「コミュニケーション力を伸ばしたい! 」
誰しもが一度は、そう考えた経験があることかと思います。特に、社会人になると同僚やクライアント、上司や部下など、多くの人とコミュニケーションをとる必要があるため、学生時代よりもさらにコミュニケーション力が求められることでしょう。
そんなときに役立つのが、会話の中で使えるスキル「バックトラッキング」です。本記事では、このバックトラッキングについて紹介します。適切に使うことで、相手との信頼関係を築きやすくなるこの手法を理解し、さっそく今日からの仕事に活かしてみましょう。
バックトラッキングの意味
バックトラッキングとは、会話の中で、相手の言った言葉を「オウム返し」することで、相手との信頼関係を築く話の聞き方のことです。例えば「今日は〇〇なことがあってさ」と話しかけられた際に、「〇〇なことがあったんだ! 」というように返すことが、バックトラッキングです。
この手法はカウンセリングの世界でも用いられているほか、ビジネスシーンなどで活用されているNLR(Neuro Linguistic Programing : 神経言語プログラミング)でも重要視されています。
バックトラッキングの特徴・効果
バックトラッキングはビジネスシーンに限らず、日常の人間関係構築においても活用できます。バックトラッキングの効果には、以下のようなものがあります。
- 「受け入れられている」と感じる
バックトラッキングは、特に初対面の相手と話す際や、短時間で深い話を引き出したい際などに友好的です。相手に「受け入れられた」と感じてもらうことで、話が弾みやすくなるのです。
- 「話をちゃんと聞いてくれている」と感じる
相手が使った言葉を返すことで、相手に「自分の話を聞いてもらっている」という安心感を与える効果が期待できます。
- 「理解されている」と感じる
バックトラッキングを行うことで、相手に「あなたのことを理解しようとしている」と思わせることができます。
- 「肯定されている」と感じる
バックトラッキングは相手の言葉を繰り返す手法であるため、相手の意見や話への反応は必然的に肯定的になります。そのため、相手は「肯定されている」と感じ、結果的に会話することが心地よくなります。
バックトラッキングのやり方
バックトラッキングにはいくつかの種類があります。シーンに合わせて適切に使い分けられるようにしておきましょう。
<例1>
- 相手「この前子供と○○に行きました」
- 自分「お子様と○○に、行かれたのですね」
単純に、相手の発言するキーワードを復唱する方法です。さまざまなシーンで活用できます。
<例2>
- 相手「他社に○○の点で大きく離れてしまい悔しかったです」
- 自分「悔しかったのですね」
会話の中で相手が感情表現を口にした場合に、それを強調するようにバックトラッキングする方法です。感情に寄り添うことで相手は「理解されている」と感じ、営業に対する信頼度がアップするでしょう。
<例3>
- 相手「従業員がたくさん辞めてしまい、まだ新入社員は育たずとにかく大変です。仕事も多くて何から手をつければ良いか分かりません」
- 自分「人手が足りず困っていらっしゃるのですね」
相手の話を要約する方法です。話をじっくりと聞いて一段落ついたときにバックトラッキングを使うことで、相手は「適当に相槌を打っているのではなく、しっかり自分の話を理解してくれている」と感じます。また、要約の仕方によっては、相手に新たな気づきを与えるキッカケになるかもしれません。
バックトラッキングをビジネスに活用する際のポイント
バックトラッキングに対してハードルが高いと感じる方もいますが、ポイントを知ることで日々の営業活動に取り入れやすくなります。
顧客からの信頼を獲得するためにバックトラッキングについての理解を深め、効果的にセールストークに取り入れていきましょう。
ポイント1. 相手が使った言葉をできるだけそのまま使うこと
相手の言葉をしっかりと聞き取り、活用することで否定しない状況を作り上げることが可能です。相手が使った言葉を活用することで抵抗を無くし、相手を受け入れやすい状態が生まれ、賛同されている・承認された感覚を重ねることにつながります。
ポイント2. 多用しすぎないこと
バックトラッキングを多用しすぎると、「見下されている」「話を終えたがっている」などのネガティブなイメージを持たれる可能性があります。相手の言葉を繰り返しすぎて、不信感を与えないようにするのがポイントです。
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以上、バックトラッキングについて紹介しました。
ビジネスにおいてコミュニケーション力は重要な能力の1つです。自然にバックトラッキングを活用できるように、日常生活から少しずつこの手法を実践してみてはいかがでしょうか。