俳優の田中圭が、今年秋から配信されるHuluのドラマ『死神さん』(全6話)に主演することが25日、明らかになった。

  • 田中圭(左)と堤幸彦監督

大倉崇裕氏の同名小説が原作の同ドラマは、田中が「死神」と呼ばれるダークヒーローへと変貌を遂げる異色のミステリー作品。田中が演じる主人公・儀藤堅忍(ぎどうけんにん)は、警視庁内にある謎の部署でたったひとり、無罪確定となった事件を再捜査するクセモノ刑事。警察組織が掘り返されたくない事件の証言と証拠を徹底的に洗い直して、事件を180度転換させ、真犯人を検挙していく男だ。

それゆえ、彼の相棒になる者も組織から疎まれ、出世の道を閉ざされることに。こういった背景から組織内で「死神」とあだ名され、感謝も愛されもしない状況の中、誰とも群れない儀藤は相棒を常に変えながら、闇に葬られた真相をあぶり出していく。

メイン監督を務めるのは堤幸彦氏。田中とは映画『包帯クラブ』(07年)以来14年ぶりで、主演と監督として向き合うのは、今回が初めてとなる。

久々に堤監督と再会した田中は「前回はとにかく堤監督からのムチャぶりがすごかった思い出があるんですよ。今回も楽しみ半分、怖いです(笑)」と戦々恐々。

どうやらその予感は的中しそうで、堤監督いわく「田中くんには、どこに心があるのか(笑)。完全には理解できない、不思議な佇まいがあるんです。監督の負けだと感じるような、打ち崩させない何かがあるので、『包帯クラブ』でご一緒してから今まで、ずーっと隠し玉みたいに思っていた存在」だといい、「この人の存在感の芯の部分に勝ちたいし、今回は『やっぱり田中くんは田中くんだなぁ』と思うような演出はしたくない。“見たことのない姿”やポーズ、しぐさも作って流行らせたいです」と意欲を語る。

対する田中も「監督が思う儀藤像と、僕が思う儀藤像と、実際やってみる儀藤像と、実際撮ってみる儀藤像もたぶんバラバラなので、それが早い段階でひとつになったら、めっちゃ楽しいんだろうなって。今からワクワクしてます!」と、応戦する気満々だ。

2人のコメント全文は、以下の通り。

■田中圭
前回『包帯クラブ』でご一緒したときは、とにかく堤監督からのムチャぶりがすごかった思い出があります。当時、オーディションにも参加者の相手役として関わったのですが、監督がわざとなのか、僕を試したのか、飽きたのか分からないですけど、いろんな人のモノマネでセリフを言わされたんです(笑)。撮影現場でも「ちょっと、ここでこうしてみよう」というムチャぶりがあったので、今回も楽しみ半分、怖いです(笑)
 実は、去年の年末に監督と久々にお会いしたのですが、そこで監督がとても熱くこの作品の話をして、僕が演じる儀藤に関しても肩をぶん回して話してくれたんです。それを受け、僕はどうしようかな、と。家でも台本を読みながら「このシーン、例えば発声の仕方はどうしようかな」と考えていて、奥さんに「こうしたいんだけど、どう思う?」と相談したんです。そうしたら「あなたは考えながらやると、大したことがないから、感じるままにやった方が絶対いい」と言われて…(笑)。確かにそうだと思ったので、ヘンに考え込まず、現場で作っていこうかなと思っています。しかも、監督が思う儀藤像と、僕が思う儀藤像と、実際やってみる儀藤像と、実際撮ってみる儀藤像もたぶんバラバラなので、それが早い段階でひとつになったら、とても楽しいんだろうなって。今からワクワクしています!
 儀藤は分かりやすく言えば《変わってる人》。刑事としての一面もあるけど、刑事じゃない部分もある難しい役ではあるんですけど、誰が相棒になるかによって生まれる儀藤もあると思うし、演じるのが楽しみです。もし今回も監督のモノマネ・ムチャぶりで遊べるようなシーンがあるなら、やりますよ(笑)。兎にも角にも…刑事モノとしてはシビれて、エンタメとしては笑ってもらえて、見終わった後に何か分からない爽快感を皆さんに与えられる《最高に面白いドラマ》にしますので! ぜひ楽しみにしていてください。

■堤幸彦監督
田中くんには、どこに心があるのか(笑)完全には理解できない、不思議な佇まいがあるんです。監督の負けだと感じるような、打ち崩させない何かがあるので、「包帯クラブ」でご一緒してから今まで、ずーっと隠し玉みたいに思っていた存在でした。「包帯クラブ」のオーディションや現場でも何かとムチャぶりをしましたが、実はいろいろ試してもらうことで、本当のところを知りたかったんです。当時もそれだけ面白がった、今まさに旬の田中くんとまたご一緒できるということで期待もしていますし、今回はいよいよ勝負かな、と! この人の存在感の芯の部分に勝ちたいし、今回は“やっぱり田中くんは田中くんだなぁ”と思うような演出はしたくない。《見たことのない姿》やポーズ、仕草も作って流行らせたいです。今のところ予定はないですが、田中くんがどうしてもやりたいと言うなら、モノマネもリクエストしたいと思います(笑)
 ちなみに今回、田中くんは何も考えずに現場へいらっしゃるということですけど、それは正解なんです。というのも、儀藤は自分の中ですべて考えて、筋書きが出来上がっているけれど、そこをほぼ見せない。刑事ではありますが、飄々としていて、正義なのか悪なのかもあまり判然としない中で、真犯人を暴き出していく《なんとも不思議な、堅くて柔らかいキャラクター》なんです。「死神さん」はそんな挙動不審なキャラクターがダークに活躍する物語。周りの人間も一言で言えば、ヘンな人ばっかり! 刑事モノとしてもなかなかない、ぜいたくな設定ですし、これは今までにやったことのないドラマになるな、と! 作り手としてもそんな予感がありますので、ぜひ楽しみにしていただきたいです。