東急電鉄は24日、世田谷線・こどもの国線を除く全踏切において、踏切障害物検知装置(3D式またはレーザー式)の設置100%を2021年7月に達成すると発表した。踏切障害物検知装置は、踏切で立ち往生している自動車などの障害物をセンサーで検知し、接近する列車の運転士に異常を知らせる装置だという。
東急電鉄はこれまでにも、全駅のバリアフリールート整備100%達成、大手民鉄初のホームドア・センサー付固定式ホーム柵の設置100%(世田谷線・こどもの国線を除く)、保有車両への車内防犯カメラの設置100%などに取り組み、ホーム・車内・踏切の安全対策を積極的に推進している。
国土交通省鉄道局が2020年10月に発表し、同年12月に追加公表した「鉄軌道輸送の安全に関わる情報(令和元年度)」において、東急線の「列車走行キロ当たりの運転事故件数」がJR(在来線)7社・大手民鉄16社の中で最少となり、「30分以上の遅延の原因となる輸送障害件数(原因が当社の事象)」が唯一の0件となった。これを東急電鉄の安全への取組み成果のひとつととらえ、今後も引き続き安心して利用してもらえるように、さらなる努力を継続していくとしている。
2020年度、東急電鉄のホーム転落事故件数は2021年1月末時点で5件。前年度(2019年度)1年間の10件を下回るペースで、過去最少の件数となることが見込まれている。事故の未然防止をめざした安全への各種取組みにより、運転事故件数、輸送障害件数、ホーム転落事故件数の大幅な減少に寄与していると認識しているとのこと。
事故の未然防止に加え、異常発生時における早期の運行復旧については、2017年に電気トラブルによる輸送障害が複数発生して以降、田園都市線の異常発生時の折返し機能強化のため、増強工事に取り組んできた。2021年度上期に渋谷~二子玉川間で列車の折返し運転が可能な設備を供用開始し、二子玉川駅で大井町線との接続が可能となることで迂回ルートを確保し、利用者への影響を低減。この設備により、二子玉川~中央林間間での折返し運転についても、運行本数が増加する。
東急電鉄は、これからも安全対策を強化するとともに、終電時刻の繰上げも生かしながら、夜間作業による保守点検・管理を徹底し、事故の未然防止ならびに異常発生時における早期復旧体制をたゆまず強化していくとしている。踏切障害物検知装置に関して、踏切におけるさらなる安全向上策として、「3D式障害物検知装置」の設置100%に向け、引き続き取り組んでいくとのこと。