敬語には「尊敬語」「丁寧語」「謙譲語」の3種類があります。今回は「行く」の敬語表現についてご紹介します。
「行く」の敬語表現
「行く」の「尊敬語」「丁寧語」「謙譲語」を紹介します。
「行く」の尊敬語
「行く」の尊敬語は以下の3つです。
- 行かれる
- いらっしゃる
- おいでになる
「尊敬語」は「相手を高めて」敬意を示すため、主語が相手になります。 なお、「いらっしゃる」「おいでになる」は「来る」の尊敬語でもあります。
「行く」の丁寧語
「行く」の丁寧語は以下です。
- 行きます
「丁寧語」は「話し手への敬意」を示すため、主語が自分になります。
「行く」の謙譲語
「行く」の謙譲語は以下の2つです。
- 参る
- 伺う
「謙譲語」は「自分がへりくだって」敬意を示すため、主語が自分になります。
「行く」の敬語表現の使い方・例文
ビジネスシーンで、取引先などのビジネスパートナーと話す際には、丁寧語で受け答えをすることも誤りではありませんが、なるべく謙譲語を用いて受け答えをすることをおすすめします。
「行く」の尊敬語の使用例
- 展示会には行かれますか?
- 発表会にはいらっしゃいますか?
- 会議においでになりますか?
「行く」の丁寧語の使用例
- 展示会に行きます。
「行く」の謙譲語の使用例
- 御社に参ります。
- 本社に伺います。
「行く」の敬語のシーン別使い分け
ここでは、「行く」の敬語の使い分けを自分に使う場合と相手に使う場合に分けて紹介します。
自分が相手先に「行く」場合
自分が相手先に「行く」場合は、自分を下げる謙譲語を使うのが好ましいです。
明日17時に御社に伺いますので、よろしくお願いいたします
次の商談は、担当者の代わりに私が参ります
相手が「行く」場合
相手がどこかに「行く」場合は、尊敬語を使いましょう。
社長は15時においでになる予定です
本日の会議には統括部長もいらっしゃいます
部長はどちらに行かれるのですか?
「行く」の敬語表現における注意点
敬語は使用するケースが多いにも関わらず、その使い分けや言葉の変化の仕方がわかりづらく、正確には使いこなせないものです。ここでは「行く」の敬語表現における注意点を解説します。
「行く」の謙譲語「参る」の誤った使い方
「展示会に参られますか?」
これは間違いになります。謙譲語は話者がへりくだる表現であるため、話者以外の行動に使うのは間違いです。
「行かせていただく」の誤った使い方
「展示会に行かさせていただく」
これは「さ入れ表現」と呼ばれ、よく使われる表現ではありますが、文法的な間違いがある表現です。なお、「さ」を取った「行かせていただきます」は正しい使い方となります。
本質的には意味が同じである「行く」「来る」の敬語表現
「行く」の敬語表現は、「いらっしゃる」や「おいでになる」を例に、「来る」の敬語表現と重複するものがあります。
「行く」と「来る」は、本来であれば対義語の関係にあたります。しかし、「行く」と「来る」は、「参加をする」という文脈では同じ意味になります。
というのも、「いらっしゃる」や「おいでになる」という表現は、「居る」という言葉の敬語表現にもあたり、過去や未来という時間軸においては、その場に存在する「居る」という文脈では、同じものと捉えることができるためです。
「行く」の敬語表現はニュアンスの使い分けに注意
「行く」と「来る」の敬語表現が同じであるように、敬語は使い分けに注意が必要です。
今回ご紹介した「行く」の敬語表現以外にも、敬語を正しく理解した上で、ビジネスシーンで役立ててください。