電気代などの光熱費は、人が増えるほどかさんでいきます。これまでずっと一人暮らしをしていた人が二人暮らしを始めた途端、その金額の高さに驚くこともあると思います。二人暮らしで電気代が高くなる原因はいろいろあるため、原因をひとつずつ確認して対策すれば、ある程度は電気代を節約できます。
本稿では、二人暮らしの平均的な電気代や光熱費についてまとめるとともに、二人暮らしで電気代が高くなる原因と節電術、その他光熱費の節約術について解説します。全国平均の電気代と比べて高いようでしたら、電気代が高い原因を確認・把握して節電術を進めましょう。
二人暮らしの電気代の平均的な月額や光熱費
二人暮らしの平均的な電気代は、月額でいくらでしょうか。平均的な電気代と電気使用量、地域差などを確認して、平均を大きく上回っていないかを確認してください。
平均的な電気代と電気使用量
総務省統計局の家計調査(2020年)によると、二人以上の世帯のうち勤労者世帯(核家族世帯)の電気代の月額(全国平均)は1万546円です。
月額1万546円という電気代を東京電力のスタンダードSプランで計算してみると、1カ月あたりの平均電気利用量は約392kWhです(スタンダードS:120kWhまで19.88円/1kWh、121kWh~300kWhまで26.46円/1kWh、301kWhを超えた場合は30.57円、20Aで基本料金572円として計算)。
単身世帯の場合は2020年で月額平均5,792円、電気使用量は約249kWh。両者を比較すると二人暮らしの場合は電気代・電気利用料ともに単純に単身世帯の2倍にはならず、二人暮らしをする方が電気代の節約になることがわかります。
住んでいる地域でも電気代を確認
電気代は住んでいる地域でも大きな違いがあります。電気代は、暖房や冷房でエアコンを利用する冬や夏に消費が増える傾向があり、特に冬場が最も電力消費量が多くなります。そのため寒い地域は、特に電気代が高くなりがちです。
以下は、2020年・二人以上世帯の地域別月額電気料金平均額です。
地域 | 電気代(月額) |
---|---|
北海道地方 | 1万2,241円 |
東北地方 | 1万2120円 |
関東地方 | 1万162円 |
北陸地方 | 1万3,518円 |
東海地方 | 1万463円 |
近畿地方 | 1万166円 |
中国地方 | 1万1,597円 |
四国地方 | 1万1,750円 |
九州地方 | 1万77円 |
沖縄地方 | 9,976円 |
雪の多い地域である北海道・東北・北陸地方の電気代は概ね高い一方、温暖な沖縄地方の電気代は全国で唯一1万円を割っています。
平均的な光熱費(ガス代・水道代)
その他の光熱費についても確認しましょう。電気代と同じ家計調査で判明した二人以上世帯の光熱費月額(全国平均)は、ガス代4,654円、水道代5,412円、その他光熱費は788円という結果でした。
光熱費の中でも占める割合の多い電気代
ガス代4,654円、水道代5,412円に比べ、電気代は1万546円です。合計光熱費の中で電気代の占める割合は半分以上で、節電ができれば家計の節約にも役立ちます。
現在の電気代が全国平均を大きく上回っており、季節(冬・夏)や地域(寒い地域)の影響がないようなら、電気代が高くなる原因を探りましょう。原因さえわかれば、対策方法も見えてきます。
二人暮らしで電気代が高くなる原因
二人暮らしをするうえで電気代が高くなってしまう原因はいくつかありますが、二人暮らしというライフスタイルの変化が関係する原因は以下の通りです。
- 生活スタイルのずれによる電気の無駄遣い
- 家電の使い方に無駄がある
- 電気料金プランや電力会社などの選択ミス
- 部屋の構造やインテリアの問題
二人暮らしと上記の原因がどのように関係するのかも含めて順番に解説します。
■生活スタイルのずれによる電気の無駄遣い
二人暮らしになり、どちらかが在宅している時間が長くなった、ということはないでしょうか。どちらかが家庭に留まり24時間在宅になった場合、当然自宅で電気を使う時間は長くなります。夫婦共働きで仕事のリズムが大きくずれてしまい、自宅で電気を使う時間が長くなってしまったというケースもあるでしょう。
このようなケースは、電気の使用量がある程度増えるのは仕方のないことです。ただ、生活の中で、どこか油断をして電気の無駄遣いになっている部分がないかどうかは確認しておきましょう。
■家電の使い方に無駄がある
