進学や就職を機に、地元を離れて別の土地に移り住んでいるという人は多い。クラスメートや職場の仲間と共に、それぞれの故郷の話題で盛り上がる機会も、きっと多いことだろう。
それらは他愛のない話で終始することが大半だとは思うものの、もしかすると相手の言葉の端々に自分の出身地に関する無理解や誤解が感じられて、思わずイラッとくるケースもあるかもしれない。そこで今回は、20代~40代のマイナビニュース会員806人に、「他県民から言われるとイラっとする言葉はあるか」などについて聞いてみた。
Q.あなたが他県民から言われるとイラっとする言葉はありますか? また、なぜその言葉を聞くとイラっとするのか理由を教えてください
■「北海道・東北地方」
・「北海道民→したっけ、だべさ等の方言: 北海道人は意外と方言が少ない。東京生まれ(首都圏)出身者に対するコンプレックス」(48歳男性/神奈川県/ホテル・旅館/事務・企画・経営関連)
・「北海道民→ホッカイドウ人は寒いのが得意なんでしょ?: 得意なわけではなく、寒くても仕方なく耐えるしかないだけ……」(37歳女性/北海道/インターネット関連/事務・企画・経営関連)
・「青森県民→津軽弁は何を言ってるかわからない: 馬鹿にされていると感じる」(44歳男性/青森県/官公庁/公共サービス関連)
・「宮城県民→宮城出身というと必ず『仙台?』と聞かれる: 他県民からしたら宮城=仙台なのかもしれないが、他にもたくさん市や町があるのになぁ……と悲しくなる」(31歳女性/神奈川県/その他/事務・企画・経営関連)
・「秋田県民→なまはげがどこの家庭にも来るものだ、と思われること。訛ってないね、と言われること: 間違ったイメージを持たれているから」(41歳男性/青森県/教育/公共サービス関連)
・「福島県民→原発や放射線をネタにされる: 精神的なダメージを受ける」(44歳男性/東京都/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
■「関東地方」
・「茨城県民→いばらぎ: 『いばら"き"けん』だから! "ぎ"ではありません!」(40歳女性/茨城県/その他/その他・専業主婦等)
・「茨城県民→『だっぺ』と語尾につけて話しかけられる: 確かに『~だっぺ』と使う人は茨城の田舎の方は多いが、他県の人にバカにされて言われるのは気分が悪い」(49歳女性/東京都/その他/その他・専業主婦等)
・「群馬県民→未開の野蛮人でしょ、というネットのネタを言われる: 実際の群馬とかけ離れている」(37歳男性/群馬県/その他/その他・専業主婦等)
・「埼玉県民→ださいたま: 使い古された言われ方なので、イジられるにしてもがっかりする」(46歳男性/埼玉県/物流・倉庫/技能工・運輸・設備関連)
・「千葉県民→千葉は埼玉より下だといわれる: 埼玉の方が千葉より田舎だと思っている」(49歳男性/千葉県/医療・福祉・介護サービス/公共サービス関連)
・「東京都民→東京都民はスカしてる、地方出身者を見下したりバカにしている。えらそう。わざわざ他の地区の方言を使う: こちらにはそんなつもりはないのに、偏見でいやなふうに思われる」(37歳女性/神奈川県/その他/その他・専業主婦等)
・「東京都民→ネットでのことですが、大阪の方が東京都民というだけで敵対心をもってくるのがすごい嫌でした: 相手は関西弁バリバリでしたが、こちらが普通の言葉で話すと気取ってるとか言われ、関わりたくないと感じましたね。自分は関西弁に関しては何も思わないのですが、相手が通常語で話すとイライラしている感じでした」(47歳女性/千葉県/サービス/事務・企画・経営関連)
・「神奈川県民→神奈川県のことを『横浜しか知らない』的なことを言われるとイラっとする: 相模原ぐらい知っとけよと。JAXAあるんだぞって話」(42歳男性/神奈川県/食品/販売・サービス関連)
■「中部地方」
・「新潟県民→新潟人だからスキーやスノボが上手なんでしょ?: 新潟人がみんな雪にちなんだスポーツができるのは、大きな間違いだから」(46歳女性/新潟県/その他/その他・専業主婦等)
・「石川県民→金沢市って石川県なの?: 県名より市名の方が知名度がある」(47歳女性/石川県/教育/事務・企画・経営関連)
・「山梨県民→富士山は静岡県。または、日本のどこにあるか分からない: 富士山は山梨県と静岡県、両県の誇りなので。東京に隣接しているにも関わらず、日本地図での場所が分からないハズがないだろうと思う」(43歳女性/山梨県/その他/その他・専業主婦等)
・「岐阜県民→岐阜県ってどこにあるの? 名古屋県?: バカにされた気がする。特に名古屋県などという無知を、わざと披露するところも」(48歳男性/岐阜県/警察・消防・自衛隊/その他・専業主婦等)
・「静岡県民→〇〇〇ズラ(語尾につける): 方言を馬鹿にされている気がする」(47歳男性/静岡県/建設・土木/事務・企画・経営関連)
・「愛知県民→えびふりゃー: そんな言葉遣いしないので」(47歳女性/滋賀県/その他/その他・専業主婦等)
・「三重県民→関西弁みたいな言葉: 歴史勉強してから言え。大阪だけが関西弁とちがうんやぞ」(47歳男性/三重県/海運・鉄道・空輸・陸運/技能工・運輸・設備関連)
■「近畿地方」
・「滋賀県民→琵琶湖以外に何があんの?: 何もないとバカにされてると感じる」(24歳男性/滋賀県/その他/その他・専業主婦等)
