VAIOは2月18日、14型のフラッグシップノートPC「VAIO Z」を発表した。天板、液晶面、キーボード面、底面の4面すべてで積層カーボンファイバー素材を採用。プロセッサは第11世代Intel Core Hシリーズで、1kgを切る軽さと、最長34時間の長時間駆動を実現した。

2月18日に受注を開始し、発売日は3月5日。価格はオープンで、量販モデルの店頭予想価格は税込309,800円から。ソニーストアのカスタマイズモデルの予想価格は税込260,700円から。

  • VAIO Z。プリインストールの壁紙はカーボン素材をイメージしたもの

ノートPCを構成する4面全てでカーボンファイバー積層板を使った、フラッグシップノートPC。軽量なノートPCの多くは、軽さと強度を両立したマグネシウム合金を採用しているが、同社はマグネシウム合金の薄肉成形による軽量化は限界であると判断。今回のVAIO Zでは、同じ重さあたりの弾性率(剛性)がマグネシウム合金やアルミニウム合金と比べ高いカーボン素材を4面に採用することで、1kgを切る軽さと堅牢性、最長34時間の長時間駆動の実現を図った。

VAIOでは2003年の「VAIO X505」以来カーボン素材の採用を進めており、VAIO製PCではお馴染みの素材だ。しかしカーボンは曲げ伸ばしなど立体的な加工が難しく、これまで4面フルカーボンのVAIO PCは製造できなかった。曲げ角度などの調整を繰り返し、カーボン素材の特性に合ったデザインを考案して量産にこぎつけたという。

  • 従来オーナメントで補強していたヒンジは、V字の曲げ形状により剛性を確保した。ヒンジ部は新設計で、軽くても片手で開けられ、180度開ける構造になっている。開いた時に角度をつけるチルトアップにも対応

  • パームレストも手前と左右に曲げ構造を取り入れ、剛性を高めるとともに、打鍵感を向上させた

カーボン素材は繊維の種類や厚み、積層方向、積層数を調整することで特定の方向に強度を増すことができる。今回のVAIO Zではこの特徴を生かし、4面それぞれで最適な剛性となるようにカーボンを積層している。品質試験では、新たにMIL規格に準拠した試験を導入し、76cm・20方向落下の試験を追加した。

プロセッサは、第11世代Intel Coreのうち、TDP 35WのCore H35シリーズ(4コア8スレッド)を採用する。同プロセッサは2021年1月にIntelが発表した薄型ゲーミングPC向けプロセッサ。VAIO Zの上位モデルではCore i7-11375H、下位モデルではCore i5-11300Hを搭載し、高いパフォーマンスを提供する。高いTDPにあわせて冷却システムも刷新し、日本電産との共同開発で、低騒音化や風量増を図った大型デュアルファンを搭載した。

ストレージには第4世代ハイスピードSSD(PCIe Gen.4)を内蔵し、ベンチマーク(Crystal Disk Mark7.0.0)の値では6GB/s超の性能が出たという。また、搭載するType-CはUSB4に対応し、映像出力やPD、スマートフォン向けのモバイルバッテリーからでも充電できる5Vアシスト充電などが利用できる。

キーボードも前モデルから改善された。キーストロークを従来の1.2mmから1.5mmに深くしたほか、キートップには指に馴染む凹みをつけた。スイッチ構造はパンタグラフ式で変更はないが、素材を見直し静音性が高まったという。バックライトも内蔵する。

  • パームレストは耐指紋性のある塗料でコーティングし、より指紋がつきにくくなった。キートップには新開発したフッ素含有UV硬化塗装を施し、摩耗や皮脂油によるテカリを防ぐという

  • 天板と底面

バッテリー容量は53Whで、フルHD液晶モデルでは最長34時間の駆動が可能(JEITA 2.0)。4K液晶モデルでも約17時間駆動する。4K液晶モデルのディスプレイはHDRに対応し、DCI-P3 99.8%の高い色再現をサポートする。

  • Web会議での利用も想定し、カメラシャッターやマイクミュートショートカットを搭載。内蔵マイクは前面カメラの横に配置し、集音性能を上げるため密閉度の高いゴム素材を採用した。これにより、キーボードの打鍵音や周囲のノイズを拾いにくくなったという

  • 左側面

  • 右側面

このほかの特徴として、5G通信に対応。ディスプレイ上部にWi-Fiと5G通信のアンテナ(各2つ)、本体左右側面に5G通信のアンテナ(各1つ)を搭載し、5G通信では計4本のアンテナを内蔵した。国内主要3キャリア(ドコモ、au、ソフトバンク)の通信に対応する予定だ。

また、ボディ全面にカーボンファイバーの繊維目を生かした塗装を施し、キーボードに隠し刻印が選べる特別エディション「VAIO Z SIGNATURE EDITION」も用意する。

VAIO Z(量販モデル・最小構成)の主な仕様

  • OS:Windows 10 Home 64ビット
  • CPU:Intel Core i5-11300H
  • メモリ:16GB
  • ストレージ:512GB 第4世代ハイスピードSSD(NVMe)
  • グラフィックス:Intel Iris Xeグラフィックス
  • 光学ドライブ:―
  • ディスプレイ:14型ワイド(1,920×1,080ドット)
  • 通信:Wi-Fi 6(IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax)、Bluetooth 5.1 ※有線LAN非搭載。オプションで5G選択可
  • インタフェース:HDMI出力×1、USB Type-C×2(Thunderbolt 4、USB Power Delivery、USB4、DisplayPort 1.4、5Vアシスト充電対応)、ステレオミニ端子(ヘッドセット対応)×1
  • サイズ:W320.4×H12.2~16.9×D220.8mm
  • 重さ:約958g
  • バッテリー駆動時間:約34時間(JEITA 2.0)

VAIO Z(Web販売・CTOモデル)の主な仕様

  • OS:Windows 10 Home / Pro 64ビット
  • CPU:Intel Core i5-11300H / Intel Core i7-11370H
  • メモリ:8GB / 16GB / 32GB ※Core i5選択時は8GBと16GBのみ
  • ストレージ: 256GB / 512GB / 1TB / 2TB 第4世代ハイスピードSSD(NVMe)
  • グラフィックス:Intel Iris Xeグラフィックス
  • 光学ドライブ:―
  • ディスプレイ:14型ワイド(1,920×1,080ドット) / 14型ワイド(3,840×2,160ドット)
  • 通信:Wi-Fi 6(IEEE802.11 a/b/g/n/ac/ax)、Bluetooth 5.1 ※有線LAN非搭載。オプションで5G選択可
  • インタフェース:HDMI出力×1、USB Type-C×2(Thunderbolt 4、USB Power Delivery、USB4、DisplayPort 1.4、5Vアシスト充電対応)、ステレオミニ端子(ヘッドセット対応)×1
  • サイズ:W320.4×H12.2~16.9×D220.8mm
  • 重さ:約958g~約1,059g
  • バッテリー駆動時間:約34時間(JEITA 2.0、フルHD時) / 約17時間(JEITA 2.0、4K時)