初参加ながら最終日自力の斎藤八段は自身が勝つか広瀬八段が敗れれば挑戦権獲得
第79期A級順位戦(主催:毎日新聞社・朝日新聞社)の9回戦が2月26日に静岡県「浮月楼」で一斉に行われています。A級順位戦の最終局が行われるこの日は「将棋界の一番長い日」とも呼ばれます。今期はすでに降級者は決まっていますが、名人への挑戦や、来期の順位を懸けた熱い戦いが盤上で繰り広げられています。
9回戦の対戦カードは以下の通りです。
▲斎藤慎太郎八段(7勝1敗)-△佐藤天彦九段(4勝4敗)
▲広瀬章人八段(6勝2敗)-△豊島将之竜王(5勝3敗)
▲佐藤康光九段(4勝4敗)-△菅井竜也八段(4勝4敗)
▲糸谷哲郎八段(4勝4敗)-△稲葉陽八段(2勝6敗)
▲三浦弘行九段(1勝7敗)-△羽生善治九段(3勝5敗)
渡辺明名人への挑戦権争いは斎藤八段と広瀬八段の二人に絞られています。
今期初参加ながら最終日を自力で迎えた斎藤八段。ここまで豊島竜王に敗れただけの7勝1敗という成績です。最終局の佐藤天九段戦に勝利するか、広瀬八段が敗れれば挑戦権獲得です。
▲斎藤八段-△佐藤天九段戦は横歩取りの将棋となりました。最近では振り飛車を多用する佐藤天九段でしたが、本局は自身の名人獲得の原動力となった戦法を投入してきました。
広瀬八段はA級に7期連続で在籍。今期は開幕から佐藤康九段、斎藤八段に連敗するも、そこから6連勝。初の名人挑戦が見える位置にまで浮上しました。自身が豊島竜王戦に勝利した上で、斎藤八段が敗れればプレーオフへと持ち込むことができます。
▲広瀬八段-△豊島竜王戦は矢倉脇システムの将棋に。広瀬八段は矢倉から穴熊に潜り、豊島竜王は金銀4枚で玉を囲う展開になっています。近年では珍しくなった双方ががっちりと玉を囲う戦いだけに、長期戦となるでしょう。
一方の残留争いですが、こちらは8回戦で三浦九段と稲葉八段の降級が決まってしまいました。しかしながら来期の順位を懸けた戦いが全員に残されています。特に4勝4敗の4人や3勝5敗の羽生九段は、勝つと負けるとでは来期の順位が大きく変わってきます。
持ち時間が6時間の順位戦。「一番長い日」と呼ばれるだけのことはあり、最も進行の遅い対局は日付が変わってからの終局となるでしょう。今日は一日中熱戦を堪能できそうです。