読売テレビ・日本テレビ系報道番組『ウェークアップ!ぷらす』(毎週土曜8:00~)のキャスターを務めてきた辛坊治郎と読売テレビの諸國沙代子アナウンサーが、27日の放送で番組を卒業した。

  • (左から)諸國沙代子アナ、辛坊治郎、中谷しのぶアナ、野村修也氏=読売テレビ提供

2005年4月からキャスターを務めてきた辛坊は、最後の生放送を終えて「理想の社会を作ろうと思って頑張ってきたけど、人類が進化しないと無理かな。そういう意味では、報道番組の責任はまだまだ続くよね」と今の率直な心境をコメント。番組で一番印象に残っていることは「圧倒的に東日本大震災です。我々のできる限界を感じた出来事でもありました。できることは唯一、南三陸町の町長がおっしゃったように、『一時の流行ではなく地道に継続してお伝えする』、これしかない。あと、とんでもない取材はいっぱい行きましたね(笑)」と振り返った。

そして、この番組について「関西発唯一の報道番組なんです。東京だと“権力に近すぎる”ということがいろいろあるんですが、権力から500キロ離れてニュースを伝えられるこの番組はとても貴重で、担当させてもらってありがたかったです。また私が辞めても番組が継続するということが何よりうれしいですし、この伝統の灯を消さずに、後任の皆さんには頑張ってもらいたいです」とエールを送り、「やっぱりこの番組ってゲストコメンテーターの力が非常に大きくて、皆さんには本当に助けられたと心から思っています」と感謝の気持ちを述べた。

同じく卒業となった諸國アナは「辛坊さんの隣で3年間キャスターをさせていただいたのは、読売テレビに入社して本当によかったなと思うことのひとつです。元々、自分で取材に行って感じたことを伝えられるアナウンサーになりたいと思っていたのですが、日々の仕事に追われていると初心を忘れがちになってしまう。そういった初心に戻らせてくれる番組でした」と涙を浮かべながら語った。

来週3月6日の放送からは、装いも新たに『ウェークアップ』としてスタート。番組キャスターには中谷しのぶアナウンサーと、中央大学法科大学院教授・弁護士の野村修也氏が就任する。

中谷アナは「初めて聞いたときは驚いて、『まさか自分が』という思いでした。『ウェークアップ』の長い歴史と、辛坊さんの後ということもあってプレッシャーが大きく、不安も緊張ももちろんあるんですが、入社10年目でまた新しいチャレンジをさせていただけること、そして夕方の関西ローカルの報道番組(『かんさい情報ネットten.』)でご一緒している野村さんとも新しい形でご一緒できるのがうれしいです。これまでの歴史をちゃんと引き継いで、責任を持って進化させていけるように、未来につながる番組にできるようにしていきたいです」と意気込みをコメント。

一方の野村氏も「『ウェークアップ!ぷらす』には月に1回程のペースで出演しているのですが、楽しみにしている番組って珍しいんですよね。この番組に来たら辛坊さんの問いに応えたいという思いでやっていたので、そんな番組を引き継がせていただけるのはとても光栄なことです」と話した。

そんな2人に、辛坊は「何事も起きなければ、実はこの番組の司会は簡単。ただ何か起きた時や、何を言うかわからないゲストが来た時にどう扱うか、そこは“呼吸”でしかないので、これは伝えようがないんですよ。ただ別に伝える必要もないし、そこは中谷さんの呼吸、野村さんの呼吸でおやりになるのが一番だと思います。この番組はベースがしっかりしてますから、司会になったからといってそんなに戸惑うことはないだろうという気がします」とメッセージ。

それに対し、野村氏は「『この番組は何事もなければ司会は難しくない』とおっしゃいましたが、それは辛坊さんの無茶ぶりに私たちゲストが一生懸命応えてたからです(笑)。これからはそんな空気感を大事にしながら、無茶ぶりはしませんが、本質を突く質問ができるようにしていきたいなとは思います。人が言いづらいところを辛坊さんがうまく引き出す、その力が番組を良くしてきたと思うので、頑張ってみようかなと思います」と抱負を述べた。

また番組リニューアルにあわせて、初めてテーマソングを制作。アコーディオニストで作曲家のcobaが書き下ろした楽曲が番組を彩る。cobaは「この度『ウェークアップ』の音楽を担当させていただき感謝します。朝日が昇り、これから週末が始まるワクワクした気持ちを込めた楽曲に仕上げました。アコーディオンの晴れやかな音色と爽やかなビートをお楽しみください」とメッセージを寄せている。