DX人材育成を支援する幅広いプログラムを提供
こうした企業が抱えるデジタルスキルに関する課題に対し、AWSはさまざまなサービスを提供している。トレーニングサービス本部 本部長の岩田健一氏は、就業者が自分のペースでデジタルトレーニングができるよう、400を超える無料のプログラムを提供しており、初学者向けにトレーニングイベントを多数開催していることを紹介した。AWSジャパンでは、デジタルトレーニング収録スタジオを開設し、日本向けの独自学習コンテンツの収録が行える。
また、AWSではパートナーと共に幅広い層に向けてトレーニングを進めており、クラスメソッド、アシスト、日本サード・パーティ、パナソニックシステムソリューションズジャパンが新規で参入するなど、教育会社以外からのトレーニングパートナーへの参入が加速しているという。
昨今、デジタルトランスフォーメーション(DX)のための人材育成が難しいと言われているが、岩田氏はその理由として、技術のアップデートが速く、外部研修を受講するだけではキャッチアップしきれない状況であることを指摘した。
となると、DX人材を育成したい企業はどうすればよいのだろうか。岩田氏は、DX人材の育成に成功している企業の例として、外部研修を活用して、社内にコアメンバーを早期立ち上げしている企業を紹介した。コアメンバーを育成した後、彼らを中心に研修を内製化する仕組みを構築していくというわけだ。
AWSでは、DX人材育成のゴール定義、育成計画の立案支援、育成メニューの提示、研修内製化支援など、DX人材育成に向けてさまざまな支援メニューを提供しているという。
岩田氏は、DX人材育成の成功ポイントとして、「 トップダウンによるアプローチ」「人材育成に関する推進組織・メンバーの存在」「育成ゴールの明確化」を挙げた。
短期間でDXのコア人材を育成できたオムロン ソフトウェア
説明会には、AWSトレーニングを活用して、DX人材育成に取り組んでいる企業として、オムロン ソフトウェアが自社の取り組みを紹介した。ISTソリューション事業部 プロセスエンジニアリング部 グループリーダ 原田 真太郎氏は、同社がクラウド技術がわかる人財の育成に取り組んだ理由について、「当社が目指すよりよい社会の実現にはクラウド技術が不可欠。そのため、クラウドの開発をリードする技術者を社内に生み出す必要があった」と語った。
そこで同社は、各事業部から選抜したメンバー18名が約6カ月合計160時間、AWSによるトレーニングを受講した。トレーニングでは、AWSの認定資格の5冠を目指した。結果、全員がソリューションアーキテクトアソシエイトに合格し、さらに7名が5冠を獲得したそうだ。
現在は、トレーニングに参加したメンバーが講師となって、社内で研修を開催しているほか、各事業部で情報共有や相談を行っているとのことだ。また、育った技術者はビジネスに直結する活動も行っており、AWSのサービスを用いて活用したソリューションとして、複合型サービスロボット「Toritoss」が紹介された。
原田氏は、デジタルスキルを組織やチームの強みにしていくには、技術者ネットワークを作り、実践で得た経験を「みんなの経験」にすることが必要だと述べた。同社では、CCoEを立ち上げて、集まった知見を共通基盤として組織知化し、展開している。今後は、「アジャイル」「セキュリティ」が求められるとして、技術者を育成していくという。