南海放送の伊東英朗ディレクターが、令和2年度(第71回)芸術選奨放送部門で文部科学大臣賞を受賞し、喜びをコメントした。

  • 南海放送の伊東英朗ディレクター

伊東ディレクターは17年前から、米国がビキニ環礁で繰り返した水爆実験による日本漁船の被ばくについて取材と番組制作を重ねており、現在はクラウドファンディングで募った資金を基に3作目となる映画作りに取り組んでいる。こうした取り組みが「現代史の闇に沈んでいた衝撃的事実を粘り強く掘り起こし続ける調査報道は称賛に値する」と高く評価された。

「信じられない気持ちです」という伊東ディレクターは「今回の受賞のきっかけとなった『NNNドキュメント’20「クリスマスソング」』は、私が、2004年から17年間追いかけてきた事件がテーマとなっています。17年間の取材をベースに、イギリスで元軍人や遺族を取材し構成した番組です。『NNNドキュメント』(日本テレビ系)はローカル局が全国の視聴者に向けて放送できる数少ない貴重な枠です。民放の良心とも呼ばれ50年の歴史を誇る『NNNドキュメント』は、私たちローカル局の制作者にとって、憧れでもあり生きがいでもあります。これまで15本を放送させていただくことができましたが、この番組があったからこそ、モチベーションを保ちこの世界で続けてこれました。また、ほとんど知られていない事実を掘り起こすという、地味で結果の出ないこのようなテーマを追いかけることを後押しし続けてくれた南海放送の皆さんに心から感謝しています」とした上で、「今年、同テーマで第3作目となる映画の完成を予定しています。そしてその映画を携え、アメリカを中心に事実を伝えていきます。また地道な活動が始まります」と意気込んでいる。