近年大きな伸びを見せる「無糖紅茶」。紅茶本来の味や香りを楽しむことができ、飲用シーンを選ばないことから、紅茶市場の伸長を牽引するフレーバーだ。そんな無糖紅茶の分野に、日本コカ・コーラは「紅茶花伝」ブランドから「紅茶花伝 無糖ストレートティー」を発売する。

  • 2021年3月に新発売する「紅茶花伝 無糖ストレートティー」

1992年に誕生した「紅茶花伝」は、フラッグシップ製品「紅茶花伝 ロイヤルミルクティー」、そして果汁入りフルーツティー「紅茶花伝 クラフティー」の2シリーズを揃える「厳選素材とおいしいひと手間」にこだわる紅茶ブランドだ。さらに今回「無糖ストレートティー」が加わるタイミングで、ブランド全体も刷新、進化させるという。

競合製品も多い無糖紅茶市場に、「紅茶花伝」が新規参入する「無糖ストレートティー」はどんな製品なのか? またブランド刷新の狙いとは? 日本コカ・コーラ マーケティング本部 ティーカテゴリー 紅茶・機能性茶グループの山腰欣吾グループマネジャーと、イ・スヒョンマネジャーに話を伺った。

  • 日本コカ・コーラ マーケティング本部 ティーカテゴリー 紅茶・機能性茶グループ イ・スヒョンマネジャー(左)、山腰欣吾グループマネジャー(右)

継続して飲むユーザーが定着し、拡大する紅茶市場

まず、現状の紅茶市場はどのような状況なのだろうか。山腰氏によると、飲料市場全体が横ばいのなか紅茶飲料市場は2018年から3年連続で8%増と拡大しているジャンルだという。

「紅茶飲料の購入頻度は4%、購入量は5%増加しています。なかでも注目したいのは、購入者数がプラス10%と大きく伸びていることです。これは紅茶飲料を継続して飲むレギュラーユーザーが定着したと言えるでしょう」

  • 近年の紅茶市場は、継続して紅茶を飲むレギュラーユーザーが増えていると山腰氏

経産省による昨年の家計調査でも、紅茶のティーバッグの家計支出は52%増と、他のお茶類が20%程度のところ大幅に増えており、紅茶はより身近な存在になっているようだ。また拡大の理由として、各社製品の大型リニューアルや、積極的なマーケティングの影響もあると語る。

拡大する紅茶市場のなかでも、「紅茶花伝」は"素材にこだわった上質な紅茶"として存在感を見せるブランドだ。ロングセラーの「ロイヤルミルクティー」も、2019年にはフルリニューアルするなど時代の変化とともに成長している。

理想の味を体現する「無糖ストレートティー」

そういった時代に合わせて変化してきた「紅茶花伝」の歩みを考えると、消費者のニーズが高まる無糖紅茶の市場に打って出るのも必然のことだろう。実際に、無糖紅茶は好調な紅茶市場のなかでも過去3年の平均伸長率が18%と大きく伸びている分野だという。

イ・スヒョン氏によると、無糖紅茶の市場が拡大する理由は3つあるという。「ひとつめは香りとスッキリした味わいを求め、他の飲料カテゴリのユーザーが流入したことが挙げられます。2つめは、食事時だけでなく、仕事中や勉強、家事の合間など引用シーンを選ばないこと。3つめは、ティーバッグの家計支出が増えたこと、つまり手淹れ紅茶の飲用機会が増加し"紅茶本来の味わいを楽しみたい"というニーズが高まっていることです」

  • 「無糖紅茶は、過去3年の平均伸長率が大きく伸びている」と、イ・スヒョン氏

紅茶市場のカテゴリは、大きく分けて「ミルクティー」「ストレートティー(無糖紅茶)」「フルーツティー」に分類できる。今回『無糖ストレートティー』が加わり、「紅茶花伝」はすべてのカテゴリにラインナップが揃うこととなる。

「紅茶花伝」は国産牛乳や手摘みセイロン茶葉を使った「ロイヤルミルクティー」や100%果汁を用いる「クラフティー」など、こだわりのある素材や製法が特徴だ。「無糖ストレートティー」もまた、消費者のニーズに応えるため「紅茶花伝」らしいこだわりを持って開発された。

「紅茶飲料に対する消費者の声をヒアリングしたところ、『しっかりとした紅茶の味を楽しみたい』『紅茶の華やかな香りを楽しみたい』『後味がスッキリしていて手軽にリフレッシュできるもの』といった意見が挙げられました。それらの声に答え、『理想的な紅茶の味わい・香り・後味』を目指し、体現した製品です」とイ氏。茶葉や製法を試行錯誤しながら、「紅茶本来の豊かな香りと、渋みを抑えたスッキリした後味」を求めて150回を超える試作をしたという。

