キリンビールは、ノンアルコール・ビールテイスト飲料「キリン グリーンズフリー」を2月24日にリニューアル新発売する。今回のリニューアルについて同社はオンライン発表会を実施、マーケティング部の久保育子氏、マスターブリュワーの田山智広氏が登壇した。

  • 潜在顧客層を呼び覚ます「キリン グリーンズフリー」リニューアル

好調なノンアルコール市場と、ノンアルビールが敬遠される理由

キリンは、CSV先進企業を目指し、「健康」「酒類メーカーとしての責任」の取り組みとして、ノンアルコール飲料に注力しているという。ビールが飲めない時に本格的な味わいを飲みたい"本格ニーズ"の「キリン 零ICHI(ゼロイチ)」、健康的なものを飲みたい"健康ニーズ"に応える「キリン カラダFREE」、そして気兼ねなくゴクゴクとビールの美味しさを楽しめる"爽快ニーズ"の「キリン グリーンズフリー」とラインナップを揃え、2021年のノンアルコール飲料目標は前年比123%の430万ケースを掲げる。

また、マーケティング部の久保氏より、現状のノンアルコールビール市場について解説が行われた。「ノンアルコール市場は、ビール類の市場が縮小するなか11年連続で拡大を続け、2009年と比較すると4倍近い伸びを見せています。コロナ禍でも健康志向の高まりもあり、20年度は103%成長、今後も成長していくであろうカテゴリです」。市場規模はビール類市場全体で見るとわずか4.6%しかなく、拡大のポテンシャルも十分にあると語る。

一方、「ノンアルコールビールはおいしくない」と敬遠される状況もある。キリンの調査では、直近1年以上ノンアルコールビールを飲んでいない方のうち、約3割以上が飲用経験があるにも関わらず離れているという。離れた「休眠層」のうち、約8割は「味が美味しくないから」飲まない、そのなかでも「人工的な味がするから」という意見が多いという。

  • キリンビール マーケティング部 久保育子氏

そういった調査を踏まえ、休眠層に飲用してもらうためには"おいしさ"の実現が鍵と考えたキリンは「"とびきり"おいしい」ノンアルコール・ビールテイスト飲料として、今回「キリン グリーンズフリー」をリニューアルする。これにより潜在顧客層を呼び起こし、市場活性化を図っていくという

"とびきりおいしい"を追求「キリン グリーンズフリー」

製品リニューアルのこだわりについては、同社マスターブリュワーの田山智広氏も加わり、久保氏と対談を行った。

今回のリニューアルコンセプトは「自然生まれのおいしさのノンアルコール・ビールテイスト飲料」。原材料を見直し、ビールと同じ麦芽・大麦と、みずみずしい香りが特長の希少なホップ「ネルソンソーヴィン」を使用。従来から採用している日本初の製法はそのままに、より爽快な美味しさを実現しているという。香料・甘味料を使わず、素材そのものの良さを引き立てており、香りや味の残り方が自然なことも特徴だ。

田山氏は同商品の特徴を「極めてユニークなノンアルコールビール」と語る。「今までは"ビールに近い味が美味しい"として、いかにビールに近づけるかを考えていましたが、今回は"ナチュラルな新しい美味しさをいかに作るか"にこだわりました。他のノンアルコールビールとは、考え方やアプローチの仕方が異なるものです」。ノンアルコールビールは発酵させないため添加物を加えるが、『グリーンズフリー』は自然素材だけを使用、香料や甘味料は無添加にこだわっているという。

  • キリンビール マスターブリュワー 田山智広氏(左)と久保氏(右)による対談が行われた

特に「ネルソンソーヴィン」のホップが鍵となっているという。「ニュージーランド産の希少なホップで、それをふんだんに使用しているとても贅沢な商品です。ホップの使い方も含め、キリンの技術の粋を尽くしてこの味ができたと思っています」と田山氏。

最後に久保氏は「今回の開発は、"とにかくおいしい"ことを追求しました。ノンアルコールビールの概念を変え、もっと日常的に飲んでもらえる商品に育ってほしいです」と市場拡大に期待するコメントを寄せた。また田山氏は「素晴らしい素材を贅沢に使い、しっかり丁寧に作っている、クラフトのようなノンアルコールビールです。自然な美味しさで変に後味も残らないので、食事と一緒に飲むとパワーを発揮します。ぜひ食事との組み合わせも楽しんでください」と自信を見せた。