帝国データバンクは2月15日、全国の企業を対象とした「2021年度の賃金動向に関する企業の意識調査」の結果を発表した。調査期間は2021年1月18~31日、有効回答数は1万1,441社。
賃金改善見込む企業、7年ぶりの低水準に
同調査によると、2021年度に正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引き上げ)が「ある」と見込む企業は42.0%。前年度より11.3ポイント減少し、2014年度見込み(46.4%)以来、7年ぶりの低水準となった。業界別では、人手不足が顕著な「建設」が最も高く47.8%。一方、観光関連業種を含む「運輸・倉庫」は前年度比18.5ポイント減の36.7%と、大幅に落ち込んだ。
賃金改善の具体的内容については、「ベースアップ」が同9.3ポイント減の35.9%、「賞与(一時金)」が同6.0ポイント減の20.3%となり、ともに前年度から大きく減少した。
賃金を改善する理由を聞くと、「労働力の定着・確保」が78.7%でトップ。過去最高だった前年度(80.6%)より減少したものの、依然として高水準にあった。反対に賃金を改善しない理由では、「新型コロナによる自社の業績低迷」が69.4%で最多となった。
2021年度の総人件費の見通しを調べると、「増加」する企業は54.2%と前年度より14.7ポイント減少。業界別では「建設」が60.1%と唯一6割を超えた。次は「サービス」が56.0%で続き、その中でも「医療・福祉・保健衛生」「情報サービス」「メンテナンス・警備・検査」といった人手不足が目立つ業種で増加傾向がみられた。