  • 「紅茶花伝 無糖ストレートティー」

ストレートティーに求められる「味わい・香り・スッキリ感」のバランスを取るのは難しいところだという。味や香りは茶葉を濃くすれば引き出せるが、渋みが出てしまう。

このバランスを実現するため、茶葉は華やかな香りが特徴のダージリン茶葉を60%使用、奥行きのある風味を表現するため3種類のアッサム茶葉を用いる『無糖ストレートティー』だけのオリジナルブレンドを作った。また製法には、高圧・短時間のエスプレッソ製法を採用。エスプレッソといえばコーヒーのイメージが強いが、紅茶に適した圧力・温度・時間を計算し、雑味を抑え、茶葉の美味しさを抽出している。

「『紅茶花伝』といえば、ロイヤルミルクティーのイメージが強いので、ユーザーが『紅茶花伝の無糖ストレートティーを受け入れてくれるか』は気になっていました。ただ、ヒアリングをする中で、紅茶花伝=上質な紅茶というイメージが大きく、高い期待を持っていただけているようです。味わい・香り・スッキリ感のバランスが取れた、期待に応える紅茶が作れたと考えています」と山腰氏。

飲用シーンも、新たに増えるとイ氏は想定する。「『無糖ストレートティー』は、日常的な仕事や勉強、家事の合間のひと休みの時間に、切り替えやリフレッシュのために飲んでいただきたいですね。特別な瞬間のご褒美としてだけでなく、日常のあらゆるシーンで飲んでもらえる存在になりたいです」

茶葉だけで勝負する「無糖ストレートティー」は、「紅茶花伝」がいかに紅茶にこだわり抜いたかを伝える製品と言えるだろう。今後、「ロイヤルミルクティー」「クラフティー」とともに紅茶市場へ定着することを狙っていくという。

さらに愛されるために、より強固に「紅茶花伝」のマスターブランド戦略

2021年、「無糖ストレートティー」の加入を機に「紅茶花伝」全体のブランドも進化させる。コンセプトは「厳選素材に美味しいひと手間をかけた、多彩な味わいを楽しめる本格的で上質な紅茶ブランド」。日常がちょっと豊かになる存在でありたい、という強い思いを込めた。

「これまで『ロイヤルミルクティー』『クラフティー』それぞれの製品ごとに最適な方法でアプローチをしてきました。いずれも好調ですが、『紅茶花伝』というひとつの紅茶ブランドとして、より愛されるための成長機会にしたいと考えています」と山腰氏は今回のブランド戦略刷新の狙いを語る。

今回の「ポートフォリオ」「デザイン」「コミュニケーション」の3つの観点からブランドを刷新するという。

まず「ポートフォリオ」は「無糖ストレートティー」の登場により、紅茶飲料の3つのセグメントであるミルクティー・ストレートティー・フルーツティー、全ての分野にラインナップが揃う。特に、紅茶本来の味わいにこだわった「無糖ストレートティー」は、紅茶花伝全体のイメージを牽引するものになるだろう。

「デザイン」では、パッケージとロゴを刷新。昨年「ロイヤルミルクティー」「クラフティー」の容器形状を揃えたが、2021年はさらに統一感のあるデザインに変えていく。「『ロイヤルミルクティー』の青いイメージ、『クラフティー』の果実のイラストなど、以前のイメージは残しつつお客様が認識できるようバランスを取っています。『無糖ストレートティー』はお茶本来の味わいの特徴を表すよう、ゴールドとグリーンで表現しました」と山腰氏は語る。

ブランドロゴはより上質感を高め、新しい「紅茶花伝」のイメージを表現する。「紅茶花伝」の名前の由来となる能楽書『風姿花伝』に描かれる四季折々の草花から、4つの花びらと葉をロゴに落とし込んだ。また、本格的な紅茶ブランドの象徴としてのクラウンアイコンは踏襲し、上質さを感じられるゴールドを基調とした色でまとめている。この新ブランドロゴをパッケージの共通の場所に配置し、全体の統一感をより強めていく。

  • 本格的で上質な紅茶ブランドを表現する「紅茶花伝」新ロゴ

最後に「コミュニケーション」について。「新発売の無糖ストレートティーの魅力はもちろん、紅茶花伝の世界観とキーメッセージの『厳選素材と美味しいひと手間』を伝えていくために、上質な紅茶を気軽に飲める"ティーハウス"を舞台に展開していきます」と山腰氏。茶葉や果物などにこだわる店主が「紅茶花伝」を作っていく、というコミュニケーションを取る。

  • TVCMを始めとしたコミュニケーションは「ティーハウス」を舞台設定に世界観を伝えていく

ユーザーへの訴求として、TVCM、デジタル施策を含めたコミュニケーションを、また「無糖ストレートティー」では200万本の大規模なサンプリングを実施するという。デジタル試作でも、ティーハウスの店主が厳選素材とプロセスにこだわる様子を毎週投稿するなど、一貫した舞台設定で世界観を伝えていくそうだ。

最後に山腰氏・イ氏のお二人にユーザーへ向けたメッセージを聞いた。「『無糖ストレートティー』が加わり、より多彩になる『紅茶花伝』のラインナップから気軽に選んでいただければと思います。昨年は紅茶引用者が増えた年でした、またカフェで紅茶を飲む方もいます。今までペットボトルの紅茶を飲んだことのない方にもぜひ飲んでいただきたいですね」と、より強くなる『紅茶花伝』のブランドに自信を見せた。