大手企業や金融機関の副業解禁。コロナ時代における新しい働き方。テレワークによる場所の制約を受けない生き方。そんな新時代に注目される、ライターや作家という仕事の最前線を走ってきたのが日本放送作家協会・理事長のさらだたまこ氏です。さらだ氏は、「人口と同じ、1億2,000冊の本ができていい」と語ります。今回は前回に続き、税理士でありながら幾つもの事業を立ち上げてきた連続起業家のSAKURA United Solution代表・井上一生氏とさらだ氏が対談を実施。その様子をご紹介します。
複業・副業としてのライター
井上一生氏(以下、井上)――私は、ライターや作家という仕事は複業・副業としてもピッタリだと思うのですが、たまこさんはどう思いますか。
さらだたまこ氏(以下、さらだ)――私もそう思います。大手企業や銀行が副業を解禁するなんて以前は考えられませんでしたが、テレワークが普及しつつある今となっては自然なことですね。複業・パラレルワークとしても、ライターや作家業はお勧めです。
井上――「副業ができない人は仕事ができない人」という風潮も出てきているようですから、これから優秀なビジネスパーソンの複業・副業ラッシュが始まると思います。
さらだ――スマホで映画も撮れる時代ですから、スマホで執筆する人が増えてもいいですよね。電車や新幹線の移動中でも、布団のなかでも執筆できる。今は、音声入力もできますから、自分のやりやすい方法で本を書くこと、文章を書くことができますね。複業・副業としてライター業は始めやすいですし、続けやすいと思います。
私自身、東京作家大学という小説家や作家、ライターを養成する学校の学長も兼業しているのですが、「本を出版したい」「売れっ子作家になりたい」「安定した収入が得られるライターになりたい」という人を応援し、その夢を実現できるノウハウを伝えていくことが使命だと感じています。
井上――いいですね。東京作家大学の丸の内校をやりたいです。私たちは丸の内のWeWorkを東京拠点にしていますが、この辺りは銀行員や証券会社の人、大企業にお勤めのビジネスパーソンばかりです。朝活で書くトレーニングをして、すぐに出社できる立地ですし、テレワークならリモートで学んでもいいですよね。
1億2,000冊の本ができていい
井上――東京作家大学には、どのような方々が通われているのでしょうか。
さらだ――シルバー世代の人も多くおり、「人生の総括として一冊書きたい」という人もいらっしゃいます。私は、日本の人口と同じ1億2,000冊の本が世に出ていいと考えているんですよ。
お話を聞いていると、「これはこの人にしか話せないことだ」と感じることがあります。それを、ぜひ書籍として後世に遺してほしい。動画やブログも良いのですけど、やはり本という物(ぶつ)はデジタルにはない良さがありますから。
井上――人生の数だけ本があっていいですよね。
さらだ――そうです。人を感動させないと良い本にはなりませんから、成功談だけでなく失敗談も入れて、ジェットコースターみたいな乱高下のあるお話がいいですね。失敗談は宝ですよ。私は、「本は横から目線で書くもの」とお話しています。ビジネスの世界では、海外赴任のお話とか、新規事業立ち上げの苦労話とか、なんでも本になります。各々、個性があり、魅力的に描けば素晴らしい人生ドラマになり、多くの読者の共感を得られると思います。
とにかく書く
井上――「横から目線」というのがいいですね。私たちは昨年、SAKURA DX出版という会社を立ち上げて、コンスタントに本を出すようにしています。『会社を辞めて起業する前に読む本(ファストブック)』『9ヶ月目仮決算対策を導入した企業がウィズコロナ時代を勝ち残る理由(ファストブック)』『社長&ドクターのためのクレカ活用術~最強のクレジットカード攻略法~(ファストブック)』と、立て続けに3冊ほど出版しました。他には、相続の本なども準備しているところです。本を書くことで自分も学びがあったり、名刺代わりやブランディングになったり。本が持つ力を私も感じています。
さらだ――情報にも鮮度がありますから、井上さんのようにコンスタントに本を出し続けるのはとてもいいことです。文学を志す人は「うんうん」と頭を抱えて、うなることも必要ですが、そうでない人は「とにかく書く」のがいいと思います。気軽にカジュアルに書き続けることが大切ですね。どんどん書いていく。どんどん伝えていく。書いていくと、段々うまくなりますから。うまく書こうと思わないで、とにかく気にせず書くことなんですよね。
井上――ありがとうございます。たまこさんとは、税理士のマンガの原作を書いてくれる人を探しているときに出会ったのですが、その話も実現したいですね。『カバチタレ!』の税理士版を出したいんですよ。
さらだ――ぜひ実現しましょう。経営にはドラマがありますよね。それを間近で見ているのが、井上さんのような経営者と伴走する税理士さんだと思います。たくさんエピソードもあるのではないですか?
井上――税理士は、経営の実態をたくさん知っています。実名では書けないことが多いですが、それをストーリーに乗せてわかりやすく伝えることができると思います。事例から学ぶことも多いですから、後進の経営者の方々にも役立つノウハウを伝えていきたいですね。
さらだ――楽しみにしています。