「コップの水は、半分しかない」「コップの水は、まだ半分もある」。

両者はどちらも同じ状況を表す言葉ですが、それぞれの表現で受ける印象が異なりませんか?

本記事では、心理現象のひとつである「フレーミング効果」を紹介します。この効果を知ることで、同じ事象であっても、表現の仕方を変えることで、相手に異なる印象を与えられるようになります。

  • パソコンをみながらメモをとる人

    企業の広報・マーケティング活動などで用いられる「フレーミング効果」について、理解を深めましょう

フレーミング効果の概要

フレーミング効果とは、「ある事柄を説明するにあたり、伝え方・表現を変えることで、相手に与える印象を変えられる」という心理現象のことです。例えば、「〇〇を5g配合」と表現する場合と「〇〇を5000mg配合」と表現する場合とでは、後者の方が、配合量が多いような印象を持ちませんか?

このように、表現の方法で与える印象を変えるのがフレーミング効果です。先述の「コップの水は、半分しかない」「コップの水は、まだ半分もある」という表現で受けた印象が異なるのも、この効果によるものというわけです。

  • 紙に何かを書き込む様子

    フレーミング効果を使うことで受け手に伝わる印象が変わります

マーケティングにおけるフレーミング効果の活用方法

フレーミング効果は、企業のマーケティング活動でも応用されています。以下では、フレーミング効果の活用事例を紹介します。

例1. 「1枚無料」か「2枚半額」か

たとえば、アパレルショップなどにおいて、「50% OFF」や「半額」という言葉をよく見かけますよね。また、それと同様に「1着買ったら2着目は無料」という言葉も見かけませんか?

1万円の服を2枚買う場合、「50% OFF」でも「1着買ったら2着目は無料」であっても、支払う額は「1万円」に変わりありません。しかし、後者の方が「1着無料」というインパクトがあり、魅力的に見える――という方もいることでしょう。

例2. 「ポイント還元」か「現金値引き」か

家電量販店などで見かける「値札からの値引き」と、次回の買い物時に使える「ポイント還元」。ここにも、フレーミング効果が使われています。

例えば、10万円の商品を「値札からの値引き(10% )」で買った場合、支払う額は9万円になります。そこからさらに1万円の商品を追加購入した場合、こちらも値引きがなされるため、支払う額は9,000円となり、合計で9万9,000円の額を支払うことになります。

一方、10万円の商品を「ポイント還元(10% )」で買った場合、1度目に支払う額は10万円になります。そこからさらに1万円の商品を追加購入する場合、1度目の支払いで獲得したポイントを利用することができますので、追加料金はかかりません。

さて、最終的に支払った額が多いのは「ポイント還元」の方なのですが、どちらがお得に感じますか?

値引き率は「値札からの値引き」のほうが大きいのですが、「ポイント還元」では「無料で買い物ができる」という体験を提供することで、お得感を演出しています。

例3. 「1勝4分け」か「5戦無敗」か

スポーツチームの成績を示す際、フレーミング効果を使うことで「チームを強そうにみせる」ことができます。

たとえば、チームの成績が「1勝4分け」だったとき、そのままの表現では「勝ちきれない」という印象を与えますが、これを「5戦無敗」にすると「無敗」という言葉から強そうな印象になります。

例4. 「満足度95% 」か「不満足度5% 」か

商品の広告などで「顧客満足度」という言葉を見かけたことのある方は多いでしょう。

仮に「顧客満足度95% 」と書くと情報の受け手に「ほとんどの方が満足しているから安心できる」「失敗する心配はあまりしなくてよい」と、リスク回避の心理に訴えかけられます。しかし、反対に「顧客不満足度5% 」と書くと、「ちょっと不安」「5% の人は満足しなかったのか」とネガティブなイメージを持たせてしまうことでしょう。

  • ホワイトボードを眺める人

    フレーミング効果は、企業のマーケティング活動でも応用されています

フレーミング効果をマーケティングで活用しよう

告知したい内容や広告、商品のキャッチフレーズの表現を変えたり、何にフォーカスをあてたりするかで対象者に与える印象が異なります。

フレーミング効果を知り、効果的に使うことでマーケティング活動に役立てましょう。