・「京都府民→『ぶぶ漬けを出す』を『早く帰れ』という意味で捉えること: 京都人は陰険で性格が悪いと思われてしまっているから」(43歳男性/京都府/その他/その他・専業主婦等)
・「大阪府民→関西人なのに面白くない: 関西の人全員がおもしろいと思うな」(32歳女性/大阪府/人材派遣・人材紹介/事務・企画・経営関連)
・「大阪府民→全然違うイントネーションで関西弁を使われたとき: とにかく気持ち悪いし、バカにされた感がある」(39歳女性/大阪府/その他/その他・専業主婦等)
・「兵庫県民→神戸は横浜の縮小版: 関西を下に見てる気がする」(32歳男性/兵庫県/輸送用機器/メカトロ関連技術職)
・「奈良県民→鹿しかいない: 純粋にイラッとする」(43歳男性/奈良県/サービス/クリエイティブ関連)
■「中国・四国地方」
・「鳥取県民→砂丘: 砂丘ばかり言われる」(38歳男性/静岡県/その他金融/営業関連)
・「島根県民→島根と鳥取を間違えられる: とにかくイラッとする」(49歳男性/広島県/サービス/その他・専業主婦等)
・「広島県民→広島弁が綺麗な言葉ではないと言われたとき: 方言を否定されると、地域全体を否定されているような気分になって嫌な気持ちになる」(37歳男性/広島県/ソフトウェア・情報処理/IT関連技術職)
・「香川県民→うどん、うどんと言われること: 自分はそばの方が好きだから」(32歳女性/東京都/農林・水産/営業関連)
・「愛媛県民→蛇口からポンジュースが出る: 実際、出ないから」(27歳男性/愛媛県/その他/その他・専業主婦等)
■「九州地方」
・「福岡県民→とんこつラーメン: 他のラーメンもおいしいのがあるのに、残念な気持ちになる」(44歳男性/福岡県/その他/その他・専業主婦等)
・「福岡県民→語尾に『ばい』と付けて連呼される: 実際にはそんなに使用しないし、不自然に使われると蔑んでいるように聞こえる」(39歳男性/福岡県/官公庁/公共サービス関連)
・「熊本県民→くまもん: いつも『くまもん、くまもん』言われる」(48歳女性/熊本県/その他/その他・専業主婦等)
・「大分県民→大分と言えば、温泉のイメージしかない: 他にもたくさん魅力があるから」(29歳女性/大分県/その他/その他・専業主婦等)
・「宮崎県民→チキン南蛮しかないような事を言われるとき: チキン南蛮以外にも美味しいものはあるし、むしろ県民はそこまでチキン南蛮を食べない。月いち程度」(45歳男性/宮崎県/フードビジネス/販売・サービス関連)
・「鹿児島県民→焼酎が好きそう、お酒が好きそう: みんながみんなお酒が強いわけではない」(47歳女性/鹿児島県/繊維・アパレル/技能工・運輸・設備関連)
・「沖縄県民→沖縄の人は顔がシーサーみたい: シーサーみたいではありません」(45歳女性/沖縄県/教育/専門サービス関連)
■総評
今回の調査の対象者である20代から40代のマイナビニュース男女会員の出身地は、1位「東京都」(11.2%)、2位「大阪府」(7.9%)、3位「神奈川県」(7.6%)、4位「埼玉県」(7.3%)、5位「愛知県」(5.8%)の順番で多かった。
他県民から言われるとイラっとする言葉を、その理由とともに聞いた。なお、ピックアップしたエピソードは上記の出身地の順位とは関係なく、興味深いと感じたものを中心に選んでいる。
全体の傾向として、イラっとする言葉は、自身の出身地に関するステレオタイプなイメージで語られることに対するものが多い。例えば、北海道=極寒、秋田=なまはげ、青森=ねぶた、宮城=牛タン、茨城=納豆、埼玉=ださいたま、東京=スノッブ、新潟=米どころ・豪雪、滋賀県=琵琶湖、大阪府=お笑い・面白い、奈良県=鹿・大仏、鳥取県=砂丘、広島県=お好み焼き、香川県→うどん、福岡県=とんこつラーメン、宮崎県=チキン南蛮、熊本県=くまもん、大分県=温泉などなど。その地域の出身者とすれば、「自分の故郷にはもっともっと素晴らしい場所・行事が、美味しいものがあるのに!」、という感覚だろう。
また、出身地を特定の都市で代表させられることに対する拒絶感もある。例えば、石川県=金沢、宮城県=仙台、神奈川県=横浜、愛知県=名古屋、兵庫県=神戸など。県内の他の都市の出身者からすると、「冗談じゃない」となるのもよくわかる。
そのほか、単刀直入に「方言=訛り、田舎臭い」と捉えられることへの反発も目立った。関西弁や福岡(博多)弁など全国的にメジャーな方言はそうでもないが、とくに「だべ」「だっぺ」など、東北や北関東の方言は洗練されていないと見る風潮があるようだ。そもそも現地でも、そんな方言で話す人は今は少ないのに、とするコメントが多かった。
また、とくに関西弁・大阪弁に関しては、他の地域出身者がいわゆる「なんちゃって関西弁・大阪弁」を使用することに対する反感も見られた。いい加減な関西弁を耳にするとイラっとする、という関西弁ネイティヴ・スピーカーは意外に多いようだ。
地方活性化・町おこしの一環で、ご当地グルメや地場の観光地、お祭りや地域の行事などにスポットを当て、ブランディングを図るのはごくごく自然な流れだろう。ただ、その一方で、その土地土地のイメージが固定化され、他の県民から一方的にレッテルを貼られるのは辛いことに違いない。今回は、そんな苦悩の一端が垣間見える調査結果となった。
調査時期: 2021年2月3日
調査対象: 20代~40代のマイナビニュース会員
調査数: 806人
調査方法: インターネットログイン式アンケート
※写真と本文は関係ありません