで、うまくできたこと、できなかったこと、それに対する改善点を一週間の終わりに自己評価で振り返ってもらいます。主観的な視点と客観的な視点で「自分の成長」にフォーカスする。これを丁寧に分析できる人は、成長スピードが違いますね。

できない今の自分を認め、何ができないかを分析し改善点を自ら求めていく。このサイクルに入り、成長の階段を一気に駆け昇っていくケースをよく目にするそうです。その結果、AIのTOEICスコア測定で1ケ月100点単位で伸び、TOEIC公開テストでは、過去のベストスコアを100点更新した人もいたとか!

――改めて、伸びるために必要なことを教えてください。

きなこさん:自分の「能力」に焦点を当てると、完璧にできていない「今の自分」を不安に感じます。すると現在地からゴールの遠さに圧倒され、勉強の手も止まってしまいます。まずは完璧にできない自分を認めてあげること。それでも努力によって、いつか実現できると信じること。この二点が非常に、大人にとっても重要だなと、日々感じていますね。

せっかくの機会なので、新社会人となる人へのアドバイスを貰えないかお願いしたところ、自身のあるエピソードを紹介してくれました。

――4月に社会人となる読者へ「働く」ことへの心構えを伝えるなら?

きなこさん: 私が新入社員の頃、非常に頼りになる3歳年上の先輩がいました。フットワークがとにかく軽く、深い知識も持ち、予想外のトラブルでも機転が利き、人への気遣いも素晴らしい人でした。

先輩との違いに若干凹み気味のある日、「先輩は神だな。私は何にもできない」とこぼしたところ、その先輩は次のように返したそうです。

「そんなことないよ。私はもう5年もやってるから、あなたが分からないことが見えるだけ。あなたも毎日積み重ねていけば、3年後には私なんか越えられる」。

きなこさん: (仕事の)知識不足から気持ちの余裕を無くし、また、先輩や上司と比較して何もできない自分が悔しくて、泣きたくなる時もあるでしょう。でも、それは初めてだから、できないだけ。いきなり完璧を求める必要はありません。

実際、3年後のきなこさんは、憧れた先輩のように後輩を引っ張り、業務の問題点改善などもできるほど成長できたそう!

「ゆっくり、ゆっくり、成長していきましょう」と暖かいエールを最後に頂きました。新社会人の皆さん、今回の話をぜひ参考にしてください。