eスポーツ大会及びイベントの総合演出・運営、eスポーツ施設の運営を行うE5esports Works(E5)は、「LFS(ルフス)池袋 esports Arena」のスタジオ化とE5主催のeスポーツ大会、イベント、定期配信番組制作を発表しました。

「ルフス池袋」は、ハイスペックゲーミングPCを利用できる施設として、eスポーツイベントや一般ユーザーの時間貸しとして利用されてきました。現在はコロナ禍において、営業を休止しており、利用できないようになっています。そこで、施設の有効利用として、需要が高まる配信事業のスタジオとしての利用方法を提案し、「LFS STUDIO(ルフススタジオ)」として生まれ変わることを発表しました。これまでの一般利用から完全に切り替えるわけではなく、コロナ禍が収束したおりには、一般利用とスタジオとしての両輪での展開を考えています。

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    発表会の様子をレポートします

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    発表会に登壇したE5esportsWorks代表取締役 西川典孝氏

スタジオには、メインステージ、プレイアリーナ、テックルームをひとまとめにしたエリアと、2つのボックスルームを用意。全フロアのレンタルから、個別のレンタルまでさまざまなプランをそろえます。

スタジオ化するにあたり、ステージとアリーナ後方と側面、ボックスルームの2面にグリーンバックを設置。CG合成やバーチャル背景を利用した配信にも対応できるようになっています。また、配信用の機材も充実。カメラやスイッチャー、MCの台本を映せるプロンプターなどプロ仕様の機材をそろえます。プロンプターを完備しているスタジオはあまり見かけないので、多くの配信者にとってありがたいのではないでしょうか。

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    番組撮影に使えるメインステージとアリーナ、オペレーションルームに加え、2つのボックスルームも用意。ボックスルームは練習部屋だけでなく、小規模配信や楽屋としても使用できます

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    個人配信では準備しにくい高級機材がそろっています

ボックスルームでは、手ぶらで来店し、すぐに配信ができるパッケージプランやeスポーツチームが合宿するのに最適なブートキャンププランも用意。価格帯はかなり低価格な印象です。業者利用のみならず、個人での利用でも十分に支払える価格帯なので、自宅で機材を取りそろえるよりも簡単に配信などを行えるでしょう。ボックスルームは1部屋6時間で2,750円(税込、平日)からです。新生ルフスは4月1日より利用が可能。予約方法などは公式サイトで発表するとのことです。

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    スタジオ料金表。6時間の利用でこの料金はかなり安め。特にボックスルームは個人から企業までさまざまな人の利用が見込めます

E5が主催する2つのeスポーツイベントの開催も発表しました。1つは、誰でも参加できるオンラインカジュアルイベント「E5フェス VALRORANT 個人技王決定戦」です。毎月1回のペースで実施を予定しており、第1回目は3月27日に開催。タイトルはイベント名にあるように『VALORANT』です。『VALORANT』は5人1組で対戦するモードがメインですが、この大会では参加者全員が敵となる「デスマッチ」モードを使います。一般参加のほかに、プロゲーマーやストリーマーなども招聘し、ゲスト10名によるエキシビションマッチも実施予定。応募方法などの詳細は公式サイトを参照してください。

もう1つは、競技プレイヤー向けの本格eスポーツ大会「E5マスターズ」です。こちらは競技タイトル、大会実施日時など未定ですが、E5フェスとは違い、プロゲーマーを中心としたトップオブトップの大会となりそうです。

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    月に一度のペースで開催される「E5フェス」。誰でも参加できる気軽な大会です

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    まだ準備中の「E5マスターズ」は、トッププレイヤーによる大会です

そして3月10日よりTwitchにて、E5の配信チャンネル「E5なう!」も開設されます。「E5なう!」は、E5社員が豪華ゲストと話題のゲームについて語り合い、プレイするトークバラエティ。毎週水曜日19時より配信予定です。10日の初回配信では、今回発表会に登壇した西川典孝社長がノリさんとして出演し、『リーグ・オブ・レジェンド』のシルバーランクを目指します。特別コーチに元プロゲーマーで解説やコーチングを行っているiSeNN氏を迎えて、本気でシルバーランクを狙うそうです。

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    Twitchで配信される公式チャンネル「E5なう!」

発表会の最後には、E5と同じくeスポーツイベントの主催、運営を行うウェルプレイド・ライゼスト 代表取締役の古澤明仁氏とCyberZ 取締役 CSOの大友真吾氏によるスペシャルトークセッションを行いました。

数あるイベント系の運営において、競合が協力することは珍しいことですが、ことeスポーツに限ると、意外と当たり前に行われています。今回のトークセッションに参加した三方とも、何度もイベントを共催したり、お互いの主催イベントの手伝いをしたりと、競合より協業に近い存在。eスポーツを普及させたい気持ちは3社共通の目的であり、そのためにお互いが手を取り合うことは、eスポーツ界隈では大会運営のみならず、チームやスポンサーなどでも見られます。

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    eスポーツイベントを運営、開催する3社の代表によるトークセッション。司会はeスポーツキャスターの岸大河氏が担当しました

今後のeスポーツの目標として西川氏は「プロだけでなくても楽しめるイベントを開催したい。以前、草野球の大会で勝ち進むと東京ドームで試合ができるものがあったんです。プロが使用しているステージでプレイできることにテンションが上がったんですよね。eスポーツでも、ライト層の気持ちが上がるようなステージを用意して、真剣に参加してもらえる大会をやりたいですね」と語ります。

古澤氏は「音楽フェスのように、会場に行ってみたら目的のアーティスト以外の曲も楽しめるようなものをやってみたいですね。ゲームをプレイするだけでなくキャンプを楽しんだり、いろいろなことができるような場を作りたい」と目標を話しました。

すでにRAGEで複合タイトルのイベントを開催している大友氏もフェスに関しては同意。「フェスも季節の風物詩的に継続して開催できるようになるといいですね。さいたまスーパーアリーナのような大きな施設で開催していきたい。あと、これはRAGEを始めたころからずっと言っているんですけど、RAGEからスターを輩出したいんです。大きな施設で大会を開催するためにもスターの存在は必要不可欠ですね。それから徐々に始めていますが、海外進出です」と述べました。

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    ウェルプレイド・ライゼスト代表取締役の古澤明仁氏

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    CyberZ 取締役 CSOの大友真吾氏

コロナ禍でオンライン大会の対応が進んでいるeスポーツイベントですが、それでも多くの人はオフラインで、現場での体験を望んでいます。コロナ禍が落ち着いたあと、オフラインでイベントを開催したとき、それまでの鬱憤を晴らすようなすごい大会にしたいという希望も話していました。

さらに、獲得賞金ではなく、年俸として数億円稼ぐプレイヤーが出現すること、それが実現できるエコシステムの構築も目標に掲げます。

最後に西川氏は「サードウェーブがずっと掲げていることですが、eスポーツを日本の文化にしたいと考えています。一過性のブームではなく、文化として根付かせたい。そのためにE5は力を尽くしていきます」と締めました。

eスポーツ施設もコロナ禍において、影響を受けたものの1つ。そこで、新たな施策として、コロナ禍で需要を伸ばしている動画配信スタジオとして展開することは、店舗にとっても、配信者にとっても有益に働くのではないでしょうか。また、最近は映像のクオリティが求められるようになっているので、ハイエンドの機材を安価に使用できることはかなりのメリットでしょう。