剣客アクションの金字塔として、累計発行部数7,200万部を超える大人気漫画といえば『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-』。激動の幕末、伝説の剣客"人斬り抜刀斎"と恐れられ、明治維新後に"不殺"を誓った緋村剣心が新時代の生き方を模索していく――そんなストーリーは、昨今の激動の"コロナ時代"にも通じるものがある。2021年1月22日から作品誕生25周年を記念した「るろうに剣心展」が開催中ということで、会場に足を運び、今の時代を生き抜くヒントを剣心に教えてもらってきた。
展覧会の目玉は200以上の膨大な原画!
展覧会の一番の見どころは、200を超える原画の数々。会場では和月先生が手掛けた美しい原画が、「仲間とは」「正義とは」「強さとは」「命とは」「幸せとは」という"5つのキーワード"別に展示されている。
また、原作ファンの筆者が感激したのは、原画の展示に添えられた和月先生のコメント。作画時の状況や絵に込めた想いなど、ここでしか読めない裏話が書かれており、どれも「そうだったのかー!」っと思わず声が出てしまうほど。ファンなら一枚も欠くことなくチェックすべし。
さらに、この展示会に合わせて和月先生が描きおろした「剣闘図」と題した二枚一対の作品、新作ネーム『逆刃刀 初撃』も大公開されている。会場に訪れた際には、ぜひ間近で知られざる「るろ剣」の世界観を堪能してほしい。
今の時代にも心に刺さる「るろ剣」の名言
ここからは、そんな展示会場で見つけた「るろ剣」ワールドを彩る名言をピックアップ。昨年から続く新型コロナウィルスの影響で、不安な生活を送っている人も大勢いるに違いない。同じく激動の時代を生き抜いた剣心たちの言葉は、現代人の心に刺さるものも多いはずだ。
出来るのは一つ
この目に映る人々の幸せを
一つ一つ守るコトだけだ……
かつて伝説の人斬りとして幕末を駆けた剣心。明治維新を迎え、"不殺"を誓った剣心が新たな生き方を模索する中で、見出したひとつの答えがこの言葉。不安定な世の中だからこそ、身近な大切な人・コトをしっかり守っていくことは大切だろう。
相手が権力だろうが
暴力だろうが関係ねェ
俺はコイツを背負って
喧嘩をするまで
あえて「悪」という文字を背負いながら宿敵たちと戦う左之助。その心は、自分が経験した悔しくも残酷な過去を、"もう誰にも二度と繰り返させはしない"という想い。大変な時代をブレずに生き抜くための力をもらえる言葉だ。
所詮この世は
弱肉強食
強ければ生き
弱ければ死ぬ
生きるべき者は
この俺だ
「るろ剣」を代表する剣心の宿敵といえば志々雄真実。志々雄の生き方を象徴するこの言葉を、剣心は激闘を通じて全力で否定した。剣心とは正反対な考えだが、人斬りとして幕末を暗躍した志々雄の言葉も、また深い。
犬はエサで飼える
人は金で飼える
だが壬生の狼を飼うことは何人にもできん
維新派の剣心とは違い、新選組として幕末を戦い抜いたのが斎藤一だ。立場は違えど、剣心・左之助・志々雄と同様、揺るぎない決意があるからこそ、自分の信じる道をまっすぐに進んでいける――そんな強い意志を感じさせる言葉。
本物の「逆刃刀」や物販「黒べこ」など原画以外も見どころ満載
大ボリューム&見ごたえ満点の原画のほかにも、ファン垂涎の展示やスポットが充実している。そのひとつが、岐阜県・関の無鑑査刀匠・尾川兼國(おがわかねくに)さんが手掛けた「逆刃刀・真打」。作中で大活躍する剣心の愛刀が完全再現されており、美しく、そして迫力のある逆刃刀に誰もが足を止めること間違いなし。
ほかにも劇場版で使用された登場人物たちの衣装、和月先生のさまざまなネーム原稿など、見どころは実に多彩だ。展示を見終わった後は、作品でもおなじみの「黒べこ」(物販)でオリジナルグッズの数々をゲットできる。
緊急事態宣言の延長や時短営業など、まだまだ先行きが不安な昨今。今なお大勢のファンたちに愛される「るろ剣」の世界観に触れることで、激動の時代を生き抜くヒントを見つけてみてはいかがだろうか。
●Information
「るろうに剣心展」
東京:2021年1月22日~3月7日
(東京ドームシティ Gallery AaMo)
京都:2021年4月23日~6月6日
(京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ)
※新潟でも巡回予定、会期中、一部展示替えあり
(C)和月伸宏/集英社