まもなく東日本大震災から10年。先月も福島県沖でマグニチュード7.1の地震が発生するなど、改めて地震の恐ろしさを感じた人も少なくないでしょう。
そんな今だからこそ見直したい防災グッズですが、実際に被災した人たちはどんなものが必須アイテムだと考えて、どのようなものを準備しているのでしょうか。
今回は、2016年に熊本地震を経験された整理収納アドバイザーのムジッコさんに、本当に必要だと思う防災グッズについて聞きました。
ムジッコさん
熊本市在住の整理収納アドバイザー。1男1女の母。Instagramやブログでで収納術や整理術などについて発信。2016年に熊本地震を経験してからは、防災についても積極的に発信を続けている。
『水道もガスも使えない』ムジッコさんの被災体験
――5年前の4月14日に発生した熊本地震、ムジッコさんはどのような被害をご経験されましたか?
私が住んでいた地域では、震度6の地震が発生しました。家具や家電が倒れたり、照明や食器が割れたりしましたが、我が家はこれくらいで済んで、まだいい方だったと思います。
ただ、熊本市内では大きな水道管に被害が出て断水がしばらく続きました。ガスも、しばらく使えない状況が続きましたね。
――大変なご経験をされましたね……。被災直後はどのような生活を送られていたのでしょうか?
地震があった夜は、余震が怖かったので車中泊しました。それからしばらくの間、子どもたちと3人で、ライフラインが通っていた熊本県内の主人の実家に避難しました。
私の実家が被害の大きかった益城町(ましきまち)にあるのですが、震災後に訪れたときは「これが本当に私の知っていた町なのか」と、目を覆いたくなるような光景も目の当たりにしました。
被災してわかった『本当に使える防災グッズ』とは
――当時から防災グッズは常備されていたということですが、中でも役立ったものは何ですか?
ラジオは役に立ちましたね。SNSは情報源がはっきりしないため、一番信頼できるのはラジオから流れるニュースでした。
私は手回し式のものを使っていましたが、回すのが手間だったので、電池式のラジオが一番便利だと思います。手回し式や電池式であれば、停電時でもラジオから、最新の情報が得られます。
また、熊本地震が起きた時期は、4月といえど寒かったのでカイロはかなり重宝しました。 夏であれば、冷感のジェルシートを入れておくのもいいかもしれません。
さらに、モバイルバッテリーは必需品でした。普段使っているものでいいので、できるだけ大容量のものがおすすめです。そのほかに、お菓子や救急セットは、あってよかったと感じましたね。
――なるほど、参考になります。逆に「あったらよかった」と思ったものはありますか?
地震の後、最初はとりあえず外に出て、広い場所に集まりますよね。そんな時に、レジャーシートは重宝するなと思いました。その教訓から、今は防災リュックに入れています。 あとは、トイレットペーパーです。断水が続くと、公衆トイレを使うことになると思いますが、そこにもしトイレットペーパーがなかったら……と思うだけでストレスですよね。ティッシュとしても使えるので、入れておいても損はないと思います。
――確かに、トイレットペーパーは絶対にないと困るものですよね
そうですね、それから盲点かもしれないのですが、小銭も最初から防災リュックに入れておくといいと思います。避難するときに財布を忘れる可能性もあるし、小銭がないと自動販売機や公衆電話が使えないので。
そしてこれも絶対に必要な水なのですが、2Lのものよりも、500mlのペットボトルの方が便利だと感じました。衛生的にも小分けの方が使いやすいですよ。
ムジッコさんが『地震の後に買い足した防災グッズ』は?
――レジャーシート、トイレットペーパー、ペットボトルなどはすぐに用意ができそうですが、震災を経験されてから改めて防災グッズとして買い足したものはありますか?
ひとつは『ヘルメット』です。地震のときって地鳴りがすごいので、下だけに注意が向かいがちでしたが、実は上から何が落ちてくるかわからないので、ヘルメットは必需品だと思います。
収納場所がないという人は、折り畳み式のものがオススメですよ。私も無印良品の折り畳み式のヘルメットを買って、玄関に置いています。
そして、『大容量ポータブル電源』や『寝袋』などのアウトドア用品も。コンパクトで機能的なものが多いので、防災グッズとしてもとても優秀です。普段から楽しんでいるキャンプで使えるのもいいですね。
また電源プラグのついたモバイルバッテリーも買い足しました。充電忘れしにくいところがいいなと感じています。
――防災グッズを見直したいと思っているご家庭も多いと思います。どういったことに注意して、見直せばいいでしょうか?
まず、防災リュックは持ちやすくて重すぎないこと、いざという時にきちんと背負って運べることが大切です。
また、防災リュックは自分の家庭に合った内容にすることも重要です。
例えば、薬やオムツ、おやつやメガネなど、人それぞれに必須アイテムは違いますよね。自分たちには何が必要なのか考えて、準備しておくといいですよ。
さらに、防災グッズは、すぐに必要な「一次」と避難生活で必要な「二次」に分けて準備することも忘れないようにしましょう。
そして、収納の話になりますが、防災グッズを置くスペースはケチらない方がいいと思います。普段は使わないものですが、収納場所をきちんと決めましょう。
たとえば、水は1人最低1日あたり3リットルを1週間分、それを家族の人数分だけ備蓄する必要があります。場所はとりますが、そのスペースはしっかりとってほしいですね。
――被災経験を通して、ムジッコさんは今どういったことを感じていますか?
もちろん、災害に備えてものを準備することは、とても大事です。そして、防災リュックは「準備しているけど、使うことがない」というのが一番理想。お守りになればいいな〜と思っています。
でも、最も大切なのは、何よりも自分の身を守ること!とにかく、生きてさえいればどうにかなりますから。
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いかがでしたか? ムジッコさんの紹介してくださった防災グッズはあくまで一例。ムジッコさんもおっしゃっていたように、人それぞれに必要なアイテムは異なりますし、住んでいる場所や災害の種類によっても、その内容は変わってくるように思います。
ムジッコさんのアドバイスを参考に、ぜひ皆さんも"自分にとって""家族にとって"必要な防災グッズを考えてみてくださいね。
※画像はInstagramとブログより引用させていただきました