月ごとにリスナーから投票を受け付け、「その月もっとも印象に残ったラジオ番組」を表彰する“ラジオリスナーが選ぶラジオ賞”「プラネット賞」が、2020年度の年間賞企画(「プラネット賞年間賞」・「プラネット賞話題賞」)を実施し、このほど結果が発表された。
奥森皐月
今までのプラネット賞の月間賞(2020年6月～12月)の中から50名の2次選考委員が決定した「プラネット賞年間賞」は、2020年9月8日放送の『爆笑問題カーボーイ』(伊集院光ゲスト出演回)が受賞。そして、プラネット賞の2次選考進出番組(2020年6月～12月)の中からすべてのラジオリスナーが投票して決定した「プラネット賞話題賞」は、2020年6月19日放送の『霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)』(「ポケットいっぱいの秘密」2時間)が選ばれた。
年間賞企画のアンバサダーを務め、ラジオ好きとして知られる現役女子高生でタレントの奥森皐月が、「プラネット賞年間賞」にノミネートされた『爆笑問題カーボーイ』『霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)』『ナインティナインのオールナイトニッポン』『空気階段の踊り場』『うしろシティ 星のギガボディ』の魅力について語った。
■伊集院光の『爆笑問題カーボーイ』出演「まったく違った面の魅力を見られた」
――年間賞は以下のような結果となりましたが、これについていかがでしょうか。
| 番組名 | 票数 |
|---|---|
| 9月8日『爆笑問題カーボーイ』 田中裕二欠席、伊集院光ゲスト回 |
86 |
| 6月19日『霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)』 「ポケットいっぱいの秘密」2時間 |
84 |
| 10月22日『ナインティナインのオールナイトニッポン』 矢部浩之誕生日、岡村隆史結婚発表 |
46 |
| 12月19日『空気階段の踊り場』 水川かたまり離婚報告・鈴木もぐら妻の第2子妊娠報告 |
27 |
| 7月25日『空気階段の踊り場』 鈴木もぐらが“白鳥の親父”と再会 |
27 |
| 8月5日『うしろシティ星のギガボディ』 阿諏訪泰義プロポーズ予告 |
23 |
| 11月17日『爆笑問題カーボーイ』 IKURAちゃんの格言SP |
7 |
ここにランクインしている番組は、当たり前なんですけど本当に印象深くて、全部鮮明に思い出せるものばかりです。日頃聴いてる中での特別な回は、みんな好きですし、そういう回がきっと選ばれているんだろうなって。年間賞受賞の『爆笑問題カーボーイ』の伊集院(光)さんゲスト回もそうですよね。
――たしかにそうですね。
私は「JUNK」が大好きで。月曜日と火曜日の“シルバーJUNK”(＝『伊集院光 深夜の馬鹿力』『爆笑問題カーボーイ』)が特に好きな私としては、もう夢の夢のまた夢というか、本当に最高の組み合わせでした。「まさかこんなぜいたくな放送が聴けるとは」という感じでしたね。太田(光)さんが伊集院さんをいじる場面では、『深夜の馬鹿力』とはまったく違った面の伊集院さんの魅力を見ることができて。
伊集院さんは、深夜放送は1人でやられているので、ツッコミを入れたりぶつかり合ったりするからみも良いのだと初めて気付きました。その放送内で、「CD元田中」をやったことにも感動しました。『メガネびいき』もそうでしたが、誰かが突如お休みされるアクシデントのときに、また新しい一面が見えるラジオっていいですよね。
■霜降り明星のラジオは「ひとつのジャンルとして確立されている」
――投票数2位は『霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)』の「ポケットいっぱいの秘密」コーナーを2時間やった、いわゆる“ポケひみ”回です。
ラインナップを見ていると、結婚発表などの特別なイベントごとが多い印象です。それでいうと、“ポケひみ”はイベントともちょっと違うんですよね。この回は、放送前から注目されていたというのが大きなポイントでした。「この日の放送は絶対特に聴かなきゃ」という注目をうまく利用していたところは流石としか言いようがないです。これでまたひとつ、霜降り明星さんのコンビとしての強みみたいなものが表れたのではないかと感じました。
