米国時間の2月18日にAndroidの次期メジャーバージョン「Android 12」が発表され、開発者向けプレビュー版「Android 12 Developer Preview (DP) 1」のシステムイメージと「Android 12 SDK」の提供が始まった。Android 12 DP1を導入できるデバイスは、Pixel 5、Pixel 4a、Pixel 4a (5G)、Pixel 4、Pixel 3aシリーズ、Pixel 3シリーズなど。
2月中旬に開発者プレビュー版の提供を開始し、5月にベータ版をリリース、秋に正式版という開発スケジュールは昨年のAndroid 11と同じだが、リリース候補版の前に「Platform Stability」というベータ4を提供する(8月にリリース予定)。アプリ、SDK、ライブラリの最終的な互換性テストをPlatform Stabilityで開始し、正式版の提供開始日からユーザーが安定した環境で利用できるようにするのが狙い。正式版に向けた最終的な準備を、リリース候補版ではなく、Platform Stability版から計画するように開発者に呼びかけている。
Android 12では、プラットフォームをより安全に、スマートに使いやすく、高性能にするための改善を継続しながら、互換性やユーザー体験を向上させる機能やツールの提供に取り組む。開発者向けプレビューは、APIやユーザーインターフェイス(UI)の変更、一部の新機能に対するフィードバック収集を目的としており、DP1はプライバシー強化、メディアトランスコーディング、通知のUI変更、リッチコンテンツ用の新APIなどを含む。
プライバシー機能は、追跡に使用できる識別子のユーザーコントロールを強化。SameSite Cookieの仕様変更を含むChromeや他のブラウザのクロスサイトCookie対策をWebViewにも取り入れる。また、Android 11ではAPI レベル30に基づいて制限していたNetlink MACのアクセスを全てのアプリに拡大する。
フォアグランドサービスを最適化。バックグラウンドからのフォアグラウンドサービスの開始をブロックし、フォアグラウンドサービスの浪費を避ける。ユーザーの作業の妨げになるのを避けるために、一部のフォアグラウンドサービスにおける通知の表示を最大10秒遅らせるようにした。短期間のタスクは通知が表示される前に完了する。
メディアトランスコーディング。HEVCハードウェアエンコーダーの普及、HEVC形式を用いてキャプチャするカメラアプリの増加に応じて、HEVC再生に対応していないアプリにも互換性を広げるために、HEVC形式のファイルをAVCに自動的にトランスコードするレイヤーを用意した。Pixel 4では、1分の1080p(30fps)ビデオを約9秒でトランスコードできる。またAV1の圧縮技術を利用した画像形式「AV1 Image File Format (AVIF)」をプラットフォームレベルでサポートする。
画像や動画といったリッチメディアの挿入、移動、コピー/ペーストをサポートする統一したAPIを用意。クリップボード、キーボード操作、ドラッグ&ドロップで、アプリがシンプルにコンテンツを受けとれる。
触感フィードバックを使ったオーディオ効果。オーディオセッションと連動して、端末のバイブレーション機能の強度や周波数が変化させることが可能。没入感のあるゲームやオーディオ体験を作成できる。例えば、ビデオ通話アプリがカスタム着信音を用いて触覚フィードバックで発信者を感じ分けられるようにしたり、レーシングゲームで起伏の多い地形をシミュレートできる。
マルチチャンネルオーディオ。空間情報を用いたいくつかのオーディオ拡張を含む。パススルーおよびオフロード・モードでのMPEG-H再生のサポート、オーディオミキサー、リサンプラーおよびエフェクトが最大24チャンネルに最適化される(従来は最大8チャンネル)。
ビデオプレイヤーや電子書籍リーダー、ゲームなどのイマーシブ・モードにおいて、より操作しやすくて一貫性のあるジェスチャーナビゲーションを行えるようにイマーシブモードAPIを改善した。例えば、今はフルスクリーン状態を解除するのに多くのケースで2回のジェスチャーが必要だが、デフォルトを変更して1回のスワイプで切り替えられるようにした(誤動作を避けるためにゲーミングは除外)
よりモダンで使いやすく機能的になるように通知のUIをアップデートした。DP1ではドロワーとコントロール、テンプレートが変更され、システム全体のトランジションとアニメーションがスムーズに動作する。アクティビティのターゲットの起動から通知トランポリンをブロックするようにし、Android 12に最適化されたアプリでは通知をタップするとすぐにアプリに切り替わる。