東京メトロは1日、上野グリーンソリューションズと共創し、鉄道業界で初めてデプスカメラと人工知能(AI)を用いた列車混雑計測システムを開発したと発表した。列車混雑計測システムは、東京メトロ全線の複数駅(各路線各方面ごとに数カ所)で展開し、2021年度をめどに全線の列車混雑状況をリアルタイムに提供することをめざす。

  • デプスカメラ撮影画像イメージ

東京メトロではこれまで、車重や改札利用者数から時間帯ごとの混雑状況を推計し、提供してきたが、複数路線で相互直通運転を行っているため、他社車両の車重の取得や、号車ごとにリアルタイムで混雑状況を提供することが難しい状況だった。

そこで、2019年9月から東西線東陽町駅、2020年11月から丸ノ内線新宿駅にて、列車の駅発車時に車両の側面をデプスカメラ(奥行きの情報を取得する深度センサーを内蔵したカメラ)で撮影し、列車混雑状況を人工知能(AI)に機械学習させることで、号車ごとの列車混雑状況をリアルタイムに計測する実証実験を行ってきた。

その技術検証が完了したことから、列車混雑計測システムを東京メトロ全線の複数駅(各路線各方面ごとに数カ所)に展開。2021年度をめどに、時々刻々と変化する全線の列車混雑状況をリアルタイムに提供することをめざす。

  • 列車混雑計測システムの概要イメージ

列車混雑計測システムは、デプスカメラをホーム端に設置し、駅を出発する列車内の混雑状況を撮影。撮影された映像からエッジサーバで深度情報をテキストデータ化し、クラウドサーバへ送信する。クラウド上では、機械学習した人工知能(AI)に分析・解析させることで、駅を発車してから十数秒で列車内の混雑状況を号車ごとに算出する。