――『霜降り明星のオールナイトニッポン0(ZERO)』では、せいやさんが欠席し、粗品さんがリスナーメールにツッコみ続ける放送もありました。
ありましたね。霜降りさんは『オールナイトニッポン』を始めてまだそんなに年数が経っていないですが、その中でも“霜降り明星のラジオ”というものを作っているなと思います。ご本人たちにそういう意思があるかはわかりませんが、聴いている側としては、“霜降り明星のラジオ”がひとつのジャンルとして確立されていて、純粋に楽しいです。
――ただ奥森さんは別の記事で、2020年の神回として、せいやさんが自身の思いを吐露した「原曲キーで歌わせて」の回を挙げていましたね。
“ポケひみ”のときは、もうゾーンに入ってるような、無敵感のあるお笑いだったと思います。“原キー”の方はゾーンに入ってる部分もあるんですけど、その中に弱さとか人間味みたいなものが出ていたと思うんです。あくまで好みなのですが、私はなにか人間らしさが見えるラジオが特に素敵だと思っていて。テレビでは見せない姿や、素に近い姿が感じられるラジオが結構好きなので、テレビで見ない日はない霜降り明星さんの弱音を吐きつつも、それでもなお面白い姿は魅力的に映りました。
■『星のギガボディ』のプロポーズ予告は「聴いたことのない放送」
――そのほかの年間賞ノミネート作品で、印象的な放送はありますか。
『うしろシティ 星のギガボディ』阿諏訪(泰義)さんの「プロポーズ予告」ですかね(笑)。「もうすぐ結婚しようとしている」っていう聞いたことのない発表の仕方で、革命的な放送でした(笑)。何より面白いのが、本人が1番焦っているという状況でした。結婚発表はだいたい「結婚しました」とか「もう入籍する準備が完璧に整っていてこの度結婚いたします」というような報告が基本なのに、「まだ全然準備もできてないんだけどどうしよう」という相談を、ラジオでしちゃう感じが新しくて。
「ラジオクラウド」のアフタートークだったと思うんですけど、あまりにも阿諏訪さんが焦っていて、「どうしようどうしよう」となったときに、相方の金子(学)さんと「ちょっとこれ1人じゃ間に合わない。2人で手分けしないと」って。金子さんが「俺が両親にあいさつ行くよ」と言って、違う違うみたいな(笑)。聴いたことのない放送だったので、印象的でした。
――結婚といえば、『ナインティナインのオールナイトニッポン』での岡村(隆史)さん結婚発表回もランクインしてます。
岡村さん、ナインティナインさんのオールナイトニッポン自体が、昨年は激動の年でしたよね。この回の1番良かったところは、ゲストがaikoさんだったところだと思います。コンビ間では聞くのが難しい質問でも、リスナーの声としてaikoさんが全部聞いてくれて。そこに岡村さんが正直に答えて、矢部さんが突っ込むという3人の構図がとても良かったです。
――いわゆる“aikoスポーツ”ですね(笑)。
リスナーを代表している人がいるっていうのはすごく面白いですし、メール読みもaikoさんが全部やっていて、ゲストなのかどうなのかわからなくなる感じもよかったです(笑)。裏番組の『メガネびいき』と電話をつないだのも、ラジオ好きとしては沸いた瞬間です。
――逆に、『空気階段の踊り場』では、(水川)かたまりさんが離婚報告した回が入っています。
そもそもの「踊り場」が、全ての放送を通してドキュメンタリーのようになっていて、私はそこが大好きです。番組が始まってからのお2人の生活の移り変わりが激しくて。(鈴木)もぐらさんは結婚してお子さんが生まれて、でも家族と一緒に住めなくてとか、かたまりさんは1回彼女と別れ、号泣してプロポーズして復縁して結婚する、というような流れがありました。聴いている側としては、ドラマを見ているようだけど、現実だからこその重みがあって、本当に面白かったんですよ。
お2人とも結婚されたので、1人の人間としてストーリーとしては、ここからは安定な時期に入るんだろうなと思ったのですが、この回聴いて、そう簡単にはいかないなと痛感しました(笑)。かたまりさんが離婚を報告した後、もぐらさんは第2子の報告をするというコントラストが良かったですね。「ドキュメンタリーラジオ」という点ではどの番組にも負けない面白さだと思います。
