リモートワークが浸透する中、上司が直面するのは「業務マネジメント」「社員マネジメント」への不安や課題。前者は仕事の進捗把握や課題確認、後者はモチベーションや生産性の担保などでしょう。後者には「上司の目が届かない、本人任せで大丈夫か?」という悩みの声もあるようです。
そんな中、上司不在という構造を「日本史のある時代」に例えたツイートに対して、大きな注目が集まっていました。その投稿内容とは……。
リモート勤務で日勤勤務者や上司が出勤しなくなってしばらく経つが、現場に出てこなくなり、せいぜいビデオ会議で顔を見る程度になったせいか、影響力が薄れ、物事が現場主導で進むようになってるように感じる。まるで守護より守護代とかの方が強くなっていく室町後期や戦国時代を見ているようだ。
(@kir_imperial)より引用
キール(@kir_imperial)さんのエスプリのきいた投稿には、「『権威を示したい』層はこれを恐れているんだよねえ」「この表現面白いなぁ。なるほど。案外本当に、当時の相似形かもしれませんね」「コロナ下剋上」など、その視点を楽しむ声があがっていました。
なかには、「そのうち守護がいなくなり、現場大名の覇権争いになりそうな?! そして再び、リモートの需要も減る」「だれか麒麟をつれてこい!」など、未来を予測する読者もいました。
リモートワーク=戦国時代?
その後も自社のリモートワークに関する見解が紹介されます。小売業界で働くというキールさんに、今回の投稿の経緯を聞いてみました。
出勤してないから、現場の正確な状況が把握できず、かつ指示は基本メール等の文章が中心になるから、必然的に現場の掌握は甘くなるんだけど、ソレを察してか、人によっちゃ、わざわざ許可とって出勤してくる人もいるのよね。
うちの会社も1年近くリモートワークやってるけど、業務をがっちりとマニュアル化して、システムをしっかり作ってた部署と、人間関係の力で回していた部署とで、明暗はっきり分かれていて面白い。前者はリモートワークの導入もすんなりいったが、後者は新人教育すらまともにできなくなったからな。
(@kir_imperial)より引用
――非常に面白い視点ですが、そのように思った経緯は?
キールさん: リモートワークは管理者が現場の成果物や状況を完全に把握し、コントロールする事が難しいですよね。そこで、現場の上級者に権限付与して「意思決定の速さ」「円滑な業務」を担保しようとした結果、上級者の権限が強化されている例があります。ところが、部署によっては「管理職は必要なの?」という意見や、細部までコントロールされていた従来の決め事や物事が、現場都合・現場主導で変更される事態が増えた印象です。
こうした状況が、室町時代後期や戦国時代、影響力を失った守護の代わりに、領国を長年直接支配し管理してきた守護代や守護又代、国人達の台頭のように見えたのだと話します。
――自身の職場で「わざわざ出勤する人」を紹介しています。その人たちの業務はどのようなものですか?
キールさん: 施策や案件の発注者が多く、また、自分が発注した成果物のデザインや運用にこだわりを持つ人もよく出社しています。あとは、マニュアル化が不十分な部署、部下に任せず自分で現場をコントロールしたいと考える管理職もよく目にします。
――出勤の必要性はどこで線引きするとよいと思いますか。
キールさん: 業務内容と業務のマニュアル化、システム化がどれだけできるかでしょう。現場でエッセンシャルワーカーが動かなければ駄目な部署、逆にリモートワークで十分事足りるセクションもあります。また、リモート化できても、マニュアル化がいまいちだったり、仕事内容が属人的だったりする部署は以前のような業務ができていませんね。
――となると、やはりマニュアル化が目安でしょうか?
キールさん: 実はここに悩ましい問題があるのです。しっかりマニュアル化され、リモートワークにスムーズに適応した部署が「うまくいき過ぎ」たので、管理者不要論、そこに所属する社員を個人事業主化して、外部委託するといった正社員不要論も出ています。
こうした社員にとっての不利益ともいえるケースもあるので、出勤は必要なのかどうかは分からない、ケースバイケースとしか言えない、と率直な考えを述べてくれました。
ただ、リモートワーク化がうまくできない部署に新人が配属されると、「大小ミスの増加」「(業務に必要な)基本的知識を習得できていない」といった問題が発生し、社内連携の調整や社外との交渉でかなり苦労するなど、キールさんから見ても「大変そう」な状況になっているそうです。
リモートワークが定着している企業、業界など企業ごとで異なります。働く社員にとって「最適な」働き方を見つけることが大切ですね。皆さんの職場はいかがですか?
リモート勤務で日勤勤務者や上司が出勤しなくなってしばらく経つが、現場に出てこなくなり、せいぜいビデオ会議で顔を見る程度になったせいか、影響力が薄れ、物事が現場主導で進むようになってるように感じる。まるで守護より守護代とかの方が強くなっていく室町後期や戦国時代を見ているようだ。
— キール (@kir_imperial) February 23, 2021