各社から高機能なオーブントースターが発売されていますが、アイリスオーヤマの「マイコン式オーブントースター MOT-401」(以下、MOT-401)も注目トースターのひとつ。「凝縮過熱水蒸気で食パンを包み込むように焼く」のが特徴で、流行の生トーストも調理できます。

アイリスオーヤマらしく、プレミアム機能搭載なのに参考価格は14,800円(税別)と、コスパも優秀。こうなると気になるのが調理したパンの味! じっくりMOT-401の凝縮過熱水蒸気とやらを試してみました。

  • 生トーストが焼けるという凝縮過熱水蒸気調理が特徴的なアイリスオーヤマの「マイコン式オーブントースター MOT-401」。通常のトーストなら食パン4枚まで同時に調理可能。焼き芋などの専用メニューのほか、80~230℃までのオーブン調理もできる多機能さ。本体カラーとして、ホワイト、グレー、ブラックの3色があります

生パンは耳までフワッフワに! 極上トーストの香ばしさも外せない

食パンはトースターで加熱すると表面が固くなりますが、この固いクラスト部分がなく全体的に柔らかく仕上がるトーストのことを「生トースト」というようです。そんなわけで、まずはMOT-401の目玉機能である「生トースト」を調理してみます。

これには、付属するフタ付きの「専用容器」を使用。専用容器の底に水を入れ(食パン1枚につき15ml、2枚なら30ml)、網を乗せて食パンをセット。フタを閉めたらトースターに入れて「生トースト」モードで加熱します。

  • 付属品は一般的なトースターによくある受け皿(写真左)と、凝縮過熱水蒸気に利用する専用容器(写真右)

  • 写真左上から、専用容器の受け皿、フタ、網、ハンドル。専用容器は蓄熱性の高いSPCC鋼板製。フタを閉めて密閉状態でじっくり加熱し、パンに水分を閉じ込めながら焼き上げる「凝縮過熱水蒸気」調理ができます

  • 専用容器にパンをセットしたところ。MOT-401は最大4枚までパンを焼けますが、専用容器を使った調理は最大2枚まで。パン1枚につき水15mlを入れます。15mlは大さじ1杯なので、頻繁に使うなら専用にスプーンを用意しても

加熱中は、トースターからジュワジュワと水が沸騰するような音がして「蒸気が発生しているんだな」と実感。アラームが鳴ったら焼き上がりです。

  • 「生トースト」で調理した4枚切りの食パン。一見すると「これで焼けてるの?」とも思えるほど見た目は調理前と一緒。2つに割くと、蒸気が立ち上がるくらい中までアツアツでした。しかも調理前より柔らかくしっとり感が増しています

  • 本体にハンドルをひっかけてトースターから取り出します。アツアツなので火傷には注意。フタにもハンドルをかける穴があります

最初の印象は「柔らかくてフワフワ」ということ。耳まで弾力のあるフワフワ感で、小麦の味を強く感じます。 少し前に焼かないでも美味しい「高級生食パン」がブームとなりましたが、この生食パンの食感に温かさがプラスされ、食パンの味と香りがより際立ちます。また、生食パンはそのままだとバターが塗りにくかったのですが、生トーストは温かいのでバターが塗りやすいのもうれしいですね。

「極上トースト」がすばらしい

生トーストはたしかに美味しい! でも食パンのカリカリとした香ばしさが好きな筆者は、毎日生トーストだと飽きてしまいます。そんな人にぴったりなのが「極上トースト」モード。これは専用容器で食パンに水分を閉じ込めつつ、食パンの表面はカリッと香ばしく焼き上げるモードです。ちなみに、生トーストモードは「焼き色」をつけませんが、極上トーストモードでは焼き色を3段階から選べます。

  • 極上トーストモード時の操作パネル。焼き色を「うすい・ふつう・こい」から選択できます

焼き上がったパンはかなり美味! 焼き色「ふつう」だとほとんど焼き色がつかないのですが、表面はきちんとパリパリで香ばしさを感じます。なのに、中心は普通のトースターで焼くより明らかにモチモチしっとりです。

  • 極上トーストモードの焼き色「ふつう」で焼いた食パン。焼き色はほとんどついていませんが、表面カリっと中身ふんわり

惜しいのは、焼き色が3段階しかないため、あまり濃い焼き色にできないこと。個人的には「焦げすぎ?」というくらいの焼き色が好きなのですが、そこまでするには「こい」で焼いたあとに追加で数分焼き直すことになります。また、生トースト、極上トーストともに、専用容器に入れる水が偏ると焼き上がった食パンの一部がふやけることがあります。水をバランスよく入れないといけないのも注意点です。