生活スタイルのずれとも関連しますが、家電の使い方についても無駄が出がちです。エアコンの稼働時間や湯沸かし、料理などで電気を使っている場合など、家族バラバラで利用すると、電気を無駄に使うことにつながります。
■電気料金プランや電力会社などの選択ミス
電気料金プランや電気会社も、一人暮らしから生活スタイルが変わることにより変更の必要があるのに、そのまま放置しているケースもあります。二人暮らしを始めてみないとわからない部分もあるかもしれませんが、電気代の増加が激しいようならば、料金プランや電気会社の見直しも検討しましょう。
■部屋の構造やインテリアの問題
二人暮らしをするなかで別々の部屋で過ごす時間が長いと、部屋ごとに電気代がかかり、負担が重くなる原因となります。過ごす部屋が違うならば、部屋ごとにカーテンや敷物などを用いて節電の工夫をしたいところです。
また、将来家族が増えることを考えて広すぎる住居に引っ越した場合も、電気代がかかる原因となることもあります。
二人暮らしで意識したい電気代の節約術
電気代が高くついている原因がおおよそ判明したら、着手できるところから電気の節約術を進めましょう。
(1)エアコンは1カ所で使い同じ部屋で過ごす
「二人暮らしでも自分の時間は大切にしたい」とバラバラの部屋で過ごす時間が長いと、両方の部屋でエアコンを使うなどして電気代が無駄になります。一緒に家で過ごすときはできる限り家族で同じ部屋にいるようにして、エアコンの稼働を1部屋に集約することで電気代は節約できます。
(2)洗濯はできるだけまとめて行う
洗濯は家族の分をまとめることで、電気代の節約になります。夏なら2日に1回、冬は洗濯物の量により1日1回程度など、洗濯物の量と洗濯機の容量に合わせて洗濯の回数を調整してください。
(3)電力会社や電気料金プランを見直す
生活スタイルが変化した結果、現在の電気料金プランが今の生活と合致しているかどうかを確認しましょう。夫婦共働きで夜の電気使用量が増えているようならば、夜間の利用がお得なプランに変更します。電力会社を変更することでも電気料金が安くなるケースが多いため、利用できる電力会社を比較検討しましょう。
(4)引っ越す前に部屋の構造を確認
これから二人暮らしをするために引っ越しをする場合は、部屋の気密性が高いかどうか、部屋が広すぎてエアコンの効率が悪くないかも確認しましょう。一般的には、アパートよりもマンションの方が気密性が高く電気代の面では効率がいいと言えます。
以上にあげた電気代の節約術のうち、まずは実践可能なものから試してみるとよいでしょう。
電気代以外も! 二人暮らしで光熱費を抑えるポイント
二人暮らしをするにあたり、電気代以外の光熱費も節約できるポイントがいくつかあります。節電と同時にできるところから始めて、光熱費の支出を抑えるように心がけましょう。
お風呂はできる限り続けて入る
給湯はオール電化ならば電気代が、ガスを使っている場合はガス代がかかります。入浴はできるだけ家族全員で連続して入り、追い焚きは最小限ですむように工夫しましょう。特に冬場は、入浴時間が光熱費に大きな影響を与えますので要注意の時期です。
シャワーの使い方に注意
シャワーは、ガス代・電気代に加えて水道代もかなりかかる行動です。シャワーは20分間出しっぱなしにすると、浴槽1杯分のお湯を使ったことになってしまいます。
家族とは別の時間帯に入浴する際、「シャワーですませて節約しよう」と考えても、20分間出しっぱなしでは意味がありません。長時間シャワーを出しっぱなしにしないように注意しましょう。
ガス代を節約する調理術
調理の際、ガス代を節約する方法をいくつか列挙します。
- 鍋底の水滴は拭き取ってから火にかける
- 炎は鍋底からはみ出るほど強くせず、ぎりぎり当たる程度が効率がいい
- 蓋や落し蓋を使うと少ない熱量で早く沸騰する
- ひとつの鍋で同時に調理
- 小さい鍋よりも大きめの鍋の方が冷めにくいのでおすすめ
- 煮るより蒸す、蒸すより炒める方が熱効率がいい
また、食事はできる限り一緒に摂るようにしましょう。温めなおし不要で光熱費の節約になりおすすめです。
二人暮らしを始める前に電気料金プランなどをチェック
二人暮らしをすると、一人暮らしのときよりも電気代やその他光熱費が増加します。ただし、一人暮らしを別々で続けるよりも光熱費は節約できる可能性があります。
二人暮らしを始める前には、生活スタイルの変化を考慮して電気料金プランを選びましょう。光熱費の無駄な出費を抑えて、その分を貯蓄や二人の楽しみのために使ってくださいね。