  • 極上トーストの焼き色「こい」で焼いたトースト。個人的な好みだと、もっと焼き色がほしいところ

  • 極上トーストで焼いたときに水が偏っていた失敗例。ひっくりかえすとトーストの一部が水を吸ってふやけています。専用容器は水の入れ方が重要

専用容器を使ったトーストは、普通のトーストより間違いなく美味しいと感じます。とはいえ、忙しい朝に毎回専用容器に水を入れて洗って……というのも面倒。そんなわけで、MOT-401はもちろん普通に(専用容器を使わずに)トーストも焼けます。専用容器では2枚までしか焼けないトーストが、焼き網に乗せる方法だと最大4枚まで同時に焼けます。

  • 4枚同時に「ふつう」で焼いたときの焼き色。MOT-401は基本的にちょっと薄めの焼き色のようです

  • 左から通常のトーストモードで焼いた「うすい」「ふつう」「こい」の焼き色

専用容器ならではのアレンジトーストも楽しめる

MOT-401は専用容器によって「食材を焦がしすぎず中までしっかり加熱」が可能なことから、アレンジ調理の幅もかなり広がります。たとえば、トーストにキャベツと生卵を乗せて加熱する「巣ごもりトースト」は、普通のトースターだとキャベツが芯まで加熱できずに野菜が半生になりがち。MOT-401の専用容器を使って焼くと、キャベツが中までしっかり蒸されてびっくりするくらい甘く仕上がりました。

  • トーストにマヨネーズとチーズ、キャベツを乗せて生卵を落としただけの「巣ごもりトースト」

  • キャベツの中まで火が通って甘い! 卵も白身は固まっているのに黄身はしっかり半熟で最高の仕上がりに

さらに忘れてはいけないのが「フレンチトースト」専用モード。普通のトースターでは作れないフレンチトーストが、専用容器を使うことで調理可能になったのです(普通のトースターでも、アルミホイルなどを利用してフレンチトーストを調理する方法はあります)。もちろんこのフレンチトーストも試しましたが、いうまでもなく美味! このモードは焼き色を自分で選べないのが残念でした。

  • 卵、砂糖、牛乳を混ぜた卵液に食パンを数時間ひたしたものを、バターを塗った専用容器に入れて「フレンチトースト」モードで加熱

  • フルーツとアイスクリームを乗せればお客さまにも出せるデザートに

専用容器だから夕食の「もう一品」にも対応

専用容器のおかげで、パン以外にもいろいろな調理ができる点も見逃せません。自動調理メニューは20種類。アクアパッツアや蒸し野菜といったメニューも選べます。基本的には食材を入れてメニューを選び、あとは放置するだけなのでとても簡単。我が家では「あと一品ほしいな」というときに大活躍してくれました。

  • 本体上部にある自動調理メニューリスト。料理名の横にある数字を本体のダイヤルで選択して調理します

  • 冷蔵庫にあまっていた野菜と鮭を容器に入れ、バターと酒、しょうゆをかけるだけ。あとはアクアパッツアモードで加熱すれば「鮭のホイル焼き」もどきが簡単に作れます。これだけで夕食が一品。簡単なのに美味しい

  • 野菜を入れて塩をかけ「蒸し野菜」モードで加熱するだけの一品。容器のまま出してもなかなかオシャレで手抜き感がありません

個人的ヒットだったのが「ぎょうざ」モード。取扱説明書を読むと、ぎょうざモードは手作りした棒餃子を加熱するメニューだったのですが、市販の小さめな冷凍餃子を加熱したところ、なかなか美味しくできあがりました。2~3個ちょっとだけ食べたいというときにも便利です

  • 冷凍餃子を専用容器にくっつかないように並べて、ごま油と少量の水を入れて「ぎょうざ」モードで調理。皮部分もパリパリで、スナックみたいで美味しい! 普通の焼き餃子のように皮をしっとりと仕上げたい場合は、調理前に多めに水を張るとよいです

  • 普通のトースターが得意とする揚げ物のリクックも。コロッケも衣がサクサクになりますよ

専用容器の使いこなしがカギ

MOT-401の魅力はやはり専用容器。とくに極上トーストは専用容器を利用するだけで「ここまで美味しくなるのか」と驚きました。 また、専用容器を使えば、アレンジトーストやトースト以外の料理も、アイデアしだいでどんどん広がります。

4枚焼きができるトースターなので幅330×奥行き335×高さ220mmと、本体サイズは少々大きめです。とはいえ、専用容器を使えばトースト、オーブン、蒸し焼きまで幅広い調理が手軽にできるのは大きな魅力。置く場所を取れるならかなり使い勝手のよい調理家電になってくれるはずです。